やきもち (蛇×鹿)


鹿目は、うつむいて立っていた
この廊下の角をまがったところで女の子と蛇神が立っている
彼女の差し出す手紙を、いぶかしげに受け取る蛇神の姿を、ちょうど角をまがったところで見てしまった
あんまりびっくりして、思わず慌てて身をひそめて
それからこうして、ここに立っている

(・・・蛇神ラブレターもらってたのだ)
気付くと、ドキドキしている自分がいた
クラスでもクラブでも、相当浮いている蛇神は、当然男女ともに、ある意味畏れられていて
気軽に近付いたり、話しかけたりできるのは野球部の連中か、
もしくは何も考えていないバカかのどちらかだった
それで、妙に安心したりしていたのだけれど
(・・・蛇神は優しいからモテるのだ・・・)
ふ、と そういう事実に気付き、
その現場を見せられて鹿目はどうしようもなく不安でイライラした気分になった
廊下から二人の姿が消えたのを確認して、教室に入り荷物を持って
クラブに出ても、その嫌な気分は消えなかった
蛇神は、ラブレターを受け取った
あの女の子とつきあうのだろうか

「筒良、帰らぬのか?」
練習後、最後までグランドに残っていた鹿目のところへ蛇神がやってきた
「帰らないのだ」
この嫌な気持ちが収まるまで、このネットに何球でもぶつけてやる、と
鹿目は一人球を投げ続けた
「・・・もう暗くなる故、今日はそのくらいにしたらどうか」
「蛇神は先に帰ればいいのだ」
ぷい、と
そっぽを向いてまた球を投げた鹿目の、その様子に蛇神が不思議そうに首をかしげた
「どうかしたのか?」
「してないのだ、蛇神には関係ないのだ」
ああイライラする
蛇神は、なんて返事をするのだろう
もしかしたら、こんなこと今までに何度もあって
蛇神のことを好きなのは自分だけではなかったのかもしれない
またイライラした
蛇神は別に自分のものなわけではないけれど、それでも誰か別の人が蛇神を好きだというのは気に入らなかった
「どうした、筒良」
「どうもしないのだっ」
きっ、と蛇神を睨み付けて
それから、イライラをぶつけるかのように言い放った
「蛇神は帰ってラブレターの返事でも書くのだ」
「らぶれたー?」
はて、と
蛇神が困ったような顔をして、それからああ、と
つぶやいて、苦笑した
「彼女にはもう返事をした故・・・」
お前が気にすることはない、と
蛇神は微笑した
「べ・・・別に・・・・」
気にしてないのだ、と
もごもごと口籠って、鹿目はチラリと蛇神を見た
「蛇神はもてるのだ」
「そんなことはない」
「よくラブレターをもらうのだ?」
「・・・・何通貰っても返事はいつも同じ故」
「やっぱりよく貰うのだっ」
「いや・・・・・」
困ったように眉を寄せた蛇神に、鹿目はむっとしてその顔を見つめた
何を考えているのかわからないし、
やっぱり、断ったといっていても
誰かが、
自分以外の誰かが蛇神を見ているのが嫌だった
「・・・蛇神は僕のなのだ」
ぽつり、とつぶやいて
鹿目は唐突に
側につっ立って困った顔の蛇神の唇に触れた
精一杯、背伸びして
「?!!!」
突然のことに、一瞬蛇神が目を見開いて身を固め
しばらくして、離れた唇から 溜め息ににた吐息が漏れた
「お前の行動も、不可解也」
「いいのだ、わからなくて」
ぷいっと、相変わらずそっぽを向いたまま鹿目はてくてくと歩き出す
その後ろからついて歩きながら、蛇神は少しだけ微笑した
好かれていると実感する、この瞬間が心地いい
こういう気持ちは、彼と出会うまで知らなかったことだ
温かかった唇の、感触を思い出して蛇神はもう一度微笑した
鹿目に、それと悟られないように


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