性癖2 (赤×青?)


その日、チーフは機嫌が悪かったんだと思う
本部の無茶な要求を、メンバーのために取り下げさせるのに2時間以上も幹部と口論していたのを知ってるし、それでなくとも この件については前に一度注意されたことがあった
あの時は、苦笑して「やめとけよ」なんて穏やかに言ってただけだったから
つい油断して
つい甘えて
そのままに放置した盗聴器
本部に仕掛けたそれを一つの見逃しもなく全て、回収され、目の前に突き出されて僕は動きを止めた
机に転がった20個もの機械
見上げた先のチーフの顔は、怒ってるというより冷たかった

「外せと言わなかったか?」
「す、すみません・・・」
想像通りの冷たい口調、声に 蒼太は机に転がった盗聴器を見つめた
この性癖
スパイ時代に染み付いたもの
自分に関わる人間のことは調べなければ気がすまない
どんな経歴なのか、どんな嗜好なのか、どんな時どんな風に行動するどういう性格の人間なのか
情報を得るためには、盗聴だってするし、隠されたデータをハッキングすることもある
全ての人間のデータを知っていなければ不安だし、データのない人間とつきあうのは苦痛だ
どういう接し方をしたらいいのかわからないし、相手が何を考えているのかわからないのが怖い
常に一緒に仕事をするボウケンジャーのメンバーのデータはすぐに集まった
性格も経歴も嗜好も、特に隠されてはいなかったし、聞けば誰かが教えてくれた
側ですごすうち、見えてくる部分
見せてくれる部分
それらで、蒼太はもうここにいても不安になるというようなことはない
だけど、本部は別だった
こちらに命令を下してくる立場の 顔の見えないミスターボイス
その後ろにいる幹部の人間
蒼太に特令を伝える受付の男、指示をする電話の声の主、それから、それから
いくらでも、得体の知れない人間がいる
それらを信用して仕事をするなんてできなくて、それで盗聴器を仕掛けた
本部のあらゆる場所に、20個も

「本部の人間が見つけて俺のところに持ってきた
 お前の処分は今から決めるそうだ」
「・・・」
さすがに、世界のサージェスは こんな大胆に設置された盗聴器を見逃してくれはしなかったかと思いつつ
暁に見つかって、外しておけと言われたのが3週間も前だったから
それに比べたら 長く保った方かと考えてみたり
「反省の色がないな」
「え・・・? いや、そんなこと・・・」
見すかされて、蒼太は曖昧に笑った
この性癖はどうしようもない
自分でも嫌になる程に、人を信用するのにも人に触れあうのにも情報がいる
相手に合わせて話をするのも、笑うのも 情報があるからできるのだ
目の前の人間の考え方や性格を知った上でしか、行動できない
何も知らないで動くのは、怖くて足がすくむ
今まで一人で仕事をしていたから余計
誰も助けてくれなかったから、いざという時 自分を守ったのは予め調べておいた情報と知識だけだったから

しばらくするとドアがあいて、本部の人間2人が入ってきた
どちらも見たことのない顔で、首からかけた身分証の名前だけに 見覚えがあった
以前ハッキングしたデータに載っていた この名前の人間の入団年月日とか、家族構成とか、そんなのが一瞬 頭をよぎる
この場合、この二人の男のそんな情報は全く意味をなさないけれど
「最上蒼太、今回の盗聴器設置の件と本部内の会話の盗聴の件の処分を伝える」
一人が口を開いた
もう片方はニヤニヤ笑ってこちらを見ている
嫌な空気だと感じた

男二人は、椅子に座ってパソコンを開いていた蒼太を引きずり下ろすと 床に膝をつかせて両手を後ろで縛り上げた
「え・・・、何を・・・」
ギリ、と身体が悲鳴をあげる程にきつく縛り上げられ ゾワ、と嫌な感覚が背中を伝う
「抵抗なんかしませんよ」
「当たり前だ、これはお前の犯した罪に対する正当な処分だ」
見上げた男の向こうに、未だ不機嫌そうな顔をした暁が見えた
彼は処分の内容を知っているのだろうか
蒼太の行いに対する処分が更迭にしろ何にしろ、わざわざこんな風に縛ることないだろうと思いつつ、自由のきかなくなった両腕に わずかに焦りのような不安のような感情が心に生まれた

今までずっと一人だったから、自分の身は自分で守るしかなかった
だから、こんな状況は命取りだ
身体の自由がきかないなんて
いざという時 逃げることもできない

(ここにいるのは味方で、この手枷は僕が逃げないようにかけた保険で
 ここは敵地でもなければ、今は仕事中でもない)

なんとか、気持ちを落ち着けようと浅く呼吸を繰り返す
ニヤニヤ笑ってる男が、暁の方を少し気にする風にしながら ポケットから黒い何かを取り出すのが見えた
「本部にたてつくとどうなるか 考えなかったのか?」
「お得意の分野でドジ踏んだな
 あんな盗聴器に本部が気付かないとでも思ったか」
勝ち誇ったような男達の表情
(1ヶ月近く気付かなかったくせに・・・)
ドクン、ドクン、と鳴り出した心臓を必死に抑えながら 蒼太は男達に苦笑してみせた
もしかしたら、自分は本部の人間に嫌われているのだろうか
蒼太に特令を下す電話の主は、いつも本部の人間がしくじった仕事の尻拭いを蒼太にさせる
こっちからしてみれば、本部の無能のせいで自分が犠牲になっていると考えていたものだが、本部の人間からしたら面白くないのかもしれない
ボウケンジャーという特殊なチームの人間が、本部の仕事にまで出てくるということが
(・・・そんなの僕のせいじゃないんだけどな・・・)
色んなことを考えて、両腕の不自由を忘れようとした
男が、もう一度 暁を見遣ったのが視界の端に入る
相変わらず黙って、不機嫌そうな顔をしている暁は、わずかに目で何かを男に合図したように見えた
だが、次の瞬間に 蒼太の視界は真っ暗になった
「・・・え・・・・・・・」
ドクン、
ひときわ大きく心臓がなって、全身の熱がざっと引いた
見えない
視界が真っ暗で、何も見えない
こんな状況では、生還できない
そう、思った

「あ・・・・、う」
ドクン、ドクン、と鳴る心臓の音がうるさくて、意識が集中できなかった
必死に、状況を整理する
ここは本部の一室で、部屋には自分と本部の男と暁がいて
自分は今から、盗聴の罪の処分を受けるべく 本部の地下にある牢かまたはそんな用途の部屋へと連れていかれるのだろう
逃げないように両手を縛られて、そして
(目隠しされた・・・)
考えて、ぞっとした
身体の自由を奪われることを 蒼太は極端に嫌う
たった一人でこんな状況になったら、即 死につながる
そんな状況下で今まで生きてきたから
身体にそういう習性のようなものが染み付いている
「あ・・・、の、なんで目隠しなんか・・・」
身体が、どんどん緊張していくのを感じた
神経が研ぎすまされていく
男達のわずかな動き、足音、気配、そして声
それに集中する
どうにかして、逃げようと身体が勝手に考えている
「どうしてかって?
 こういう風にされると興奮するって聞いたからな」
「お前のデータには面白いことが書いてあったぞ」
可笑しそうに男達が笑ったのに、ゾクゾクと背筋が寒くなった
何が起こっているのかわからない
処分するというならさっさと連れていけばいいものを
こんなところで、こんな風にする意図がわからない
「意外と頭が悪いんだな
 お前には俺達から特別な罰を与えてやるんだよ」
気配を感じて思わず 身を引いた蒼太の肩は簡単に床に押さえ付けられた
「い・・・・、」
鈍い痛みが骨に響いていく
「スパイってのはやっかいだなぁ
 お前は輝かしい経歴とひきかえに正常を失ったんだろう?」
肩を床に押し付けている手とは別の手が 蒼太の服にかかった
感じる男の手の感触、息遣い
素肌に触れられて、身体が震えた
動けなくて、目も見えない
この状況で極度に緊張した身体が求めるのは、わけのわからなくなるくらいの痛みと解放だけだ

「ふ、う、あ・・・・、あふ・・・・っ」
男の4本の手にまさぐられながら、その体温を上げられ
だが蒼太の身体の震えは止まらなかった
昂っていく感情と熱、乱暴に犯されて痛みに声を上げながら その中で快感に似たうずきに酔う自分がいる
根元まで男のものをくわえこみ咽を震わせながら 蒼太は自分に嫌悪した
こんな風に、
こんな奴らに、
犯されているのに、全く抵抗できず受け入れて
喘いで、イッて、さらにまだ求めている
昂った身体を、わけがわからなくなるまで酷く扱ってほしいと望んでいる
こうなってしまったら、自分ではもうどうしようもないから
「は・・・ぐ、」
激しく突き上げられて、背が反った
縛られた腕がぎり、と鳴る
「随分よさそうだな」
「こういうシチュエーションはたまらないんだろ」
髪を乱暴につかまれて顔をあげさせられ、もう一人のものを口の中に突っ込まれた
「ぐ・・・っ」
苦しくて、呼吸すらできない
「こういうの、串刺しっていうんだっけ?」
「嬉しそうだなぁ、その顔 お前の上司によく見てもらえよ」
男達のあざ笑う声
聞こえた言葉に 瞬間蒼太は、カッと、身体の熱が上がるのを感じた
この部屋には、暁がいた
この行為を、この状況を、暁は今までずっと見ているということだ
頭から抜けていた事実に、ガクガクとまた身体が震えた
感じる自分が嫌だ
暁が見ていると思っただけで、したしたと昂ったものが雫をたらす
「とんだ変態だな」
「見られて嬉しいなんてな」
こんな醜態、と
耳もとで言った男は、後ろから激しく揺さぶって 蒼太の中に白濁を吐いた
「ぐ・・・う、う、・・・・っ」
声は 口の中で質量を増していくものに邪魔されて出ない
だ液を顎に伝わせながら それに奉仕を繰り返す
「こっちにも出してやるからな、とっととイカせろ」
「お前の上司が見てるぜ」
神経を刺激する言葉
身体中に満ちてどうしようもなくなっている疼き、痛み、高揚、そして嫌悪
本当に自分はどうしようもないと思いながら、蒼太は口の中に解放された男の精液を床に吐き出した
「あっ、こいつ吐きやがった」
「まだ自分の立場わかってないんじゃないのか?」
頬を叩かれて、そのまま床に顔をおしつけられた
「もう一回ずつくらい、やっとくか?」
「目隠しなんか外した方がダメージあるんじゃないのか」
「ああ俺いいこと思い付いた」
ようやく後ろで縛られている腕の戒めがとかれる
「あ・・・っ」
そのまま 四つん這いにさせられ したしたと雫をたらしている蒼太のものを掴まれた
「は・・・ぐ・・・・っ」
咽が震える
もう何度かいかされているものは、それでもまだ熱が引かず濡れている
まるでもっと欲しいとねだっているかのように、この行為に喜んでいるかのように
「ここをこうして縛っておけば、 イケないだろ?」
「ひっ・・・ぎ ・・・あっ」
ぎち、と
その根元をきつく縛られて 思わず声を上げた蒼太に 男は二人満足そうに笑った
「さぁて、それじゃあ ここで上司と御対面」
「え・・・・あ・・・」
「見えなきゃ気持ちよすぎて忘れるだろうからな、ちゃんとここでお前の上司が見てるんだって意識しろ」
嫌な笑い声、それから急に明るくなる視界
がくがくと、また身体が震えた
最初と同じ場所に、暁がいる
蒼太を見つめるその目は冷たいままだし、表情も不機嫌なままで
でも確かにここにいて、この醜態をさらしている蒼太を真直ぐに見つめている
「あ・・・・・あ・・・・う・・・、」
身体が熱くなって、頭に血が上る感覚を覚えて
こんな自分を、
この行為の最中 もう何度も何度も嫌悪した自分自身をまた 最低だと思った
死んでしまいたい
消えてしまいたい
この行為を 結局は求めてこんな風に感じて、抵抗もせず男二人にされるがままになっている自分が恥ずかしくて仕方がない
どうしようもない
救いようもない
「・・・チーフ・・・っ」
呼んでも、当然返事はしてもらえなかった
男の舌が身体中を舐め回していく
犯され続けた部分からは 男が出したものが流れている
一人がまた腰を掴んだのに、震えた
慣れた感触、熱いものが内壁を擦るのに 声が上がる
「あ、あ、あ、あ、あ・・・・っ」
「いやらしい顔だな、おい
 その声もちゃんと聞いてもらえ」
ぐちゅ、と
男が奥を突くたびに、中に溢れている白濁が流れてくる
足を伝う感触に ぞぞぞと感じる
どうしようもなく昂る
戒められて解放を許されないものが しとしとと透明な液を垂らしている
「いきたかったら言えよ?
 上司の前でおれたちにいかせてくれと懇願しろ」
楽しそうに笑う男達の言葉に頭がぐらぐらした
感じる、そういう言葉にも この状況にも
そしてそれ以上に これ以上耐えられないと叫びたくなる
こんな姿を暁にさらしていること
こんな自分を見られること
どうしようもない、救いようのない自分を嫌悪する
終わらせてほしい
助けてほしい
これ以上はもう、耐えられない

「チーフ・・・、チーフッ」
後ろから激しく揺さぶられながら、蒼太は必死に暁を呼んだ
冷たい目でこちらを見ている暁の表情に変化はない
助けてほしい、救ってほしい
このどうしようもない自分を
こんな醜態をさらしてしまう自分を
「ゆる・・・ゆるしてくださ・・・」
ぼたぼたと、涙がこぼれた
呆れて、見捨てないで欲しい
また一人にはなりたくない
「・・チーフ・・・ッ、ゆるして・・・っ」
どうか許してください、こんな人間であることを
どうしようもない自分を
「そろそろ辛そうだなぁ? 言えよ?イカせてくださいって」
「ひっ、あ・・・・あぐ」
いかされないものを激しく手のひらでこすられて、一瞬意識が飛びそうになる
それを、激しく突かれて引き戻され
わけがわからなくなる程に 犯される
喜ぶ身体と、嫌悪する心
「あ、あ、あ・・・っ、も、いやだ・・・いや・・・っ」
「だから、言えばいかせてやるって言ってんだ」
「そうそう、お前のチーフの前でな」
チーフ、と
その言葉に 心が震えた
涙でかすむ視界の向こうには、たしかに暁がいる
やっと一人じゃなくなった世界で、蒼太を理解してくれるかもしれないと思った人
こんな自分でも
見捨てずにいてくれるかもしれないと思った人
「あ、あ、うぅぅ・・・・っ」
泣きながら、震える声を絞り出した
どうしようもない自分
消えてしまいたい
自分がどれだけ異常かなんて、自分が一番よくわかってる
だからどうか
「い、い、・・・いかせてください・・・いかせて・・・っ」
どうか、こんな自分を見捨てないでください

男の軽蔑まじりの笑った声
それから、縛り付けていた戒めが解かれる感覚
涙がぼたぼた落ちて、やけにクリアに見えた暁の姿
やがて 男達二人の手によって迎える解放
「あ、あ、あぁぁあああっ」
ドクン、と
熱を吐き出して、蒼太はその場に崩れた
自分の息遣いだけが、聞こえる
思考がマヒして、何も考えられない
このまま消えてしまえたらいいのに

「ま、そんなもんだろ」
遠くで、暁の声が聞こえた
男達が何か言って、出て行く気配
その後 ずっと立って見ていた暁が 側へやってきた
「少しは懲りたか?」
仕方ないな、なんて風な声
見上げた顔は、さっきよりは不機嫌じゃなくなった気がする
「は・・・い・・・」
まだ涙は止まらなかった
この罰を下したのが 本部ではなく暁であったんだとしても、自分のこの異常は変わらない
さらけ出して、こんな風に精液にまみれている自分など 誰だって見捨てるだろう
暁だって、他の仲間だってそうだ
彼等はこんな風に、犯されて喜ぶような異常な神経はしていない
「本当に本部に盗聴がバレたら殺されるぞ
 あまりサージェスを甘く見るなよ」
お前の盗聴器にも気付かないマヌケばかりだけど、と
言った暁の言葉に 蒼太は震えながら顔を上げた
「チーフ・・・」
「俺は二度と仲間を失くす気はないんだ
 お前が本部や敵に殺されるのも、どこか俺の知らないところで死ぬのも許さない」
ぽん、と頭に手が置かれた
今回のことは度を越してたから俺が罰を与えた、なんて言葉を聞きながら 心をしめつけていた不安が少し薄くなる
苦笑したみたいな暁の顔
髪をくしゃ、とする手
「しかしお前はここまでされないと反省しないのか」
「え・・・」
「普通は本部に処分すると言われたら 少しは反省の色を見せるんだがな」
お前は相変わらずヘラヘラ笑って反省の色が見えなかったと
言って 暁は奥の扉を指さした
「動けるようになったらシャワーを浴びてから基地に戻れ
 俺は先に戻ってる」
そう言って、彼は部屋を出ていき 残されて蒼太はまたドクドクと言い出した心臓を必死に押さえ付けた
この緊張ではない胸の高揚
不安になる種類のものではない、揺るがない言葉
「それは・・・こんな僕でも許すということですか・・・」
ひとりごちて、蒼太はぎゅっと目を閉じた
こんな自分でも、受け入れてくれる人がいるなら生きていける
そう思った


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理