渦 (主×ユーイチ)


世の中にはうまくいかないことが山程ある
そう言っていじけてみたって、別に神様は怒りはしない
自分だけが不幸だ、なんて言う気はないけどだからこそ
少しくらい愚痴ったって、少しくらい卑怯に生きたって許されるだろう
そうつぶやいてから、逃げ道をつくってから、
やっと俺は歩き出す
そうでもしなけりゃ やってられない
こんな世の中
こんな関係

「ねぇ、セックスしない?」
どうしてそんなことを言ったのか 本当は自分でもよくわからない
触れてみたかったのかもしれないし、壊したかったのかもしれない
嫉妬なのかもしれないし、もしかしたら憧憬なのかもしれない
何がどう、なんて最近どうでもよく感じる
ただ、感情ってものがコントロールできなくなるから そんな時は投げ出してしまうことにしてるんだ
どうしようもないことは、どうしようもない
頑張ったって、仕方ない
届かないものは届かない
努力して叶うなら、なんだってするんだけどね

スルスルと恥ずかしげもなく服をぬいでユーイチは西陽の中にその肌をさらした
「ねー、今誰か入ってきたらびっくりするだろーねー」
クスクスと耳もとで笑いながら、
その目にはどこか自虐の色がにじんでいる
「誰もこねーよ」
その細い腰を抱いて、浮き出た鎖骨に舌を這わせて
そっけないというよりは乱暴な口調で、アキラはこたえる
こたえながら手は無機質に、あらわになった胸の突起に触れまさぐる
「・・・・なんだよ、アキラっていつもこんな感じでやるの?」
ビク・・・と、その体が反応するたび声が上ずる
「まーな」
「・・・・・・・・・・やな奴」
本音だったろう
それを隠さなかったのか隠せなかったのか
一瞬見せてしまった戸惑いの色も、敏感な部分に触れられる感触に消えた
「ん・・・っっ」
アキラの手
授業中つまらなさそうにクルクルとペンを回しているあの手
ガンプなんてものを扱うようになってからは 生傷の耐えない手
あの手で触れられている自分
いろんな人を抱いてる、アキラ

「な・・・ん・・・っっ
 アキラ・・・・じらしてるの?」
首筋から胸元には いくつかの赤い痕ができて
胸はひどくしつこく指でいじりたおされて
体は熱いし、息は上がっているし
「そーでもないけど、もっといい声出せよ」
「い・・・あン・・・・あぅ・・」
その体を這う舌の感触に、声は制御できなくなるし
なのにアキラはそこから先に進もうとはしないし

「ね・・・・・・も、いいから・・・・いかせてよ・・・」
自分はどうして、
アキラなんかにこんなことを言ってるんだろう、なんて
あの人も こんな風に言うんだろうか、なんて

「いかせて、入れてよ、アキラの」

考えたくもない
だから考えない
ただ欲情させられた体の、その欲求を処理したいだけ
今はそれだけ
遊びみたいなものだよ、
こんなの本気でやるなんて、正気じゃないよ

冷たい机に背を押し付けられて、
アキラは無言のまま はじめて触れる部分をやわらかく握り込む
「ひぁ・・・・っっ」
充分に高められた体は、その刺激に跳ね上がる程に敏感になって もはや主人の言うことなんかきかない
触れられるまま、攻められるままに反応している
ああ、もっと欲しいと
懇願してしまいそうになる程に、
「ふーん・・・・けっこうそそる顔すんな」
くく、と
意地悪く笑ったクラスメイトの顔に、無償に
無償に、泣けてきた

ああ、俺 何やってるんだろう

感じて、感じさせられて
どうかしてしまいそうな位じらされたものは 熱く熱をもって頭をもたげ泣いている
「こんなに濡らしてしょーがないなぁ、ユーイチくんは」
その声も白濁しそうな意識の向こうでしか聞こえない
「どうしてほしい? 言えたらいかせてやろーな」
意地の悪い顔
子供なのか大人なのか、いい奴なのかやな奴なのかわからないよ
「言ってみな
 その可愛い顔でお願いしてみな」
言われて、体中で虚勢をはって
口元に微笑をたたえて
「シックスにするみたいに、グチャグチャにしてよ」

アキラは、眉ひとつ動かさず笑った
「じゃ、オレをいかせる位いい声で哭けよ」
足を上げられて、ツ・・・と舌を差し入れられる
「んぅ・・・・」
ぬれた感触
時々アキラのたてる淫らな音にゾクリとする
「や・・・アキラ・・・やっっ」
「なんだ、らしくないぜ?」
小さな圧迫感とともに 一気に奥までいれられた指に体が跳ねる
濡らされた入り口は むしろ自らアキラを誘い込むように飲み込んで奥まで導くのだ
「ん・・・・う・・」
何度かゆっくりと指を抜き差しされて内壁を刺激される
熱くて、それでいて脈うつように響く快感
こんな風に、

こんな風に、抱くんだ
あの人は、どんな声でアキラを呼ぶんだろう
どんな風に、いくんだろう

「アキラ・・・・」
指がぬかれて圧迫感が去ると 今度は息をつく間もなく痛みが脳天まで突き抜けていった
「ひ・・・・・・っっ」
声にならない悲鳴がもれる
苦しくて
熱くて
痛くて
「アキ・・・ラっっ」
「お前が誘ったんだぜ? おまえがこうしてくれって言ったんだろ?」
ガクン・・・と力が抜けそうになるのを強い腕で支えられた
強く押さえ付けられ、そのまま一番奥まで差し入れられた
「ひっっっ」
目眩がしそうだ
自分でももっとうまくやる
「アキラ・・・・いたい・・・・」
念いが全部読まれてるんだろうか
それとも こうやってあの人も抱くんだろうか

「ちっと我慢しろな
 すぐ気持ちよくしてやるよ」
そう言ってアキラは 今度はゆっくりと腰を使って動き出す
同時にそそり立って雫をたらし濡れてしまっているものをにぎりこまれ、その大きな手の中で弄ばれる
弄ばれて、じらされる
「ひっ・・ひぁ・・っんっっ」
どうしようもなくなる体
今にも手放してしまいそうな意識
「アキラ・・・いやだ、いやだ、いかせてっっ」
叫んだのが声になったか

次の瞬間には、アキラの熱いものを感じて自分も果てた
一気に何かが冷えていった

傾いていた日が暮れて、校舎には誰もいなくなった
制服を着ながらユーイチがぼやく
「アキラってサドだよね」
「おまえの方がよっぽどサドだろ」
苦い顔
この顔を、よくしている
アキラも自分も
「俺の方が絶対巧いよ
 ねぇ、今度は俺が入れたゲルよ」
「ご冗談を
 俺は入れても入れさせねぇよ」
ケラケラと、笑いが飛ぶ
快活な、でも歪んだ二人
「立てねぇだろ、送ってってやるよ」
おぶされ、とむけられた背に素直にすがる
バカみたいな俺
何をしているんだろう、なんて
そんなこと 考え出したら生きていけなくなっちゃうよ

「なぁ、ユーイチ」
もう暗い帰り道、ぽつりとアキラはつぶやいてみる
「お前さ、もちっと素直に接してやれよ」
誰に、と
眠そうに小さな声が返事する
「シックス」
ああ、と
まどろみかけたままで、ユーイチは笑う
慣れないことをすると疲れるし、
この大きな背中は妙に温かくて泣けてくるんだ
「無駄だよ、そんなこと」
だってシックスはアキラばっかり見てるじゃないか
俺のものにならないなら、虐めて泣かせて壊すしかないじゃないか
「だから、優しくなんかしてあげないんだ」
だから時々からっぽになるんだ
そしてこうやって、あの人の求めてるものに触れてみたくなる
同じように、されてみたくなる
アキラに、どんな風に抱かれているのかとか
どんな風に、感じるのかとか
そうして、後に残るのはこの疲労感と虚無
バカみたいだと、自嘲する自分
「お前がシックスを繋いどけよ」
珍しく神妙な声に、ふと笑みがこぼれた
俺達はすこし似てると思うよ
「本気なんだろ、大事にしろよ」
自分のことは棚上げなその言葉が妙におかしかった
うん、そうだね と
それは言葉になったかどうか
ユーイチはしばしの眠りに落ちていく


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