3回目の罰 (赤×黒)


不本意だけど、最近の自分は心の底から暁を求めている
一方的に憧れていた頃とは違う感情が、深く深く心に根付いて どうしようもない程に欲している
同時に、ここまで落ちてしまったことが悔しくて
自信家のあいつが 余計な自信をこれ以上持たないように
手に入ったと思われて飽きられてしまわないように
この想いがあいつに伝わってしまわないように 必死に隠している(つもり)
そのくせ暁が自分以外の誰かを構ったらひどく嫉妬して
どうしようもなくイライラしたり、心がぎゅっとなって泣きそうになったりする
これほどに翻弄されて、
これほどに心揺らされる相手は初めてで
多分、こんな風に想う人間は 後にも先にも暁だけだと自覚している

だから余計に、こんなにも想いが深いのは自分だけだという不満が常にある
暁には、本当は別に自分などいらないのだ
奴は1人で何でもできるし、自分がいなくたって 誰もが暁を好きになる
暁は何も言わないし、何でも1人で解決する
そのくせ、多くを語らず いきなり命令して支配する
言ってくれたっていいのに、言ってくれない
そんなに信用できないかと、言いたくなる
教えてくれたっていいのに、何を考えているか、何を知っているのか
話したって無駄だと思っているのか、それとも自分以外の者は知らなくていいことだと思っているのか
それがたとえ、自分を守ってくれてのことだとしても、知りたい
暁のことは何でも知りたいし、暁の考えていることを教えてほしい

「お前は知らなくていい」

だから、今朝もそう言われた時 カチンときてミーティングのすぐ後に 真墨は基地を抜け出した
しばらく本部には行くな、という今朝下された命令
なぜ、と聞いても 暁はいつものように教えてくれなかった
どうしても行く用がある時は俺に言えとだけ言った時 暁は一瞬蒼太を見て、
蒼太はいつものように はい、と素直に返事をして暁に視線を返した
それが、かなり気に入らなかった
蒼太は暁がそう命令した理由を知っているのだ
あの視線にそう直感した
嫉妬する
自分には知らなくていいと言った その内容を知ってる奴がいること
さくらは、いつも通り 暁の命令には忠実で「知らなくていい」と言われても特に気にもしてないようだった
菜月と映士は本部に興味などないのだろう
チョコに夢中になっている菜月の隣で、映士は適当な返事をしていた

(みんな不満じゃないのかよっ)

暁が何も言ってくれないことに不満を持つのは自分だけなのだろうか
何か知っている様子の蒼太に嫉妬するのは自分だけか
悔しくて、腹立たしくて、
考えるより先に身体が動いてしまったのだ
行くなという本部に何があるのか、行ってみればわかるだろうと

実際、真墨はほとんど本部に来たことがなかった
そもそも、用事がない
暁のように上層部にちょくちょく呼ばれて報告をすることもないし、菜月のようにカウンセリングを受けに行くこともない
蒼太はボウケンジャーとは別の特令がよく下るから そのために本部によく行っているし、さくらも暁の代理で時々 でかけていく
映士は最近入ったばかりだから別として、自分だけが そういえば本部と縁がない
(別に縁なんかなくていいんだけど・・・)
基地を出た時 憤っていた気持ちは、本部につく頃には半ば冷めていた
サージェスという団体は、得体が知れない
プレシャスによって人々が危険な目に合わないよう プレシャスを保護している団体
一財団のくせに世界中に支部があり、巨額の資金を回している
オークションに大金を注ぎ込んで宝を買っただの、軍隊のような隊を編成して 遠く遠くの小さな国から国宝を奪い取ってきただの
その宝がプレシャスだったから、保護したのだと言えば聞こえはいいが やっていることは常識から外れている
ボウケンジャーだって、隠されたものを探し出し手に入れるために わざわざ作られたチームだ
普段 何気なく使っているスーツやマシンも、よく考えたらどこから生み出されたのかわからない程に巨大なエネルギーを使用しているし
新しい装備が増えるたび、メンバーの身体にかかる負荷も大きくなる一方だ
生身の人間が着て戦うのに耐えうるものを製作し実用化させているのは 本当にすごいことなのだろうけれど
だんだんとそれがエスカレートして、いつかメンバー全員が身体にかかるエネルギーの大きさに押しつぶされてしまうのではないかと、時々考えることがある
新しいマシンの試乗の時とか、武器を扱う訓練をしている時とかに

そんなものを作って、そんなものを他人に着せて戦わせて、
自分達は綺麗なビルの中で 世界中の宝を集めて欲しいままにしている連中
それがサージェス本部の人間なのだとしたら、確かに進んで関わりあいになりたいとは思わない

「本部って、黒い噂が耐えないからね」

蒼太がよく 冗談まじりに言っていた
本部って嫌いなんだよねー、とか
あそこの人間って得体が知れないでしょ、とか
ただの世間話と聞き流していたけれど、実際 暁があまりに無茶を言う本部からメンバーを庇って 本部の人間と口論になることもあるという噂だ
(あれって本当なのかもな・・・)
入り口を入って冷たい廊下を歩きながら 真墨はぼんやりと暁の顔を思い浮かべた
何も言わないけれど、
何も教えてくれないけれど、
そういえば、いつも暁は仲間を守ってくれている
今回も、本当に今の本部は危険で その危険から皆を遠ざけようと「行くな」と命令したのかもしれない
たまたま蒼太はよく本部に行くから事情を知っていて、暁の命令に 心当たりがあっただけなのかもしれない

(・・・帰ろ・・・)

なんだか、こんなところまで勢いで来ておいて何だけれど、すぐにカッとなるのは自分の悪い癖だな、と思った
冷静に考えれば 不満は残っても納得はいく
本部が好きなわけでも何でもないし、別に行くなと言われても困ることなんてないのだから
「アホらし、帰ろう・・・」
つぶやいて、立ち止まり元きた道をもどろうと振り返った
そこに、1人の男が立っていた

「う・・・っわ・・・」
小さく声を上げて、真墨は思わず飛び退いた
こんな広い廊下で こんなすぐ側にいなくてもと思いつつ 相手の顔を見遣る
白衣に眼鏡のオッサン、名前は
(・・・佐々木)
ネームプレートについている名前を何気なく読みながら 真墨は気を取り直して軽くぺこ、と頭を下げると男の脇を通り抜けようと歩き出した
気味悪い雰囲気の男
口元に笑みのようなものを浮かべているのに 目が笑っていない
本部の人間は得体が知れないと言っていた蒼太の言葉を思い出した

その時

「君、ボウケンジャーのメンバーなのかな?」
「え・・・?」
突然話し掛けられ、まさに彼の横を通り過ぎようとしていた真墨は思わず足を止めた
途端、強い力で腕が捕まれ、チク、と痛みが走っていく
「つ・・・っ」
顔をしかめて腕を払いのけ、相手の顔を見ると 少し揺れている気がする
白衣の男の手に 何かが光って しばらくそれを凝視した後 真墨はようやくそれが何かを悟った
注射器だ
何のためにこんな場所で男がそれを出したのかはわからなかったけれど、さっき感じた痛みは それが腕にささった痛みか
「・・・なん・・・」
また視界が揺れた
男が近付いてくるから、同じだけ真墨はあとずさる
「今ね、君たちの訓練のために新しいシステムを作っているんだよ
 こういうものは何度か試験をしなくちゃ完成できなくてね
 なのにおたくのチーフは何度試験に協力してくれと言ってもしてくれない
 他に試験するのにピッタリな人材なんていなくてね
 困ってたところなんだ、君、ちょっと協力してくれないかな」
彼の言葉は聞こえているけれど、口がうまく回らなかった
足もフラフラする
どんな薬を注射されたのかさっぱり分からなかったが、ここにいるのは危険だと感じた
この男は、変だ
「・・・く・・・そ」
長い廊下に人陰はない
佐々木はゆっくりと歩をつめてきて、真墨を壁際へと追いやった
逃げ場がなくなる
そう感じた途端、怖くなった
身体の自由がきけば こんな奴一発殴って逃げるのに 薬のせいでそれもできず 無力に相手を睨み付けるだけ
その視線を覆い隠すように手が伸びて来て、真墨はそこで一度意識を失った

気付いた時、両脇を2人の男に支えられ 廊下をズルズルと歩かされていた
気を失ってから そう長い時間はたっていないようだ
「くそ・・・っはなせ・・・っ」
もがいてみるが いつものように力が出ない
それでも、さっきよりは目のくらみも声がでないのもマシになった
「タフですね・・・薬が足りなかったのかな」
前を歩いていた佐々木が 呆れたように振り返る
「どこ連れてく気だ・・・っ」
睨み付けたら、奴は笑って 実験室だと答えた
その言い方が、気味悪くて
この状況ではどうしても逃げられなくて
真墨は、暁の命令に背いてこんなところに来たことを後悔した
恐怖に似たものが満ちて行く

長い廊下を歩かされて辿り着いたのは別館だった
そして、別館の入り口に暁がいた
「あか・・し・・・っ」
その姿を見るなり男達は顔色をかえ、真墨は心の底から安心した
緊張と恐怖で冷めていた身体に熱が戻るようだった
「俺の部下をどこへつれていく気だ?
 実験材料にされるのはお断りだと言ったはずだが?」
つかつかと、こちらに歩いてきた暁の顔は厳しく 目は冷たい色をしていた
ヘラヘラと 何か言い訳をしている佐々木の横を無言で通り過ぎ、真墨を両方から抱えている男二人の手を払い除ける
途端、支えをうしなった真墨の身体は地面へとなげだされた
「う・・・く」
助けてくれるなら もう少し優しく扱ってくれてもいいのに、と
恨み言のひとつでも言ってやろうと、震える手で必死に身体を起こしたら ぐい、と乱暴に髪をつかまれ顔を上げさせられる
「い・・・っ」
悲鳴に似た声が思わず上がり、
何するんだ、と睨み付けてやろうとした瞬間 その頬を思いっきり叩かれた
一瞬 何が何だかわからなかった

暁は無言で真墨をひっぱたいた後、乱暴に腕を掴んで立たせると まるでものを扱うみたいに引きずるように歩き出した
薬で萎える足で必死に立ち よろよろと歩いて表まで来たところで、車に乱暴に押し込まれる
「明石・・・っ」
なんなんだよ、と
抗議しようとしたら、運転席に座った暁はこちらを見ようともせず一言冷たい声で言い放った
「命令違反だな、真墨
 帰ったら罰を与えるから覚悟しておけ」
それで、理解した
暁は 命令に背いた自分に怒っていること
その怒りが、いつもの余裕あるものではなく こんな風に自分をものみたいに扱って連れて帰るくらい激しいものだということ

基地に着くなり また乱暴に腕を捕まれ 冷たい一室へ放り込まれた
腕を後ろで縛られて、身体の自由がきかなくなる
暁は薬棚にいくつも並んだびんの中から何かの薬を取り出すと、床に転がるように倒れている真墨の髪を乱暴につかみ、その口の中に薬を流し込んだ
グラリ、と視界が揺れ 咽に熱い液体が通っていく
「ぐ・・っ」
むせかえしながら 涙目になった目で見上げるとやはり暁は冷たい目をしたまま
薬を飲み下した真墨を また床へ放ると 今度はまるで物置きのように整とんされていない部屋の一画から何かの機械を持ってきた
一目見てわかる、それは拷問に使う機械で
性的欲求を満たすために売ってる大人の玩具とはわけが違う代物だった
ゾク、と
それを見た途端に、下半身が疼いた
「あかし・・・」
声が震えて 必死に暁を見上げた
あんなもので罰を与えるというのか
では、今飲まされた薬は媚薬みたいなものか
「いやだ・・・っ」
痛みを与えられるのに慣れた者を拷問にかけるのに使われる道具
そんなものを 今の身体に入れられたら気が狂うと思った
その想像だけで、ドクンドクンと心臓が波打つ

「ひ・・・・っい、うぁぁ・・・っ」
慣らしもせず、濡れてもいない身体に 暁は容赦なくその拷問機具を突っ込んだ
肉が裂ける様な痛みの後 どうしようもない疼きの波が襲い掛かってくる
機械は真墨の中で小刻みに動き、内壁を擦りあげ、時に激しく奥を突いた
「あぐ・・・っ、い、い、・・・・あぐ・・・・っ」
自分の身体じゃないくらいに感じる
どうしようもない程に疼いてたまらない
こんな堅くて冷たい機械に犯されているだけで、こんなにも感じる
モーター音と自分の声だけが響いて、暁は無言でこの罰を与える
意志に関係なく、熱いものがそそり立ち 機械の動きにいかされるのに真墨はどうしようもなくただされるがままに転がっている

「ひ・・・あ・・・・っ、」
ぶるぶると、震えて真墨は必死にもがいた
何度いっても身体が萎えない
何度いっても終わらない
「ああああ、あああああ・・・・っ」
いやいやと首を振っても 暁はやめてはくれず、無言の攻めが繰り返される
「お前は懲りないからな、痛い目みないと命令がきけないなら、望み通りたっぷり痛めつけてやる」
後悔して反省しろ、と
いう声が冷たいのに、思わず涙が溢れた
後悔した
反省した
あの時 暁が助けてくれて心底ほっとした
あの気味の悪い奴らから守ってくれていたのだと理解した
もう命令違反はしない
お前は知らなくていい、とそう言ったのは あんな狂人めいた本部とは関わらなくていいと そういうことだったのだ
全てを知って嫌な思いをするのは自分だけでいいと、そういうことだったのだ
「あぐ、ひぅ・・・っ」
ぴくん、ぴくん、と
また身体が解放を迎えると、真墨は荒い呼吸の下必死に懇願した
わかったから許して、と
もうしないから許して、と

薬の作用で敏感になり、何度もイって自分の吐き出したものにまみれ、震えている身体に深く穿たれた機械を、さらに奥へとねじ込まれ、真墨は掠れた悲鳴を上げた
真墨の身体は この罰がはじまってから1時間以上たった今も薬のせいで萎えることなく次の解放を求めてそそりたっている
「ああぁぁあっ・・・・・・あか・・しっ」
涙声で呼んでも、当の本人はこたえてくれず、身体の奥に穿つように挿入された機械のモーター音だけが静かな部屋に響いている
「回転数をあげるか?
 それとも、もっと奥まで突っ込んで欲しいか?」
手にしたリモコンを弄ぶようにくるくると回し、暁は溜め息を吐き 足下で震えている真墨を見下ろした
「い・・い・・・いや・・・・も、いゃだ・・・・っ」
両手を縛られて、自由を奪われたこの身体は 気が狂いそうになる程にいかされて 今にも壊れそうだ
紅潮した頬も、涙でぬれて
懇願の声は、もはや掠れて痛々しい
「お前は学習能力がないな、お前の都合は聞いてないって言わなかったか?」
言う暁の声は冷たいまま
いつもの笑みは、かけらも見えない
目は無機質な色をして 自分の吐き出したものに濡れて汚れた真墨の身体を見下ろしている
「ゆる・・・ゆるして・・・も、ゆ・・・っ、ゆるし・・・て・・」
言葉にならない声を必死にしぼりだすようにして、真墨は暁を見上げた
自分は暁を怒らせるようなことをした
だから、これは自業自得なのだけれど、でも
「ゆる・・・ゆるして・・・っ」
もう何度も繰り返した懇願をもう一度言葉にすると、暁は真墨を一瞥した後 真墨の目の前に手にしたリモコンを持って来た
「メモリが見えるか?
 今、10段階中たったの4だ」
身体が震える
暁の声に、びりびりと全身が震える
「メモリを最大の10に上げるまで イくのを我慢できたら許してやる」
どくん、と
その言葉だけで、どうしようもなく熱い身体の中心がどうにかなりそうなくらい疼いた
答える間もなく、カチカチ、とメモリが上げられていく
同時に中を擦り上げている異物から伝わる感覚が強まって、呼吸すら忘れてしまう
「ひぃ・・・っ、あぅぅうう・・っ」
がくがくと、震える身体
耐えようなんて意識さえできないほど 麻痺した思考
与えられる強すぎる刺激に抗えるはずもなく
これ程 さんざんいかれさた後の身体で、この攻めに耐えられるはずもなく
「ひ・・っ、い、い・・・・ぅ・・・っ」
ぼろぼろと涙をこぼして、真墨はどうしようもない身体から白濁を吐いた
それで熱が冷めればまだいいけれど
この身体は 冷める機能を無くしてしまったかのように熱いまま
真墨は果ててなお、引かない疼きに気が狂いそうになる

「続行だな、まだ7までしか上げてないぞ」

暁の温度のない声
続けられる容赦のない攻め
もはや、感覚が麻痺して 感じるのは苦しみに似たものだけ
暁はそこに立って見てるだけで、自分だけがこんな風に狂ったようにイく
自分だけが壊れて堕ちていく
悲鳴を上げながら、真墨は何度も床に白濁を吐き出し1時間以上も この行為にもがいている
それでもまだ、暁は手を緩めてはくれない
泣いて許しをこうても、罰であるこの行為は終わらない
気が狂うほどいかされてもまだ、許してもらえない

結局、真墨は最後には気を失った
全身が熱くて、いつまでも身体の奥で疼き続ける何かを感じながら 真っ白になって目を閉じ、
その後、未だ怒ったままの暁の声を聞いた気がした
「これに懲りたら二度と 一人で本部には行くなよ」
おまえまで、奴らの餌食にされるぞ、と
まるで独り言みたいな言葉
言い様のない怒りを含んだ声
朦朧としたこまぎれの意識の中 許してと、もう一度懇願した
声になど、ならなかっただろうけれど
その後 すぐに頬をなでる暁の指の感触を感じ 真墨の意識は完全に途切れた


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