2回目の治療 (赤×黒)


暁が真墨を見つけたのは、真夜中だった
部屋に戻ったらすぐに医務室に来いと言ったのに、真墨はいつまで待っても現れず
丁度 医務室が込み合っていたから医者の手伝いなんかをして時間をつぶして、
夜中になって医務室の怪我人が誰もいなくなってようやく 暁は時計を見た
「・・・いくら何でも遅すぎるな」
強がっていたけれど、あの傷は相当なものだったから 部屋で倒れてるのかもしれないと
医務室を出て真墨の部屋へと向かう
ノックして、返答がないから勝手にドアを開けて、中に誰もいないのに首をかしげ
しばらく辺りを探していた
どこかで倒れているのか、
それとも あんな傷でフラフラとでかけていったのか

(・・・見つけたらお仕置きだな)

電話にも出ない、チームの誰も行き先を知らない、時間は真夜中で、自分はさっきから1時間以上も真墨を探しまわっている
溜め息を吐きながら、暁はもう一度真墨の部屋へと戻ってきた
暁と同じ広さの部屋のはずなのに、おいてあるものが多くて狭く感じるこの部屋は いつ来ても片付いていない
床にはいくつかのバックが転がっていて、中から本やノートやトレジャーハントの道具がはみだしている
棚に並んでいるのはお気に入りの宝なのか
所狭しとひしめきあって、
かと思えば飲みかけのペットボトルが宝の隣に何本も並んでいる
「・・・らしいと言えば、らしいか」
探せる場所は全て探してしまったから、あとはもうここで待つしかないだろうと戻ってきてはみたものの
あまり片付いているとは言えないこの部屋の どこに落ち着こうかと暁は苦笑した
服が散らかっているが、一番片付けやすそうなのはやはりベッドか
思って、近付いた
丁度その時、そのベッドにどさり、と
気を失った真墨が 空間から突然落ちてきた

「・・・・」
つかつかと、そのまま真墨の側へ寄って うつぶせで落ちてきた真墨を抱きおこして仰向けに寝かせた
堅く目を閉じて、苦し気な表情をしているその顔を見て なんとなくここに至る経緯を悟る
真墨のこういう顔を、自分はよく見ているから
ひどく犯した後 気を失った時 真墨はこんな風に苦し気に目を閉じているから
(変わった術を使うな・・・)
力なくベッドに落ちている手を取って脈を計り
それから そっと服を脱がせた
身体中に、痛々しい戦いの傷がある
ひどい傷なのに こんな時間まで放置され
あげく 暁の推測するように敵に犯されたのだとしたら神経も体力もすり減って気絶するだろう
苦笑して、暁はとりあえず怪我の処置をはじめた
ここに横たわる真墨はひどい姿ではあったけど、行方知れずのを探している時の心配に比べたら大分マシだ
手の届くところでこうしておとなしくしてるなら
いくらでも治してやれるし、処置もしてやれる

1時間ほどかけて、暁は真墨の全ての傷の手当てを終えた
消耗しきっている体力を回復させるために点滴も打った
それでようやく落ち着いて、
眠っている真墨の顔を見ながら苦笑した
(あの薬で泣かせてやろうと思ってたんだがな・・・)
真墨の処置用に用意した 痛すぎて使用危険の新薬
さっきの治療で何ケ所かに使ったけれど、元より気絶している真墨が それで泣きわめくということもなく
今度は泣かせてやろうと思っていた暁は少し不満で、苦笑した
可愛い真墨
負けず嫌いで、強気で、そのくせすぐに泣く
子供で、繊細で、わがままで、真直ぐな奴
財団の入隊試験で見た時に 真墨の周りに闇が見えた
獣みたいな鋭い目つき
身のこなしも、武器の一閃も、はっとするほど鋭いのに 最後の最後でツメが甘かったり
油断しやすかったり、挑発に乗りやすかったり
触れれば触れるほど、真墨は暁のお気に入りになり
構えば構う程、真墨は暁にかみついてきた
それが面白くて、
それが可愛いくて、
獲物決定、絶対に手に入れると そう思っている
闇の中で必死にもがいている、あの男を

明け方、真墨は目を覚ました
「起き上がるなよ」
そっと声をかけると、泣き出しそうな目がまっすぐにこちらを見つめた
「明石・・・」
声がかすれている
よほど、叫んだのだろう
「おまえがいつまでたっても医務室に来ないから、随分探した」
髪をなでたら、まるですがるような目で見上げてきた
誰に何を言われたのかは、想像がつく
そして真墨が その言葉に何を想ったのかも
実際 真墨からは闇の匂いがする
でも、同時に光に憧れて光を求めて その身体の中に けして消えない輝きをつくり出そうとしている
それを暁は感じている
「明石・・・俺は痛い方がいい」
身体を起こして、真墨が言った
包帯だらけの身体が、震えている
起き上がるのも痛いだろうに
動かすのも辛い手を暁へとのばして、真墨は震える声で言った
「アンタがいい・・・っ
 アンタが痛くする意味がわかった・・・っ」
そうして、震えながら暁の腕をつかんだ真墨を 暁は苦笑して抱き寄せた
あの真墨がここまで精神的に弱って求めてくるなんて、とむしろ感心して
この怪我で、ヤイバに犯された後にまたやるのは いくら何でももたないだろうと考えて
それでも、真墨が痛みを求めるなら望み通り泣かせてやろうかと、いつもの支配欲みたいなものがうずいたりして
「俺に、泣かされたいんだな?」
暁は、真墨の身体をベッドへと押し付けた

少し触れただけで、真墨は体温を上げ 咽を震わせた
少しくらいは手加減してやろうか、なんて思っていたが 抑えようともせず喘ぐ声を聞いていたら 暁の方が我慢できなくなってくる
(・・・本当に魔性だな、こいつは)
気をつけていないと、本気で理性をふっとばされそうだ
苦笑して、その熱い身体に身をしずめると がくがくと震えながら 真墨の腕が首にまわった
「ひ、あぅ・・・くぅ・・・んっ」
首筋に舌を這わせながら 深く、深くへと身を沈めていく
始めから、真墨は痛みを望んでいるのだからと容赦なく突き上げて中をかき回した
「ひ、あ、あ、ぐ・・・・っ」
「こういうのがいいんだろ?
 お前が泣きわめくまで、やってやるよ」
安心してイけ、と
耳もとで囁いたら びくん、と震えながら真墨の目が暁をみつめた
「あ、う・・・う・・・っ」
荒い息遣い、涙で濡れてる頬、突き上げられるたびに濡れた声のもれる唇
もはや、意識がしっかりとあるのかどうかもあやしかったけれど
真墨はいつまでも行為を求めて 暁の背に腕を回していたし
暁も そんな真墨の様子に手加減する気をほとんど無くしていた
濡れたものを手の中でしごきながら、何度も何度も突き上げて
やがて白濁を吐く
熱くて痛い この行為を繰り返す

結局 暁は真墨が気絶するまでその身体を抱いていた
(・・・さすがにやりすぎたな)
ぐったりと動かない真墨を見下ろして苦笑し、自分で手当てした傷がいくつか開いて血を滲ませたのに ほんのわずか反省した
手当てをしなおして、包帯をとりかえて、ベッドを片付けて そっと寝かせる
そうして、くくっ、と笑った
相当、自分の嗜好は偏ってるなと思いつつ
それに応えてしまう真墨は本気で魔性だと考える
痛いのがいい、と言ったあの目
泣きながら、暁の名前を何度も何度も呼んだのに たまらなくなった
深くて濃い闇に隠されているからこそ、真墨の持っている光は綺麗で、
だからこんなにも、魅かれるんだと 暁は身をもって知っている
こんなにたまらないものは、他にない

「ま、お前は繊細だから、傷ついたんだろうけどな」

もう一度、真墨の髪を撫でた
闇であることを恥じることはない
光が正しくて、闇が間違っているというものでもない
暁はたしかに光の側の人間だけれど、強い光が生む濃い影があることを知っている
影は暁の今までの仲間を殺してきたし、
暁にいつも、望むものを与えなかった
だから、暁が正しくて、真墨が間違っているとか
そういうものではない
ただ、真墨はヤイバのいうような人間ではないということ
闇に堕ちていくだけの人間ではない
こうして、また暁のところに戻ってきたのたから
苦しいとわかっていて、なお、光を求めて自分自身と戦うのだから

深い眠りに落ちた真墨の額に 暁はそっとくちづけた
長い闇夜が、ようやく明けようとしている


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