夏の終わり、季節はずれの休日
二人で過ごす、誰も邪魔などできない時間

仕事のスケジュールを確認しながら、北岡は少々不満そうにソファにもたれた
「あーあ、本当にタイミングよく出張だねー」
吾郎のクセのある字でかかれたスケジュール帳には 明後日に地方の議員とのミーティングが組み込まれている
「偶然ですよ、先生」
まだ不満そうな顔をしている北岡に、彼の好きなダージリンを煎れて差し出し、吾郎はわずかに苦笑した
「でもさぁ〜」
テーブルの上でやわらかないい香りの湯気が立つと、北岡の表情が少しだけ晴れる
「丁度いいじゃありませんか
 その他は珍しく空きなんですから、たまには休んでも」
「そうだけどね、
 だったらゴローちゃんと二人で温泉とかがいいなぁ」
「せっかくのお誘いなんですから」
「でもさぁ・・・・・」
こくり、
不満をたれながらも紅茶に口をつけ、満足そうにして北岡はまるで子供みたいな目をしていった
「どーしてたまの休日が、城戸や秋山との旅行なわけ?」

1週間程前、城戸が旅行の話を持ちかけてきた
なんでも親戚のやっている宿が今年で終わるため、最後に遊びに行ってやりたいと
彼の言い分では、普段争ってばかりのライダー同士、たまには戦いを忘れてのんびりしようということらしいのだが
(・・・・・本当は調整したんだけど・・・・)
最近働きすぎの北岡に休みをとらなくては、とスケジュールを調整していた矢先のことだったのだ
そしてタイミングよく、その旅行先の議員とのアポイントが近い日程にあった
一筋縄では「うん」と言わない主人のために、わざわざ吾郎が旅行中に その議員とのミーティングを設定したのだ
ミーテイングのついでに、と
どうせそっち方面に行くんだから、と
城戸の誘いに、吾郎は北岡を乗せようとしている

その日、夜遅くまで裁判の資料とにらめっこしていた北岡は、2時をすぎた頃書類を投げ出した
「あーもぉっ、つかれたー」
おもいっきりのびをして、それから側で同じく資料をひっくり返している吾郎を見遣る
「そうだよね・・・・」
「?」
つぶやきに、顔を上げた吾郎に北岡は少しだけ笑った
「たまにはゴローちゃんにも休みをあげないとダメだよね」
そうして北岡は吾郎の方へと身を乗り出し、悪戯っぽい視線を向けて笑った
「ね、ゴローちゃんがどうしても行きたいって言うんなら行ってあげてもいいよ
 そのかわり・・・・・・・・・・」
吾郎の主人を見る視線と、それがからみ合って また北岡が微笑した
「そのかわり、」

ベッドへと行くまでもなく、側のソファに身を投げ出すようにして北岡は吾郎の重さを感じた
するすると慣れた手付きで、上着が取られていくのを感じながら目を閉じる
どうせなら、二人きりの旅行がいいけれど
吾郎はあの二人をどことなく気に入っているみたいだから、たまには
「そういうのもいいかもしれないね、」
首筋に、鎖骨の側に、それから胸の突起に、と
彼の舌が這うのを感じ、小さく声を上げながら 北岡は彼をみた
他人が側にいるような旅行で、もし
自分がこんな風にねだったら、彼はどうするんだろうなんて考えておかしくなる
その時には、今みたいにしてくれるんだろうか
それとも、真面目な顔をして「人がいるから」などと言うんだろうか
「そういうのも、楽しそうだね」
「何がです?」
「何でもないよ」
いつものように優しく身体中を撫でられ、その指の感覚にざわざわと全身から何か波のようなものが生まれていく
熱くなった身体に何度もくちづけられ、舌で舐め上げられ、
そうやって高められていく身体に、快感を感じる
「吾郎ちゃんの手って気持ちいいよ」
彼の指が、ツ・・・・とその場所に触れ奥へと侵入してくるのを感じてゾクリ、と背筋を快感に似たものが走っていった
「ん・・・・・・・・・・っ」
同時に彼の口に 高まったものをふくまれ それで思わず背が反った
「あっ・・・」
舌で先端の敏感な部分を転がすように弄ばれ、ビクビクと肩が震える
「あ・・・・・・ごろちゃ・・・・っっ」
いきそうになるとその動きは止まり、奥をかき回していた指も抜かれる
「・・・・・は・・・・・・・・・・・あふ・・・・」
何度かそれを繰り返されると、北岡にはどうしようもない疼きが全身を支配した
視界がかすんだようになって、その向こうにかろうじて吾郎の姿が見える
いつも思うけど、吾郎ちゃんは脱がなくて、
俺ばっかりがこんな姿さらしてるんだよね、なんて
思っていると両方の足を捕まれ高く上げさせられた
つ・・・とうずいた入り口にかたいものが当たる
ぞく、と
これは期待だろうか
高まった感情が身体中に駆けていき、次の瞬間に強い圧迫と熱が入ってきた
「ん・・・・う・・・・・」
熱い、
でもそれは不快ではない
彼のものを奥まで飲み込み、北岡は吾郎の首に腕を回した
「あ・・・・・・・・・・っ」
彼が身をかがむと、ますます奥へと侵入してくる
苦しい、と
言おうとして
だが、それは吾郎の動きにかき消された
「は・・・・・・・・・っあふっ」
ぎしぎし、とソファが鳴る
彼が何度も強く奥を突き、それで北岡の意識は全てふっとんだ
一番奥の、疼きの中心に彼のものが強くあたる
熱を感じて、視界もやがてゼロになった
「あっ、あっ、あっ・・・・・・・・・・・・・」
必死で彼の首に回した手に力をこめて、それでただその熱をむさぼった
やがて、短く低く声を上げて果てた吾郎の下で、北岡も自らを解放した

しばらくボンヤリとした時間が流れ、やがて北岡の意識は落ちていく
「楽しみにしててあげる・・・・」
久しぶりの休日の、
こういう二人での時間のことを
その時彼は、どんな顔をするんだろう


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