1回目の誘い (赤×黒)


マサキとキョウコってどんな奴だったのか、と
ずっと考えていた
あの暁が、トレジャーハンター時代に組んでいた相手
世界最高の名を欲しいままにしていた暁が 唯一信頼していた仲間
あのチームは最高だったと牧野が言った時も、暁が夢にうなされていた時も
いい気はしなかった
イライラしたような気持ちに支配されて、息苦しかった

暁は二人のどちらかを、恋人のような感覚で特別に思っていたのだろうか
暁に信頼される程の人間って、どんな奴なんだろう

吹雪の中、動けなくなってからもずっとそのことを考えていた
仲間を見捨てて自分だけ生きたのか、なんて台詞 本心じゃない
嫉妬したから、ああ言ったんだ
なのに、否定しなかった暁は 強い目をしたまま前を向いていた
何を見てたんだ、あの時
失った仲間を、思い出していたのか
マサキとキョウコという 暁の信頼に値する二人を

真墨は寒さに凍えそうになりながら、トレジャーハンターとして世界を走り回っていた頃のことを思い出していた
洞くつ、神殿、遺跡の奥の隠し扉
今にも崩れそうな建物
トラップの仕掛けられた道
奪われまいと隠されたものを暴き持ち出すのだから それには相当なリスクが伴う
死をも恐れない心
同時に誰もが、いつ死んでも悔いを残さない覚悟を心のどこかで決めている
トレジャーハンター達は、隠された宝や謎を解く楽しみにはまっている者が多い
金が一番って奴もいるけれど、
多くは、解きあかされていない謎や、神秘の宝に魅かれてやってる
暁も、その類いだったのだろう
冒険自体を楽しむ種類の人間
その性格は、今の彼を見ていたらよくわかる
きっと何も変わっていないのだろう
戦う場所を変えただけで、暁という人間は何も変わっていない
だから、きっと彼は仲間を見捨てたのではなく
仲間を助けられなかった自分を責めて、あんな目をしたのだろう
まだ結成されて間もないこのチームでさえ 大切に思っているのが伺える奴が
最高のチームだったと牧野が言うほど 信頼で結ばれた仲間を見捨てるはずがない

暁は、冒険の途中で何より大切な仲間を失ったのだ
どんな宝にも変えがたい、信頼で結ばれた仲間を

(くそ・・・寒い・・・)
震えながら、しりとりをしだした仲間の声を聞いていた
ここに閉じ込められた時 暁だけいないのに また奴だけ生き延びたのかなんて、悪態をついた
暁が 以前も、今回も一人助かったのは その身体能力が優れているからだ
とっさの判断力
それを実行する運動神経、反射神経、そして天が味方についているのかと思わせる程の強運
悔しくて、だけど 彼が脱出できたことに 本当はほっとした
さくらの言うように 暁なら必ず助けにきてくれるだろう
そして、だからこそ
自分達は 暁に再びあんな顔をさせないために 生きていなくてはならない
こんな場所で、死ぬわけにはいかない

たとえ、暁にとって失った彼等ほどの重みが 今の自分達になくても

2時間もした頃、轟音とともに現れた新しいマシンにドクン、と体温が上がった気がした
暁がずっと試乗訓練をしていたもの
あまりのエネルギーの強さに、腕を痛めたりして その度に改良されて、
今朝の訓練でも やっぱり危険だからと 自分達には試乗さえさせなかったマシン
その機体から 気の抜けたような声が聞こえてきた
「なんで、しりとりなんかしてるんだ・・・」
それからすぐに苦笑のまざったような溜め息
今 どれ程の負荷がその身体にかかっていて、どれ程辛いかなんて その声からは読み取れなかった
ただ、皆が無事だったことに安堵してか、
わずかに言葉をつまらせたのに 心が熱く熱くなった
俺は死なないし、ここにいる誰も死なない
だから、何もかもを自分一人で抱えないで どうか信頼してほしい
過去にチームを組んでいた二人にはかなわなくたって
俺達は、こんなところで死んだりしない

「おまえはもっと、俺達を信頼しろよ」

失ったものは帰らないけれど、もう一度別の形で手に入れることはできる
「そうだな・・・」
ようやく、いつもの調子に戻った暁の声に そっと息を吐き出した
いつか、いつか
彼が心から信頼できるような存在に、自分はなれるだろうか
マサキやキョウコを超えることが、できるだろうか

暁の新しいマシンから流れ込んでくる強いエネルギーを受けて、各々のマシンも力を取り戻した
浮上し、吹雪の中を走りながら強く思った
この嫉妬に似た気持ちは どうしようもないけれど
自分は生きている限り、暁に触れることができる
新しい時間を、作り上げていくことができる
死者になど負けない絆を、今から作り上げていくことができる

(なんか、こんなのまるで、惚れてるみたいじゃないか・・・)

そう思いながら、真墨はハンドルを握って頭を振った
惚れてるとか、好きだとか、
そんな気持ちは気色悪い
あいつは目標で、憧れで、裏切り者で、どうあがいてもかなわない相手で、
何を置いても 認められたくて、信頼してほしくて、
隣で戦っていたい、そんな存在だ
言葉や行動に翻弄されて、影響されて、グダグダになるまで触れられて
その度に もっと欲しいと思ってしまう相手
彼の側にいて、彼が自分を選ぶ日がきたら その時が自分の勝ちで
それが今の自分の 至福だと思う

(だから俺は死なないんだ)

昂った気持ちを、敵にぶつけるように叩き切った
新しいマシンの強い力に 身体が壊れるかと思う程に痛めつけられ
暁はこんなのに耐えて 今までいたのかと思って その力の差を痛感した
だが、それでも 真墨は今朝感じた嫉妬のような黒いだけの感情が薄くなっていくのを感じていた
自分はこれから強くなれる
そしていつか、時をとめたマサキとキョウコを超えてみせる
いつか暁の隣に立つのに相応しい人間になって、奴に言わせてみせる
おまえを、信頼していると

基地に帰って、ひどい訓練を受けた後 皆疲れきって部屋へと戻った
サロンには、暁と真墨だけになる
「お前は大丈夫なのか?」
明日も早いんだからさっさと部屋へ戻れよ、なんて言う余裕の様子に 少しムカとしながらも 真墨は立ち上がって暁の座るソファまで行った
穏やかな表情の暁を見て、その足下に膝をつく
マサキやキョウコには もう触れられない暁の身体
自分は、望めば触れることができる
嫉妬は、今はもうない
「なんだ、珍しいな」
ズボンのベルトをはずして 暁の意志なんか無視して中のものを取り出して口に含むと 暁がおかしそうに笑った
「まさかあの訓練で欲情したのか? 蒼太じゃあるまいし」
くしゃ、と髪を撫でられて ぞく、とした
違う、妬いただけだ お前の大切な昔の仲間に
そして、その気持ちを捨てるために こうしてお前に触れていたいんだ
「ん・・・・う」
前に、下手だと言われた行為
どうやってやれば気持ちいいのかはわからなかったけれど、以前に暁にされた時のことを思い出して必死にやった
手で支えながら舌を這わせて、質量を増したものを口に含んで先に舌を当てて動かした
顎が外れそうだと思いながら
伝っていく自分のだ液が気持ち悪いと思いながら
時々 暁を見上げたら 意地の悪い目で見つめ返された
「せっかくそうやってしてくれてるんだから、いくまでやめるなよ?」
いつもの、挑発的な言葉
しかし もう少し勉強しろよ、なんて冗談みたいに笑って
「う・・・く」
うるさいな、と睨み付けた
また髪を撫でた手が、優しくて少し泣きそうになった

どれくらい続けていたのかわからなかったけれど、いい加減じれたのか 暁が僅かに体勢を変えた
そのまま、髪を撫でていた手で頭を押さえ付けられる
「ぐ・・・っ」
咽の奥まで飲み込むようにして、暁のものを受け入れ 一瞬息がつまった
そのまま、今度は髪を掴んでぎりぎりまで引き抜かれ、
すぐにまた、押さえ付けられて咽に熱を感じた
「う・・・っ」
目に涙が浮かぶ
苦しいと目を閉じた瞬間 口の中に熱を感じた
この行為は二度目で
今度もまた どうしようもなく真墨は解放された途端 口の中のものを床に吐き出してむせこんだ

「次は勉強してから来いよ」
ぼたぼたと 白濁が口からこぼれる
顔を、服を汚して暁を見上げたら 腕を引かれて抱き寄せられた
暁の服も汚れる、と一瞬思ったけれど すぐにそんなのはどこかえ消えていく
ぐい、と口元をぬぐって、笑ってる奴を睨み付けた
ソファに押し倒されて、服をはだけさせられて
そのまま身体にくちづけされるのを 目を閉じて感じた
暁に触れたいと思えば触れられる距離で
マサキやキョウコはもう二度と受けられないこの行為を、自分はこうして受けることができる
彼らに、負けはしないと
嫉妬が消えた後は 妙な高揚が残った
暁に抱かれて、暁に触れられたい
だからこうして誘った
その想いを知ってか知らずしてか、暁はこうして誘いに乗って
開いた足に身体を繋げ 痛みに悲鳴を上げた真墨の顔を 面白そうに見つめている

「あ・・・っ、ぐ」
呼吸が止まるかと思う程激しく犯されたのに、真墨は咽を震わせた
この間のように 痛みをまったく感じさせない抱き方もできるのに、何故 奴はこうもわざと痛みを伴うような抱き方をするのか
しかも今日は いつもする前戯もなく、
指で慣らしもせずに いきなり入れて揺さぶってくる
「ふ・・っ、う・・・・っあああっあ、」
急速に熱くなっていく身体、それでもギリギリと痛い
暁の服を掴んで、必死に痛みに耐えた
「んう・・・、ひっ・・・・・」
ぎし、と
ソファが軋んで音をたてる
痛みに いくこともできないと思っていたのに いつのまにか身体の中心が疼くように熱くなる
「よくもまぁ、こんなにも淫らになったもんだ」
無理矢理でも力づくでも、痛みだけでもこんなになるのか、と
言われて 奴を睨み付けた
お前だからだ
お前が触れてるからだ
こうしてる相手が、魂までも震わせる暁だからだ
何よりも、誰よりも欲しい 相手だからだ
「あうっ・・・・・くそ・・・っ」
また激しく揺さぶられて、じゅくじゅくと嫌な音が耳についた
マサキやキョウコを抱いた時より 感じてほしい
他の誰とやった時より いいと思ってほしい
そう思ったら、どくんと身体が熱を増した
ああ まだ嫉妬しているのだろうか
暁の中で誰よりも大きな存在になりたい
そう強く思った途端、暁に激しく突き上げられた奥が わけがわからなくなる程に感じた
「お前のいいとこは 全部知ってる」
そう囁いた声に どうしようもなく熱を解放する

ぐったりとソファに横たわる真墨を見下ろすようにして 暁はわずかに笑った
「お前にフヌケにされて宝奪われた奴らの気持ちもわかるな」
こんな風に誘われたら、男なら欲情してしまうだろう
宝探しの旅の途中、女なんかいない隊だったなら余計に
「お前は魔性だな、自覚しとけよ?」
言いながら 髪をすくその行為が気持ちよくて 真墨は黙って目を閉じた
戦いの後であのハードな訓練を受けて、あげくこんな風に抱かれたら もう体力が限界でどうしようもない
優しく髪を撫でる手が気持ちよすぎて、意識を保っていられなかった
眠気が急激に襲ってくる
「なんだ、もう寝たのか?」
側で暁が笑った
「お前はいつも 後片付けを俺にさせるな」
汚すだけ汚して、と
かろうじて その言葉だけが聞こえた
おまえの体力が尋常じゃないんだと 言い返してやりたかったけれど言葉にはできなかった
穏やかな眠りが 真墨を包む
暁との、この距離感がたまらなくて気持ちよかった


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