雨降り (主×桜)


静かな夜、突然降ってきた雨に足留めされてトレーラーでぼんやりと時間つぶししていたところに、君が帰ってきた
血で真っ赤に濡れた足を引きずって

「ア・・・アキラ?!!!」
がたがたん、と
まともに上がらない足でトレーラーの階段をなんとか上がり、その場に崩れたアキラに、驚いて僕はかけよった
雨の匂いがする
君は全身びしょ濡れで、
赤い血が、それにゆるゆると流れて床に水たまりをつくった
「どうしたんだい、こんな傷・・・・・っ」
「あ・・・・・あんたこそ、なんでこんなとこにいんだよ
 今日は帰るって言ってただろ・・・」
浅く息を吐きながら声を絞り出したようなアキラに、僕はただオロオロとする他なかった
「チッ、いるんなら戻らなかったのに・・・・」
また、アキラがフラフラと立ち上がった
顔をしかめて、壁に背を預けるようにしてドアに手をかける
「何してるんだい?!
 そんな怪我でどこ行く気さ?!!」
気が動転して、声が上ずった
出ていこうとするアキラの腕をつかむと、また彼が顔をしかめた
「アンタがいるって知ってたら戻らなかった
 家、帰るよりここの方が近かったから戻っただけなんだ」
ズルズル、と
彼がまた座り込んだ
顔色が悪くて、息遣いが荒くて
どうしようもない僕に、彼は少しだけ笑って言った
「ごめんリーダー、
 タオルだけ、とってきて」
あとは手間かけさせないから、と
そうして目を閉じたアキラに、
僕はまるで何かにはじかれたように奥からタオルを持ってきた
山程

アキラは、血で汚れた白いズボンの上からきつくタオルを巻くと、
ようやくふぅ、と息をついた
それからどうしようもなく ただここにいるだけの僕を見て
いつものように、にかっと笑った
「大丈夫だって、リーダー
 こんなんいつものこと、いつもの」
誰もいないと思ってたから油断していた
彼には見せないようにしていたのに
こういう、戦っている時の自分の姿を
「こ・・・こんなにいっぱい怪我するのかい・・・?」
声が震えた
さっき僕がつかんだ腕も傷めているみたいで、
アキラがその腕を庇うようにしているのが目につく
「こんな・・・君だけがこんな・・・」
血に汚れたアキラの姿は、想像もしたことがなくて
いつも笑ってアジトに現れているその姿からは考えられなかった
こんな真夜中に、こんな風に傷だらけで苦しんでいるなんて
「ネミッサが帰ってきたらパァ〜って治るから平気だって
 そりまで、我慢すりゃいいだけだよ」
軽い軽い、と
笑ったアキラが無性に悲しくて
苦しくて、
何も痛くない自分が許せなくて、恥ずかしくて
「ごめんよ・・・知らなかったよ・・・」
ぼろぼろと涙がこぼれた
ああ、泣くなんて何年ぶりだろう
君だけが、こんな風に傷をおっていたなんて
魔法で治るなんて言うけれど、痛みは今も君を苦しめていて
そうやって、マトモに呼吸もできない程に苦しんでいるじゃないか
君は誰のためにそんなにも、辛い戦いに身を置いているのか
「泣くなよ、悪かったよ・・・」
ちゃんと確認して入れば良かったよ、と
困ったようにアキラがいった
違うんだ
そうじゃないんだ
君が、そんなに優しいのも
そんなに強いのも
だからこそ、一人で痛みに耐えているのも
全部が全部悲しいんだ
僕は君に、何かしてあげたい
一人で血にまみれて戦っている君に、何がしてあげられるだろう
「リーダー、泣くな」
そろそろ、と
傷の目立つ手が、遠慮がちに伸びてきた
「・・・よごれちゃうかな」
いつもなら、こんな風に戸惑ったりしないのに
乱暴なくらいに、触れて奪っていくのに
「汚れてもいいよ」
君の血なんだから
君が僕達を護るために流している血なんだから
その手を取って、頬にあてた
ああ、僕の涙こそが、君の手を汚してしまうね
「リーダー、泣かないでくれ」
「うん・・・ごめん」
うなずいたら、アキラは安心したように目を閉じた
「ネミッサが来るまで寝てるから・・・」
「うん」
「そうしてて、
 リーダーってあったかいから、気持ちいい」
子供体温だな、なんて
冗談をつぶやいて、アキラはそれから何もいわなくなった
僕はただ、その手をずっと頬にあてて、必死に涙をこらえていた
泣いたって、君の痛みはなくならない
君の戦いが終わるわけじゃない
でも今夜、知ることができて良かった
優しいアキラ
一人で戦わせてごめんよ
君を、見ようとしなくてごめんよ
僕は、何も知らずに君の痛みを踏みにじるところだった
その優しさと強さを、気付かずに安穏と過ごすところだった
アキラ、
君のために、僕に何ができるだろう
君が必要だというのなら、何だってあげる
君の救いに、僕はなれるだろうか


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