性癖6 (赤×青)


朝、蒼太のアクセルラーに緊急の連絡が入った
近くの廃工場にネガティブが現れたから至急向かってくれ、とのことだった
指示に従い、走って指定の場所へと駆けつけ、辺りを見回す
ガラン、とした工場
放置された機材や木材、瓦礫なんかがそこら中に積み上げられている
誰もいない
他の皆はどうしたのだろうかと 思った瞬間 ガンッ、と
後ろ頭を強く殴られ 一瞬で気を失った
何かを考える暇は、なかった

ざらざらとした舌触り
甘い味が口の中から喉の奥に広がっていく
どこか南国のフルーツみたいな香りも、甘い味も覚えがある
昔、無理やりに飲まされたことがある
あの人がよく仕事で使ってたものだ
嫌だって言ってるのに こういうものの味も覚えておいた方がいいと言って 2.3度この身体に試された
忘れもしない、あの薬だ

「・・・っ」

うっすらと目を開けると、暗くてほこりっぽい床が見えた
頭が痛い
ぼんやりした意識を必死に現実に引き戻し、蒼太は辺りをうかがった
確か、アクセルラーに指令が入ったからこの工場にやってきたのだ
それから、他のメンバーが誰も来ていないのを不審に思い、
その後すぐ、急に殴られて意識を失った
(・・・ということは・・・)
身体を起こそうと思っても、腕が縛られていて できなかった
ジャラ、という鎖の嫌な音が響く
「起きたか、ボウケンジャー」
「気分はどうだ?青いの」
少し上から声がする
床に転がされている蒼太には姿は見えないが、声でわかる
クエスターの、ガイとレイだ
(サージェス本部の能無し・・・)
本部からの指令で呼び出されて そこにクエスターがいたということは、これは最初から明らかに罠だ
蒼太のアクセルラーに入った通信自体がニセモノということで
サージェスのシステムを誰かが乗っ取って 嘘の情報を流したということになる
世界にいくつも支部を持ち、あらゆる危険なプレシャスを守っているサージェスが こうも簡単に末端システムとはいえ、乗っ取られるとはどういうことか
(まぁ・・・あの人が相手じゃ仕方ないか・・・)
蒼太は、無能のサージェス本部を呪いつつ、まだ舌の上に残る薬の味に苦笑した
この状態では、どうにもならない
敵の目的もわからないし、これからどうなるのかもわからない
ただ一つだけ確かなことは、なぜか、彼が自分にコンタクトを取ってきて、自分をこんな状態にしている、それだけ
(・・・鳥羽さん・・・)
心の中で彼の名を呼んで 蒼太はぞわぞわ、と 身体に効き始めている薬の効果に歯を食いしばった

ガイとレイは、蒼太の身体に手をかけると 服を引き裂かん勢いで剥ぎ取った
「邪魔な鎖もはずしてやろう」
「どうせ薬で逃げられはしない」
二人がかりで押さえつけられれば 薬を飲まされていなくたって生身ではどうしようもないだろう
いつの間にかアクセルラーは奪われている
「よく効く薬だと言ってたからなぁ
 あいつが戻ってくるまで楽しもうや」
ゲタゲタと笑うガイの声が耳元で響く
気絶している間に飲まされたのであろう薬は 今や全身に回り、蒼太の身体を蝕んでいく
人の感覚を敏感にする媚薬
昔、蒼太に色んなことを教えてくれた先輩が 拷問に好んで使っていたもの

「う・・・・・・、ぐぅ」
手にも足にも力は入らなかった
痺れたように震え、刺激を求めている
快楽を与えられることを求めている
「ひどい格好だな、青いの
 壊れちまっても知らねぇぜ〜」
無理やりに床に手をつかされ、四つんばいにされ 後ろからガイのものを挿入され、
疼いた身体に穿たれた杭に、蒼太は呼吸を忘れて震えながら喘いだ
声も出ないほどに、苦しい
きつい、痛い
容赦なく突き上げる腰の動きに、肌が裂ける
じんわりと、生ぬるい血が滲み出す
「・・・くははは、こいつの中最高!
 いい薬じゃねぇか、たまんねぇなっ」
「あまりやって本当に壊すなよ、ガイ
 奴が後で尋問にかけると言っていただろう」
「壊れたらまた別のを捕まえてくればいいじゃねぇか
 次は女にしようぜ、女〜〜」
「お前はやりたいだけだろう」
二人の会話が遠くで聞こえてくる
相手が何であろうと、感じる
薬で敏感になったこの身体の疼きに痛みと快楽を与えれば 身体は我慢できずに反応する
行為に喜ぶように震える
呻きとも喘ぎともとれる声が 絶え間なく響く

「ひっ・・・ぎぅ・・ぃ・・・っ」
髪を掴まれて 後ろから激しく突き上げられ中に熱を注がれると 蒼太もまた同じように果てた
何度も行為を繰り返すガイと違い レイは蒼太の前に立ちふさがって 見下ろしているだけ
時々呆れたような言葉で攻める以外は、何もせず立っている
「はは〜ん、人間の身体ってのはいいな、やわらかくてよぉっ」
服をはいでしまえば無力なのも気に入った、と
ガイは蒼太を犯しながら その傷だらけの背中をざらついた舌で舐めまわした
「あぁぁあああっ」
ガクガクと、足が震える
腕も身体を支えていられなくなって、床にくずれるようになる
それでも 薬はまだ切れず、身体は行為を求め ガイは蒼太を犯し続ける
「しかしお前も抵抗一つしないな
 よほど、こういうことが好きなのか」
軽蔑したようなレイの言葉に 蒼太は麻痺する思考の中 苦笑した
この薬、飲まされるたびにひどい思いをした
あの人は、好んでこれを使うくせに 何も与えてはくれなかったから
疼いて、疼いて、行為を求めているくせに言えないで、一人堪えている蒼太を面白そうに見ていたっけ
使うなら、壊れるくらい犯して欲しい
でないと薬は切れないし、この手の薬は放置されるのが一番つらい
欲しいものを与えられないで、置いておかれるのがどれ程つらいか
尊敬し憧れていた彼の前で、自分で処理できる程 あの頃の自分は自分を捨て切ってはいなかったし

(むしろ・・・感謝・・・)

もう痛みの感覚も消えかけた身体の奥に当たる熱にうかされながら、蒼太は荒い息を吐き声を上げて何度もいった
どうしようもない自分に苦笑しながら
結局こんな奴ら相手に感じてイッて、もっと欲しがっている自分に嫌悪しながら
「ひっ、いっ、いっ、・・・・・・・・っあぁぁぁっ」
自分の声が、耳に煩いくらい響く

2時間くらい経ったのだろうか
ガイとレイと自分の声と、この身体から出る嫌な水音以外は聞こえなかった工場に靴音が響いた
「戻ってきたな」
「はんっ、ごゆっくりなことだ」
ずるり、とガイのものが引き抜かれ その感触に蒼太は背を逸らせて震えた
「あ・・・っく、、あぁぁぁ・・・・っ」
「まぁだ、いけそうだな、こいつ
 とんだ変態だぜ」
身が放れると、散々中に出されたものが こぷこぷと音をたてて流れ出てくる
「ひっ・・・ぐぅ」
びくん、びくん、と跳ねる身体を抱き 蒼太は涙ににじんだ目を開いた
かすむ視界に、見える
こちらへ向かってくる靴
その歩き方、靴音を知ってる
あの頃 憧れて、尊敬していた

「・・・鳥羽さん・・・」

現れたスーツの男は、ひどい姿で床に転がっている蒼太を見下ろして苦笑した
「なんだ、犯っちゃったのか
 こいつは薬だけ飲ませて放置してる方が いい顔するのになぁ」
残念、と
懐かしい声が笑った
鳥羽は 打ち捨てられている蒼太を抱き起こすと、側の水道をあごで指す
あの頃なら羞恥に泣きそうになっただろうけれど、今、頭は冷静だった
ガイのおかげで薬も弱まってきている
彼のいうように、放置されていたら今頃は泣きながら懇願していたかもしれない
犯してくれと、いかせてくれと
(ほんと・・・ガイに感謝・・・)
「その格好で商談ってのもなんだからな
 話できる姿整えてこい」
鳥羽は、そう言うと もう蒼太には興味を失くしたようにその場を立ち去り 後にはさっきの靴音だけが残った
「・・・だとよ」
ガイも、そう言って消える
レイだけがその場に残り やれやれという様子で 蒼太を見下ろした

水道の冷たい水で身体を洗って顔を洗って 頭から水をかぶると 気分は大分マシになった
我ながら強くなったと思う
こんな自分に嫌悪することは変わらないけれど、それでも今の自分には生き延びようという気持ちがある
なりふり構わず 必死に戦える理由がある
帰りたいから、あの人のところへ
誰に軽蔑されても、誰に何と言われ何をされようとも 諦めないでいられる理由がある
戻りたいから、あの人のところへ
(・・・チーフ・・・)
その名を心の中でつぶやいて、蒼太はパチンと自分の両頬を手のひらで叩いた
へこたれている暇はない
自分を蔑むのはいつだってできる
今は、帰るためにやるべきことをしなくては
戦わなくては、元 相棒と

蒼太が服を着ると、側に残っていたレイが蒼太の両手に手錠をかけた
背中を押されて 工場内を奥へ歩かされ、取り壊された応接の名残だろうか 古いイスに座らされる
「う・・・、くっ」
じん、と身体が痛む
痛いと感じる
思わず出た呻き声に、目の前に座って携帯をいじっていた鳥羽が嬉しそうに笑った
「おまえ、相変わらず我慢強いな」
いいことだ、と
彼のふかすタバコの匂いが鼻をくすぐった
よくホテルの部屋で こんな風に話す彼を見ていた
「別にオレはお前をどうこうしようとは思ってない
 欲しいものが手に入れば とっとと帰るよ」
変わらないのは 彼の方だ
優しい声なのに笑ってない目も、軽い口調なのに怖いことを平気で言うのも
「ところで、蒼太
 おまえ、今日は予定ないのか?」
「残念ながら・・・フリーです」
本当は片付けなくてはいけない報告書があるから 今日は一日基地でおとなしく仕事をしていようと思っていたのだけれど
報告書、昼までに出さないとまた叱られるなぁ、なんて暁の顔を思い出し 蒼太は笑った
「おつきあい、しますよ・・・鳥羽さん」
名を呼ぶと、あの頃の感覚に戻るかと思ったけれど そうでもなかった
自分はやはり、少し強くなったかもしれない

鳥羽とのやり取りも、レイの怪しげな機械にかけられても、蒼太は落ち着いていられた
常に緊張して身を守り、脱出の機会を探り全身を尖らせる
スパイ時代に鳥羽が教えてくれた戦い方で、自分はあの頃生き抜いてきた
今も 一人でする仕事のときにはそんな感覚に戻り震えることがある
身に染み付いたものは なかなか抜けないのを身をもって知っている
でも、今は違った
こうも冷静でいられるのが不思議なくらい
自分でも、のん気だなぁなんて思うほど 今の自分は緊張していない

(チーフ・・・)

ただ、暁が恋しい
帰りたくて、会いたくて、側にいたくて、苦しくなった
重症だと自覚しながら そんな自分に苦笑する
とりあえずはここを生きて脱出しないとどうにもならないのに、
暁にも二度と会えなくなってしまうのに

蒼太が落ち着いているのが気に食わなかったのか、鳥羽は突然立ち上がるとポケットから薬のビンを取り出した
ギク、とする
まさか、それをまた使う気か
「落ち着いたいい目をしてるな、蒼太
 それがオレにはちょっと気に食わない」
肩に手をかけられ、ドクンと心臓が鳴る
「もう一本くらい いっとくか?」
「勘弁してくださいよ・・・僕死にますって、そんな・・・」
声が震えた
自然 身体が逃げるようになり、手錠が手首に食い込んだ
ゾゾゾ、と 何かが背を伝っていく
「死ぬかどうか試してみろよ」
鳥羽は相変わらず 口元で笑って冷たい目で ビンを開けると蒼太の口の中に流し込んだ
むせかえるほどの甘い香り、舌にざらつく味
飲み下した途端、身体が震えた
おさまっていた身体のうずきも また復活する
「あ・・・ぅ・・・」
歯を食いしばった
必死に堪えようとした
犯された痛みとくいこむ手錠、思い出したように疼き始める全身に どうしようもなくなる
どうしようもない
「犯してくださいって言ってみろよ?
 昔みたいに泣きながら言ってみ?
 オレは優しいから やってやらないこともないぜ?」
顎を上げさせられ、嫌でも声が漏れた
「はっ、あ・・・っうぅ・・っ」
ドクン、ドクン、とまるで身体が自分のものじゃないように熱くなって 心臓が破裂しそうになる
意識が朦朧とする
どうしようもなく、求めてしまう
この苦しみをおさめる行為を求めてしまう
「あ、・・・いかわらず、鬼畜・・・ですよね・・・」
目を覗き込まれて、蒼太は震える声で言った
まっすぐに見つめ返すと 冷たいグレーがかった目がわずかに揺れる
「お前の今の飼い主は優しいのか?」
いつもの口調、いつもの言い方
あの頃 この人は自分のことを、こいつはオレの飼い犬だからな、なんて言ってたっけ
彼の元を去ったときから 自分は彼の犬ではなくなったのだ
「僕に・・は、や、優しいですよ・・・」
答えながら 暁を思い出した
彼はけして飼い主だとか犬だとかは、言わないだろうけれど
対等に人として見てくれるけれど
「こんな僕をゆ、・・・・許してくれます・・・」
鳥羽の指が頬をすべっていった
泣きそうに感じる
暁を思い出しても、鳥羽の手で感じる
「ふ、う、う・・・」
身体は震えるばかりで、息遣いも荒く まともに言葉が紡げない
「ひっ・・・ん」
動くたび、手首に冷たい鉄が食い込んで どうしようもなくいきそうになる
「素直にお願いすれば楽にしてやるものをな・・・」
強情だな、と
鳥羽は笑って 蒼太の口内に指を入れた
「んんっ、うぅぅ・・・っ」
執拗に舌を撫でられ 呼吸すらままならなくなり、蒼太はぎゅっと目を閉じた
唾液が口の端からこぼれて喉を伝う
何度か舌を弄られて 蒼太は抗えない疼きに白濁を吐いた

その後、気絶したのだろうか
ガイに叩き起こされた時 身体はまだ快楽の絶頂を漂っていた
「あ、あ、あ、・・・・・・・・・・っ」
もう、何が何だかわからなくなる
「蒼太、正義の味方もいいけどな
 そんなんで、お前の過去が変わるわけでも何でもない
 殺した人間が帰ることも、泣かせた人間が許してくれることもない」
鳥羽が耳もとで囁く
わけのわからなくなった身体と心に、その言葉は冷たく染み込んでいった
目の前に写し出される暗い世界
転がる死体、泣いた少女
過去の自分は、興味と好奇心のために たくさんの人を犠牲にしていた
そして、そのことに目を閉じていた
「蒼太、償いなどできないんだよ
 何をしたって、お前の過去は消えない」
首筋に、鳥羽の手が触れた
もはや、狂ったように身体が反応する
触れられただけで、痙攣を起こしたようにガクガクと揺れ 喘ぎ声が咽から漏れる
こんな風に、死んだ人を思い出しながら精液を吐き出し、行為を求め喘いでいるなんて
泣かせた少女を前に、与えられる刺激と淫猥な言葉を待っているなんて

救いようのない人間だと、また思い知らされる
それでも、それでも、諦めたくない
あの人が許すと言ってくれるかぎり、生きることを諦めたくない
過去を背負って、変わっていきたい

(チーフ・・・・っ)

歯を食いしばった
もう、ここまできたらほとんど意地だ
今まで、何かに必死になるような生き方はしてこなかった
スリルを求めて、新しい世界を求めて、色んなことを知って、自分が大きくなった気がしていた子供だった
負ける賭はしなかったし、任務のプランは念入りに、いくつもの逃げ道を用意しておくタイプだった
だから、あの世界でトップクラスにのぼりつめられたのだ
こんなギリギリの、絶対絶命のところから這い上がろうなんて発想は、あの頃の自分にはなかった

でも、今は違う
帰りたい、あなたのところに
その一心が、今の蒼太を動かしている

(チーフ・・・っ)

奪った鍵で手錠を開け、フラフラの身体を叱咤して歯を食いしばった
膝が萎える、腕が痺れる、頭はボウっとするし 身体は犯されている最中のように敏感に自分の動きの一つ一つに震えている
それでも、必死で戦った
そうしないと、帰れない
戦わないと、変われない
泣いている暇はないし、自嘲してる暇はもっとない
帰れば、あの人が言ってくれる
こんな自分でも、よく帰ってきたと言ってくれる
鳥羽の言うように、サージェスに身をおくことがただの自己満足でもいい
正義の味方を気取ったって、殺した人は生き返らないし 泣かせた人が許してくれるとも思っていない
ただ、それでも今は 生きていたい
この先、この手で守れるものを 精一杯守っていきたい
自分が、変わるために

*

*

*

結局、鳥羽と決着をつけた蒼太も、クエスターと決着をつけられなかった映士も プレシャスを護りにきた仲間達も 最後には鳥羽に助けられてミッションを終了した
去る後ろ姿に躊躇していると、暁が隣で苦笑した
「あれがお前の元 相棒か」
「・・・はい」
「助かったと言っておいてくれ」
「・・・はい」
「先に戻っている
 ・・・戻ってきたときにまだ薬が抜けていなかったら 俺の部屋に来い」
暁の言葉にドクンと心臓がなって、泣きそうになった
戦っている間中も、今も 必死に隠しているけれどやはりわかってしまうのか
他の皆には隠せているのに、暁は見抜いてしまうのか
「さっさと済ませて、戻ってこい」
その言葉に 心がぎゅっとなった
そう言ってくれるなら、
こんな自分でも、そんな風に戻ってきてもいいと言ってくれるなら生きていける
どんなことでも耐えられる

まだフラフラする身体を叱咤して、蒼太は鳥羽を追いかけた
「あの・・・っ」
あの頃と同じ、スキのない仕事をして去っていく変わらない人
色んなことを教えてくれた、憧れだった人
「なんだ、タフだな おまえも」
まだ動けるのか、と
振り返り 鳥羽は笑うと 立ち止まったまま何も言えないでいる蒼太の目を覗き込むようにした
「お前は相変わらず可愛かったが、・・・少し、変わったな」
「え・・・?」
走ったせいで息が苦しい
薬の効果が切れない身体が 今も悲鳴を上げている
「いいんじゃないか、変わるっていうのも
 自己満足でも何でも、そんな顔ができるようになるなら悪いことじゃない」
言うと鳥羽は 今にも泣き出しそうな蒼太に笑いかけた
じゃあな、と
手を振って背中を向ける
その姿に 本当に泣きそうになった
この間の本部での実験で、過去の幻影に、殺してきた人たちに おまえなど変われないと言われたけれど
何も変わらず、変わることもできないのだと言われたけれど
「変わった・・・僕が・・・?」
あの頃をリアルに知り、蒼太の罪を語った鳥羽が、最後に笑って言ってくれた言葉
「変わっ・・・た・・・?」
本当だろうか、あの頃と、少しでも変わったのだろうか
変われているのだろうか、少しくらいは
泣きそうになって、泣きたくなくて
蒼太は 苦笑してそっと息をついた
救われたような気が、した

その後、限界をとっくに超えている身体でようやく基地へ戻った蒼太は、まっすぐに暁の部屋へとむかった
「あ・・・の・・・」
震えた
今すぐにでも、足元に膝を折って 懇願したい衝動にかられる
してください、と
犯してください、と
それを必死に飲み込んで 言葉を探した蒼太を 暁はしぐさで呼び寄せる

「こんな状態でよく戦えたな」

服を脱ぐと 中はもうぐちゃぐちゃで、
火照りっぱなしの肌に触れられて、蒼太はそれだけで達しそうになった
それを、強く握り込まれて止められる
「あ・・・っ、ぐぅ・・・っ」
びくんびくん、と最初の痙攣が止まると、ガイによってさんざん弄られ犯されたところに暁のものが挿入される
「あ、あぁぁぁあ」
咽から上がる声は、まるでもっと、と懇願するようで
傷つけられた部分が熱をもってさらに痛みと疼きをもたらすのに、気が遠くなる程に感じた
どうしようもなくて、声をおさえることすらできない
暁によって、強く握り込まれていなければ もうとっくに果てているだろう
そしてなお、もっとと求めているかもしれない

ベッドの上で四つんばいにされ 奥へ当たる熱を感じながら 蒼太は最初から最後まで いいようのない昂ぶりに身を投げ出していた
ガイの時もそうだったけれど、この相手の顔の見えない不安な体位が 自分はとても好きだ
一方的に犯されるというその位置づけに、安心するのだろうか
与えられるものを受け止めて、必死に感じる
こぼさないよう 暁の熱を全部この身で受けられるように
「ひぁっ・・・、あぁぅ・・・んんんうっ」
ベッドに顔をうずめながら ボロボロの身体で懇願しつづけた
やめないで、もっと激しくして
壊れてもいい、気が狂うほど いかせてください

(ああ・・・僕は犬だ、ほんとに・・・)

鳥羽は、この性癖を見抜いていたのかもしれない
犬扱いされ、支配され所有されるこの安心感
こんな風に限界の身体でまだ求めるほど、依存している
自分より強い存在に どうしようもなく焦がれてる
「チーフ・・・っ、チー・・・っ」
熱いものが奥へと達して身を焼いたのに、背をそらせて蒼太もいった
ようやく与えられた解放に、身体に隠っていた疼きが一気に拡散する気がした
必死に掴んだシーツに 涙がぼたぼた落ちていく
悲しいわけじゃないのに、苦しいわけじゃないのに
喘ぎながら 蒼太は暁を呼び 快楽に溺れた身体で それでもまだ懇願し続けた
もっと、もっとと


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理