隣の天然 (赤×黒)


単独のミッションから戻ったら、サロンには映士しかいなかった
今日はあまりにも不確かなプレシャスの情報しかなくて、みんなでバラバラに調査していた
もっとも、蒼太は昨日から部屋に隠ってパソコンから情報を探していて引きこもり中
朝のミーティングにも出てきていなかったけれど
「明石まだ戻ってねぇの?」
戻る前にアクセルラーで通信した菜月は、さくらと一緒に随分遠くまで行ったようで戻るのは夜になると言っていた
自分もそこそこ時間がかかったから、暁はとっくに戻っていると思ったけれど
「明石?」
映士は真墨の言葉に、読んでいた本から顔を上げてクスと笑った
「・・・何だよ」
冷蔵庫から水を取り出してキャップを開けながら ちょっと気に食わない新入りの横顔を軽く睨み付ける
何がおかしいんだ
だいたい映士にも単独のミッションがあったはずなのに、もう戻ってくつろいでいるなんて本当に終らせてきたのだろうか
「おまえちゃんと調査したんだろうな」
「したさ、オレ様は探し物は得意なんだ」
(そりゃお前の武器が有利なだけだろ)
ふーん、と映士から少し遠いテーブルのスツールに腰をかけようと歩くと、その行動を負うような映士の視線と目が合った
「なんだよっ」
何、見てんだ
そもそも さっきのクス、は何だ
「いや、真墨はほんとうに明石が好きなんだなぁと思っただけだ」
「はっ、ぁ?」

ガタン、と
思わず座り損ねそうになって、慌ててテーブルに肘をつき体勢を整えて 真墨は何でもないような顔をしてこちらを見ている映士を睨み付けた
「誰が何を好きだって?」
「真墨が明石をだ
 だって帰ってくるなり明石は? って聞いたじゃないか」
にこにこ、と
何のつもりか 突然のことに 真墨は半分動揺しながら、半分怒りながら口をぱくぱくとさせた
何なんだ
まだ仲間になって間もない映士にバレる程 自分はわかりやすいのか
それとも暁がこいつに何か言ったのか
「誰が好きなんだよっ、あんな奴・・・っ」
顔が赤くなってないか心配になりながら、取りあえず吠えてみる
映士は真墨の剣幕に、わずかに首をかしげながら またクスと笑った
「何を怒ってる
 明石ならオレ様も大好きだぞ
 あいつはいい奴だ、話をしてると面白い」
ぱたん、と本を閉じ 脇に置いて映士はひとつ欠伸をした
「さくら姉さんだって、蒼太だって明石のこと好きじゃないか
 菜月はよくわからないけど嫌いじゃないだろうし、これだけ皆に好かれてるなんてモテモテだな、明石の奴」
何が言いたいのか、映士は上機嫌のようで ぽすんとソファに身体を鎮めるようにすると真墨を見てまた笑った
「だからっ、俺は明石なんか好きじゃないっ」
言う真墨の言葉を聞いているのか、いないのか
映士はまた欠伸をひとつすると、腕を伸ばして大きくのびをした
「明石の奴、有名なハンターだったんだってな
 昨日あいつの部屋で酒を飲んだ
 あいつは色んなことを知ってて話を聞いてて面白かった」
(俺の話 きいてんのかっ)
どこどこの国の宝のこととか、砂漠の国のこととか、未開の遺跡のこととか、古代文明の石盤のこととか
「そもそも何でおまえ 明石の部屋なんかに行ったんだよ」
「いいワインが手に入ったからだ
 牧野がくれたんだ、みんなで飲めって
 さくら姉さんに聞いたら 明石と蒼太しか飲めないって言うから明石のところへ持っていった」
蒼太は昨日からずっと引きこもって出てこないし、と
笑いながら言う映士に 何か嫉妬みたいな感情がふっと湧いた
(バカか俺、こんな新入りにまで妬いてどうすんだ)
必死に、それを打ち消そうとしていたら、自然眉が寄って険しい顔になる
「どうかしたか? 真墨」
「どうもしない」
「それでだな、明石と話をしながら酒を飲んでたら朝になったんだけどな
 あいつはそれでも話しきれないくらい 色んなところで色んな宝探しをしてたんだな
 また話を聞きたいから部屋へ行くといったんだ
 今度は真墨も一緒に来いよ」
「いらねーよ」
また、嫉妬みたいなものが沸き上がってくる
ようするに、こいつは「いい奴」として暁が好きなんだ
そして 真墨もさくらも蒼太も菜月もみんなが そういう感情で暁を好きなんだろうと思ってる
確かにそうだろうけれど
暁は少し強引すぎるところとか、何考えてるかわからないところとかあるけれど、
それでもリーダーには最適な人間だし、
何より今までの経験と知力、体力が まさにこのチームに最適の人物だ
「聞いておかないともったいないぞ
 明石の話は本当に・・・」
「いらねーって言ってんだろっ
 知ってんだよ、遺跡の話も砂漠の話も全部っ」
思わず立ち上がって、真墨はギッと映士を睨み付けた
暁の部屋には もう何度も何度も何度も行った
彼の日誌を読んだり、過去の冒険の話をしたり、資料整理をやったり、新しい情報を教えてもらったり、教えてやったりしてる
はっきり言ってここにいる誰よりも自分は暁のことを知ってる
こんな新入りの映士なんかに負けないくらい 色んな話を暁としてる
(だから妬くことなんかいなんだっての・・・っ)
最近、ようやく 暁の側にいる他人に対して嫉妬しているんだと自覚するようになってきた
そいつが暁に好意的ならなおさら
暁が大切に思っていれば、さらに激しく嫉妬する
(くそ・・・っ、こんなの暁が好きだって言ってるようなもんじゃないかっ)
落ち着け自分、と
思いつつ 映士を見遣ったら 当の本人は眠そうにしながら なんだ知ってるのか、と 特に何の意識もせずにつぶやいている
(なんなんだ、こいつ)
ことあるごとに、チーフがね、とか嫌味なのか何なのか ニコニコ笑ってふっかけてくる蒼太とは違って、映士は真墨に対して何か腹に一物あるというわけではなさそうだ
「すごいよな、オレ様もいろいろと旅をしたが、宝探しは聞いてたら楽しそうで オレ様もやりたくなった」
まだ 無邪気な顔で暁から聞いた冒険の話をしている
「オレ様がずっと探している 大昔に失われた高丘家の秘宝も 話に聞いたことがあるっていって調べてくれる約束をしたんだ」
「へぇ・・・よかったな」
サージェスでも結局再現できなかった映士の錫杖の作り方が書いてあるとか言う映士の言葉に、また暁の好きそうなものだな、と思う
隠された何々とか、誰も手にしたことのない何何とか、失われた何々とか
あの冒険バカはそういうのが大好きだから
「真墨も酒が飲めたらよかったのにな」
「別に飲めないわけじゃないっ」
「あいつは弱いって明石が言ってたぞ」
「おまえなっ、明石の言うこと何でもかんでも信じるなよっ」
「明石は嘘を言うような人間じゃないだろ」
「ば・・・っ、あいつほど腹黒いやつはいねーよっ」
「・・・そうなのか?」

これは天然なんだろうか、と
菜月とはまたタイプの違う無邪気さを感じて 真墨は溜め息をついてスツールに座り直した
暁が純粋にいい人に見えるなんて 騙されすぎだろう
「いいか?
 あいつは腹黒くて鬼畜で計算高い人間なんだよ
 信じてると、ひどい目に合わされるぞ」
(俺みたいに)
と、思いつつ 真墨は困ったような顔をして何かを考えている映士を見つめた
もしかしたら、自分ほど暁にのめりこまなければ、暁は純粋にいい人なのかもしれない
チームの皆が結局 彼を慕うのも、映士がたった2.3週間でこんなに信頼するのも
「・・・でも、なんだかんだ言っても結局真墨は明石が好きなんだろう?」
オレ様 そういうのはよくわかるんだ、と
結局 人の話を聞いていなかったのか そう纏めた映士に真墨は再び吠えた
「違うっつってんだろっ」

その夜、牧野のワインコレクションの中から適当に選んだものを手みやげに 真墨は暁の部屋へ向かった
誰が飲めない、だ
バカにしやがって
酒というものがあまり好きじゃないだけで、飲めないわけじゃないし
だから、酒を飲みながら冒険の話をするのだって 自分にもできる
映士の専売特許というわけではない
(結局 俺 嫉妬してんのか・・・)
ふと、そういう結論に至り1人 そんな自分に溜め息をつきつつ 部屋をノックすると中からいつもの声がかかった
もう通い慣れた部屋
サージェスに来てから何度も何度も通った部屋
「どうした? 暇なのか?」
中では暁がいつもそうであるように 窓際のソファで調べものをしていて、
床に山積みになった本が 今にも倒れそうにグラグラしている
「暇じゃないっ」
ドン、と
持って来たワインをソファに置くと 珍しそうにそれを見ながら暁はククと笑った
「なんだ、珍しい」
「あんた 映士に俺が酒飲めないっつったろっ」
「コップ半分でダウンするだろ?」
「んなことないっ」
「・・・じゃあこれで試すか?」
可笑しそうに笑いながら 暁が奥からグラスを持ってくる
慣れた手付きでワインをあけて、透明な液体を注いでいく
「それにしても上等だな、これ
 昨日 映士がもってきたのも結構いいのだったが」
(そりゃ、あのオッサンとこからパクってきたからな・・・)
何かいいとかわからないので適当に持ってきた
もしかしたら メチャクチャ高いのかもしれなかったが知ったこっちゃない
どうせ置いておくだけで飲まないのだから 1本くらい減ったってかまわないだろう
「映士 よく来んのかよ」
「いや、昨日が初めてだったな
 そもそも隣だからな、よく顔は合わすが」
隣に暁が座ると、ドクンと心臓が鳴った
我ながら情けないことに、未だに
未だに 暁が側にいるだけで体温が上がり 心拍数も上がる
意識してしまう
彼の存在を、彼の与える熱を
「ああ・・・そっか・・・あいつの部屋ってあんたの隣だっけ」
「突然何かのきっかけでアシュ化しないように見張ってる」
一応な、と
言う暁は もう2杯目をグラスに注いでいる
「ふーん・・・」
手の中のグラスを満たしている液体を見ながら 昨日はここに映士がいたのかと思うと また少し悔しいような気になった
こんなことにいちいち嫉妬していては仕方ないけれど
チームのメンバーそれぞれに個室が与えられている上、皆で顔をあわせるためのサロンがあるので 普段 他人の部屋へ行ったりはしない
真墨だって暁以外の人間の部屋へ行ったことはなかったし、
真墨の部屋にも 暁以外の人間が来たことはない
それが、暁は違うのだ
ここに来るのは自分だけじゃない
もしかしたらみんな、暁の部屋に来たことがあるのかもしれない
「ここさ、みんな入ったことあんの?」
「蒼太と映士くらいだな」
「さすがに女の子は来てないぞ、と
言いながら 暁はおかしそうにまた笑った
「笑うなっ」
「いやいや、お前は相変わらず そういうとこ可愛いな」
「なにがだっ」
可愛いとか言うな、と
ギッと睨み付けると ひょいと手の中のグラスを取られた
「・・・っ」
「飲みにきたんだろ?
 せっかく上等なんだから 一口くらい飲めよ?」
そのまま、顎を取られ唇にグラスをつけられた
「ん・・・っ」
冷たい液体が口の中に流れ込んでくる
こぼさないように慌てて飲み込んだら 酸っぱいような苦いような よくわからない味がした
そのまま、暁はどんどんグラスを傾ける
「んんーーーっ」
顎に冷たい液体が流れていくのを感じながら 必死に飲み下して けっきょくグラスをカラにさせられた
「自分で飲めるっ
 それにワインはこんな風に飲むもんじゃないだろっ」
上等なんだから一口くらい飲め、と言うなら もっと味わって飲ませるべきだ
一気飲みしたって 味の良さなんてよくわからない
(まぁ・・・ワインの味なんてわかんねーけど)
吠える真墨の話を聞いているのか、いないのか
暁はグラスを床へ置くと ぐい、顎から首へ流れていったワインを袖でぬぐった真墨の腕を掴んだ
「なんだよ・・・」
そのまま、口付けられる
ドクン、心臓がなって 頭がクラ、とした
口付けは、口内をかきまわすように執拗にくりかえされ、舌を絡め取って呼吸を奪った
「ん・・く・・ん・・・」
もがこうにも、腕を掴まれて身動きできない
震えながら グラグラする意識を必死に保とうとした
体温が急激に上がっていくのがわかる
最近の暁は、こうやってよく触れてくる
何でもない時にも こんな風にする
おまえが誘ってるからだろう、と 奴はいつも言うけれど 今日のだっていつもだって誘ってなんかいない
いつも通りにしてるのに、暁が勝手にそういう風に取ってるだけだ
「んぅ・・・っ」
ようやく解放される頃には、体温は上がりきっていて、荒い息遣いで真墨は半ば押し倒されるような格好で暁を睨み付けた
たった1杯しか飲んでいない酒が 身体中に回っていく
「やっぱり酒に弱いな、もう涙目になってる」
「苦しかったからだっ」
「そうか、涙目はいつもか」
「聞けよっ、俺の話っ」
いつもいつも、映士といい暁といい 人の話を聞けっての
暁の舌が首筋にふれて、いつのまにか全開にされているシャツの中に手を入れられて 真墨はゾクゾクと慣れた行為に震えるのを必死に耐えた
息が荒いのが戻らない
「く・・っ、ふ」
胸の突起を弄られると 声が抑えられなくなった
いつもはこれくらいまでは 我慢できるのに
恥ずかしい声を出さないよう歯を食いしばっていられるのに
「く・・・そ」
ぎゅ、と目を閉じると、熱をもった部分へと手が伸びて 指で先端を擦られた
「あ・・・っ」
思わず声が上がる
慌てて自分の手で口を塞ぐと いつものいじわるの顔が見下ろしてきた
「せっかくいい声なんだから、聞かせろよ」
そのまま わざと声をあげさせようと 敏感な部分ばかりを攻め上げる
「ひ・・っん、や、いやだ・・・っ」
じゅくじゅくと濡れるのを感じながら、暁の手に握り込まれたものが熱く熱くなっていくのを感じた
震えながら それでも必死に声を出さないよう 必死に口を手でふさいだ
なぜって、暁の隣の部屋には 映士がいると知っているから

「なんだ、聞かせてやればいいだろう」

だんだんと、暁の攻めに容赦がなくなる
手加減されていても感じるのだから、暁が本気になれば 真墨には声を抑えようなんて余裕は一切なくなる
グチュグチュと濡れた音をさせながら 自分が暁のものをくわえこんでいくのに ぞくぞくとどうしようもなく感じる
身体の熱に頭が変になりそうだ
「ひっ、いっ・・・・いぁぁぁ・・・っ」
咽を震わせて1度目達した真墨に さらに深く身を沈めて 暁はその耳もとに囁いた
「気絶しないようにしろよ?
 酒が回ってつらいだろうけどな」
耳にかかる暁の息遣いが いっそう体温を上げる
どうにもならないくらいに感じる
この行為を求める心が 昂って仕方がない
繋がっていることが、こういう行為をする程特別なのだと思えて誇らしささえ生まれる
実際、暁は相手が自分でなくたって、こういう行為を平気でするんだろうけれど
「あぅ・・・んんぅっ」
ゆっくりと、また動き始めた暁の与える感触に ぞぞぞ、と全身が震えた
次第に激しく突き上げられ、頭が真っ白になる
自分でも、何が何だかわからなくなる
必死に暁にしがみつくよう服を掴んで声を上げる
そして果てる
暁の腕の中で、抱かれるたびにそれを繰り返す

結局、最中に何度も気絶したのを容赦なく叩き起こされて、真墨が解放されたのは夜中3時頃だったボンヤリした頭をはっきりさせようと水を飲んで フラフラの身体を叱咤して服を着た
「なんだ、戻るのか」
「朝 映士と会ったら嫌だからっ」
暁の部屋から出るところを、隣の部屋の映士に見られたら また何と言われるかわからない
お前も話をききにいったのか? とか無邪気な顔で言うんだろうか
「あいつは早寝早起きだから大丈夫だ」
どうせ 昨日やってた時間も寝てたろ、と
気楽な暁を睨み付けて 真墨はカラのペットボトルを投げ付けた
「起きてて聞こえてたらどうすんだよっ」
「いいじゃないか、いい声なんだから」
「よくないっ」
言いながら、まだ身体に残る余韻にゾク、として 真墨は大きく息を吐いた
「もういいっ、部屋に帰るっ」
「気をつけてな」
クク、と笑った暁をもう一度睨み付けて 真墨は今にも崩れそうな身体を引きずりながら暁の部屋を出た

途端、そこで映士と会った

「ぅ、・・・・わっ」
思わず叫びそうになったのを必死で堪えた真墨に 映士は何か言いたげに近付いてくると まじまじと真墨の顔を覗き込んだ
「な・・・んだよっ」
何でこんな時間に廊下にいるんだ
もしかして、聞かれたか
それでからかいにでも来たのか
「大丈夫か? 真墨」
「なに・・・が・・・」
「明石に何かひどいことされたんじゃないか?
 おまえ、いくら明石のこと好きだからって ひどいことされて黙ってることないんだぜ?」
映士の言葉に、真っ赤になって言葉を失った真墨は 一体どう言い訳すればいいのかと思考停止した頭で必死に考えた
映士がこんなことを言うってことは、聞こえていたということか
寝ていたのを起こすくらい、デカい声だったっていうことか
「な・・・なんか・・・きこえた・・・か?」
「オレ様が朝起きた時に お前の悲鳴みたいなのが聞こえた」
「・・・いつ・・・?」
「いつ?
 朝 3時くらいだ」
それ朝っていうのかよ、と思いつつ
どこか心配気な映士から離れるように一歩あとずさる
できるなら ここで走って逃げてしまいたかったが そんなことをしても意味がない
なんとかして誤魔化さなければと、思っていたら 映士は眉をよせながら言い放った
「おまえの言った通りだったな
 明石はいい奴じゃない、仲間にひどいことをするなんて
 あんまりひどいことするようなら オレ様がかわりに言ってやるからなっ」
「え・・・いや・・・え・・・、」
そもそも年下だからって遠慮することないんだ、とか
好きだからって我慢することないんだ、とか
いくら揉めたといっても 強い者は弱い者に手加減してやらなくちゃならない、とか
「なんの話だよ・・・っ」
誰が弱い者だ、こいつ人をバカにしてんのかと思いつつ 真墨はまじまじと映士を見た
「だから、おまえなんか明石に叶うはずないのに モメたくらいで本気出したら可哀想だろ?
 そんなこともわからないで手加減しない明石は いい奴とは言えない
 オレ様が明石と話つけてやる」
お前の言った通りだったな、と
1人納得しながら怒っている映士に、真墨はふらふらと今にも倒れそうになるのを必死に我慢して言った
「や・・・大丈夫だから・・・余計なことしてくれなくていい・・・ 」

どうやら、映士は本気で天然で
あの声を聞いて 想像したのが真墨が暁に一方的にやられている喧嘩だったと思い込んでいるのだろう
(失礼なこと言いやがって・・・)
そりゃ自分は暁にはかなわないけれど、あの言い方はないんじゃないのか、と
思いつつ、とにかく映士が天然でよかったと 真墨はようやく辿り着いた自分のベッドに倒れ込んだ
とりあえずは、映士が他に吹聴しなければ ことの次第はバレずにすむ
こんな関係、はっきりいって異常だとわかっている
暁は気にしないだろうけれど、自分は気にする
ここまで彼に堕ちているから余計に 認めたくない
自覚しているのに、認めたくないなんて矛盾してるよな、なんて自分自身に苦笑しつつ 真墨は目を閉じた
まだ身体中に、暁の触れた感触が残っている
その熱がうずいている
(明石・・・・)
ゆっくりと、眠りに落ちながら 真墨は暁の名を呼んだ
じりじりと身を灼き続ける熱を抱きながら

 


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