1回目の鞭 (赤×黒)


無事 覇者の剣を3本ともゲットした後 真墨は蒼太と一緒に医務室へ来ていた
あの突然暴走したセキュリテイにやられた傷が何ケ所かあって、二人して火傷のような症状をいくつも作っていた
戦っている間は痛みを感じなくても、終わればそれはズキズキと主張を始める
「医務室へ行ってこい」
暁にそう言われて、蒼太と一緒というのが気に入らなかったけれど こうしてここにやってきた
「すみません、治療お願いします」
そう言って中に入った蒼太の後ろ姿を見つめながら ふと こんなフニャけた奴が世界最高のエージェントだったのかと思う
彼はたしかに、情報収集能力に長けている
今回の覇者の剣の在り処をつきとめたのも彼だし、パーティの招待状を入手したのや、ボーイとしてもぐり込むための裏手続きを取ってきたのも彼だった
それらのことを いとも簡単に たった一晩でやってのけたし、
本部では蒼太を気に入って、ボウケンジャー以外での特別な任務を与えることも多いらしい
だが、どう考えても
目の前でへらへらしているこいつが、最高のエージェントだとか
彼のせいで企業や国家が危機にさらされたとか そういうことは想像できない

「上着を脱いで そこに座ってください」

医者の言葉に 二人して上半身裸になって腰掛けた
腕と肩に 二人とも5つ程火傷があった
冷やして、薬を塗って
ついでに、と 他の擦り傷なんかの手当てを受けながら 真墨は隣の蒼太を盗み見た
気に入らないと思っていた
チャラチャラしているし、つかみどころがない
いつもふざけた様子は好きになれなかったし、何かこちらの心を見すかしたような発言はイラとさせられた
さっきも 暁に言われてここへ向かう途中に笑いながら言ってたっけ
「真墨も チーフの言うこと素直に聞くようになってきたね」

こいつは、妙に暁を出してきては真墨にからむ
なんなんだ、関係ないだろうと気が昂るのは まるで図星を指されたような気分になるからだ
確かに自分は、暁のあの命令口調に逆らえなくなってきているし
気付けば暁に翻弄されていることが多い
奴を超えるために努力を重ねても、彼に認められたくて必死になっても
簡単にその差を見せつけられて 死ぬ程悔しいと思った時に痛感する
暁の遠さと、大きさを
そして、それにますます魅かれていく自分を

だから、そんな時 蒼太が暁の名前を出すと腹が立つ
これは暁と自分の問題で、蒼太がどうこう言うことじゃないと叫びたくなる

先に治療が終わった真墨は、脱いだ服を着ようと立ち上がって移動した
その時に ふと 蒼太の背中へと視線が行き 一瞬目に映ったものに動きが止まった
傷だらけの背中
細い鞭の痕のようなものが無数についていて痛々しい
何だこれは、と
言いかけて、口をつぐんだ
本人は気にする風でもなく、看護婦と何か話していて、
医者は相変わらず無口に 蒼太の傷の手当てをしている
(なんだよ、あれ・・・)
スパイ活動でついた傷だろうか
それにしては新しいものも多くあった
本部からの特令で あんな怪我を追ったのだろうか
拷問のあとのようだと思って ぞっとした
彼のいた世界では、そういうことを敵から受けたりすることもあるのかもしれない
そして その能力の高さゆえ 未だにそういう仕事を本部から回されている蒼太は 自分達の知らないところで こんな風に一人傷を負っているのかもしれない

しばらく待つと、蒼太の手当ても終わった
そのまま成りゆきで一緒に戻る途中の廊下で彼は笑った
「や、しかし今日は助かったよ
 真墨が助けに来てくれるとは思わなかったから」
「金庫から盗むと思ったから行っただけだ
 盗むのは得意だから」
本当は 暁が行ってやれと言ったから仕方なくだったけれど
ここで暁の名前を出して また何か言われるのはしゃくだった
「まさか正面から入るとは思わなかったしな」
世界最高のエージェントだった彼には、あのビルに浸入する力があるはずなのに
そうはせずに 正面から説得に行くんだと言い
彼の過去のわずかな部分や、やめた理由や、今の想いを聞いて ほんの少しだけ彼を理解した気になったけれど
「一人で仕事するのって好きじゃなくてね
 とにかく助かったよ、来てくれて嬉しかった」
いつものように 何考えてるのかわからないような顔で笑った蒼太は そう言って手を振った
そのまま廊下の向こうに消える
今まで気にしたこともなかったけれど、彼の部屋はこっちなんだったっけ
普段 行かないから知らなかったと、真墨はひとりごちて溜め息を吐いた

気に入らない奴だけど、少しだけ理解して、少しだけもっと知りたいと思った

コンピューターの情報を引き出す途中で何度もパスワードでつまり、回り道してファイルを探していると いつのまにか夜が明けそうだった
真墨は蒼太と違って コンピューターには詳しくないから 知りたいことを検索するのにも一苦労で
ましてや、蒼太の過去とか経歴とかを 膨大な財団の資料の中から抜き出そうなんて無茶な話なのかもしれない
ただ、あの傷のことや
今日聞いた後悔している なんて言葉が忘れられなくて
本人に聞いても いつものフニャけた笑顔ではぐらかされそうで、こうして情報を探している
彼を理解するのに もう少し知りたいことがあったから

「何してる? こんな時間に」

突然、後ろから声をかけられて 真墨は驚いて思わず声を上げそうになった
それを堪えて 振り向くと暁が立っていた
彼こそ こんな時間にどこかへ出かけていたのだろうか
不思議そうな顔をして近付いてきた暁の服や肌から 外の冷たい風の匂いがした
「何か調べごとか?」
蒼太に頼めばいいだろう、と画面を覗き込んだ暁は 怪訝そうにそう言った
本人のことを調べるのに、本人には頼めないだろう
そう言ったら おかしそうに暁は笑う
「蒼太のことが知りたいのか?」
珍しいな、あれだけ噛み付いていたくせに、と
言って暁は側のソファに腰を下ろす
暁は知っているのだろうか
蒼太のことを
そういえばこいつは蒼太の実力を認めていて、蒼太ばかりをひいきして
彼には甘い、そういうところがある
思い出して、むかっとした
彼はそれを子供じみた嫉妬だと言って笑ったけれど
それも 自分が蒼太を気に入らない一要因でもあることに、暁は気付きもしないのだろう
可笑しそうに 何が知りたいんだ、なんて笑ってる

「奴の背中に傷があった」
痛そうな傷、まるで鞭のあとのような
古いのも、新しいのも
どんな任務であんな風になるのか
誰につけられた傷なのか
そんな痛みを背負いながら 奴はそれでもヘラヘラ笑って戦っている
過去を悔いながら、今 人のために戦えることを誇りに思って
「ああ、あれか」
気になるのか、と暁が笑った
人の悪い笑み
ドクン、と心臓が鳴った
やはり知っているのか
その事実にまた むか、とした
暁の中で蒼太は特別なのだろうか
ただのチームメイトとしてではなく、もっと別の感情で彼を見ているのだろうか
だから 彼のことも知っているし、彼の実力も認めているのか
嫉妬に似たものが 心に生まれてどうしようもなくなりそうだった
それで、立ち上がった
「知ってるなら教えろ」
そう暁に言ったら 奴は笑って同じ様に立ち上がり言った
「ついてこいよ」

向かった先は、まだ行ったことのないエリアだった
何につかっているのかわからない部屋
物置きか何かだと思っていたら その通りだと隣で暁が言った
その中の一室
そこのドアを開けた
そう広くもない部屋
中に入って鍵をかけたのと同時くらいに電気がつけられる
目に飛び込んできたのは 見たことのない装置だった
何に使うのか
拘束具のようなものがついているのを見つけて ぞっとした
何なんだ、これは

「これは蒼太のお気に入りだ」
勝手に本部から持ち出して ここに置いたらしい、と暁は説明しながら 装置へと歩いていき真墨を手招きで呼んだ
ドクン、ドクン、と妙な予感が心によぎる
だが、逆らえず フラフラと近寄ると腕をとられて、そのままその拘束具に繋がれた
「・・・何なんだよ、これ・・・っ」
不安が過る
何が始まるのか
何をされるのか
暁を睨み付けたら、面白そうに笑っていた
「蒼太のことが知りたいんだろ?
 奴は自分でこうやって、自分の身体を傷つけてる
 それでしか、平常を保てないと言ってな」
ぐい、と
上着とシャツをたくしあげられた
この妙な装置に うつ伏せに拘束され、背中をさらけ出して動けない
どくん、と
蒼太の傷だらけの背を思い出した
まさか、まさか、
「明石・・・っ、」
嫌だ、これを外せ、と言おうとしたその時 カチ、とスイッチが入れられた
瞬間 背に痛みに似た熱さを感じる

「ひ・・・っ」

ばしっ、と音は後から聞こえてきた
続けて背に感じる痛み
今度は痛いと思った
「あぅっ」
何度も、何度も 背に振り下ろされる鞭に 真墨はもがいて逃げようとした
だが、拘束具がそうさせない
振り下ろされる鞭、与え続けられる痛みに 頭がぐらぐらした
「嫌だっ、痛いっ」
何のために、蒼太は自分でこんなことを、と
思いながら叫んだ
装置を止めて、でなければこれを外して
びりびりと 打ち続けられる痛みは 身体の熱を上げた
こんな屈辱に似た痛み、長く耐えられるわけがない
「あうっ、い・・・っ」
目をぎゅっと閉じた
音が、耳に響いてくる
時々呼吸が苦しくなって咽から悲鳴が上がった
皮膚の破れるような感覚が生まれる
もがいてもどうしようもなくて、痛みにいやいやと首を振った
「いやだ・・・っ、嫌だっ、明石っ」
「今で20発くらいだけどな」
ククと笑って明石が装置へ手を伸ばす
いつも通りの声
乱れて喘いでいるのは自分だけ
カチ、と装置を止めた暁は 真墨の側に手をついてその顔を覗き込んだ
「これも外せよ・・・っ」
息が荒い
こんな拷問に似たこと 続けられたら気を失うだろう
2.3発ならまだしも
何度も何度も打たれれば、傷の上に傷が重なり、皮膚が破れて血がにじむ
その上にまた鞭をうけて 背中は真っ赤に腫れ上がって血に染まる
「くそ・・・っ、放せっ」
痛みに、感覚が麻痺しそうだった
20発だと軽く言った暁を睨み付けて、必死に昂る感情を抑えようとした
どうして こんな目に合わせるのかと思って
それから 蒼太の行動が理解できないと思って
何故だか痛みに、泣きたくなった
同じように鞭で打たれたって、彼のへらへら笑ってる心は理解できないし、
自分で身体を傷つける意味もわからない

「仲間を理解しようとするのはいいことだけどな」
耳もとで、暁が囁いた
ゾク、として背が反る
熱くて、痛い背中の傷
それに舌を這わせながら 暁は言葉を続けた
「暴いても意味はないし、同じ痛みを味わったところで本心は掴めない
 本人が自分に見せた部分だけで 知っていくしかないんだよ」
痛いはずなのに、ぞくぞくと身体が震えた
舌の感触
血を舐め取るような行為
暁は怒っているのだろうか
蒼太の過去を知りたいと情報を探したことを
彼を知りたいと思ったことを
「怒ってはいない、どっちかというと これは嫉妬だな」
クク、と
可笑しそうに笑った後、その手が服の中に伸びて来た
拘束されて、何の抵抗もできずに
傷だらけの背をさらしたまま 暁の触れる感触に 真墨は咽を鳴らした
こんな触れられ方、今まで暁にされたことがない
それくらい、それは痛みを伴わない
ただ快感を引き出すためだけの、そんな触れ方だった
ぞくぞく、と急速に身体は高められていく

「ふ・・・・っ、あく・・・」
首筋に、背中に、腰に舌が這い、くちづけが落とされる
もう立ってもいられなくて、がくがく震える足は使い物にならない
拘束された腕と、装置に乗せられている上半身だけが身体を支えている
そんな状態で、繰り返される愛撫に 真墨は声を抑えられなかった
「あ、あ、あ・・・・あう・・・」
がくがくと震える腰はしっかりと捕まれ、ひくひくと疼きはじめた入り口に長い指が奥まで入り込んでいる
いつもいつも、痛みに似たものを与える暁の抱き方とは違う
ただ快感だけ
真墨の感じる部分をゆっくりと攻め上げていき、高めて高めて、一番欲しい時に快感をくれる
一度、その手でいかされた身体も、また熱を持ちはじめ
暁が与えるものを、欲しがって欲しがってどうしようもなくなっている
鞭で打たれた痛みも、今はどこかに吹き飛んでいる
「ふ、ううう、あ・・・・・う」
手でしごかれたものが また震え出した
ぽたぽたと雫が落ちる
こんな行為に慣らされた感度のいい身体は暁の思うままに反応し
真墨の身体を知り尽くしているかのような手や指の動きに どうしようもなくいってしまいそうになる
ぐちゅ、と
自分の身体がいやらしい音をたてるのに、またぞくぞくと背が反った
どうして、今日に限ってこんな風に優しくて
こんな風に痛みのない快感だけを導き出して
耳元で、甘い言葉を囁きながら抱くのだろう
「いきたいなら、いけよ? 好きなだけ」
くちゅ、とまたいやらしい音が響いた
どうにかなりそうだ
快楽に溺れそうになる程に いかされて
その行為に、身体に刻まれる痛みのない刺激に おかしくなりそうだった
こんなに感じたことは 今までにない
相手が明石で、
彼は自分にとって、そこにいるだけで魂の震える人間で
彼に認められたくて、ここにいて
彼を超えるためだけに戦っている、そんな相手だから余計に
その暁に こんな風に抱かれたらどうにかなりそうになる
まるで愛されてるみたいに、扱われたら

「ふ・・・う、あああ、あ・・・・」
ずく、と
身体の奥に熱いものがあたるのに身体を震わせながら 真墨は浅い息を繰り返した
繋がった痛みを一切感じさせず、疼きだけを与えて暁は真墨の中に身を沈めた
腰を抱かれて されるがまま、中を犯すものの感触を必死に感じていた
声がもう自分の意志に反して上がる
濡れたような恥ずかしい声
だがそれを どうすることもできない
暁に感じて、暁に溺れる
深く繋がるたび、
少しその身を離すたび、いいようのない疼きと快感が腹の底から生まれていく
「あああ、ああああああぅ」
強い腕に後ろから抱かれて、快感だけを与えられて 真墨は何度も意識を手放しそうになりながら まるで貪るように暁を感じた
頭も身体も暁ばかりになって、何も考えられなくて
真っ白になりながら 何度目かの熱を吐いた
与えられた快感に浸りながら そうして意識を手放していく

気を失った真墨の身体から拘束具を外して、そっと抱き上げると 快楽の余韻の残る声がその唇から漏れた
仲間同士、知り合って理解しあうのはいいことだけれど
それ以上の興味は必要ないと、暁は一人つぶやいた
可愛い真墨
反抗的な目も、負けず嫌いの性格も、鋭い視線も、不屈に似た魂も愛しい
あの入隊試験の時に見た時から 彼は自分の獲物なのだ
気に入ったものは、必ず手に入れる
だから 蒼太になど興味を持たれても困るのだ
真墨はこちらだけ見ていればいい
自分を追って、今のようにいればいい
他が見えなくなるくらい
他のことが考えられなくなるくらい
自分でいっぱいにしてやろうと思った
思い知らせてやろう
わざと、快楽ばかりを与えて、溺れさせてやろう
離れられないように
俺なしでは、どうにもならないように
他では満足できないように
今夜を忘れられないように
その身体に刻み込んで よそ見なんかできないようにしてやろう
その身体に覚えさせてやろう
一番に求めているのはこの俺で、他では代わりにもならないのだと

少し笑って、暁は真墨を抱いて部屋を出た
自分でも珍しく嫉妬などしたことに 少し驚いて
そうさせる真墨に満足した


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