王という名の王という存在

胡蝶 2000.03.13

一番欲しいものは何だと聞かれた
夢の中、影のような存在に

一番欲しいものは、何だ?

欲しいもの?
欲しかったのは豊かな国
親が子を捨てなくていい暮らし
子供が安心して親とくらせる国

こたえは認められなかった
「もっと他に、あるだろう?」

ああ、では。
「尚隆のこと・・・?」

ずっと欲しかったもの
オレだけの、存在
王という名前の、王という立場の、王というあいつ

「尚隆のこと?」

オレが欲しいのは王ではなかった
あいつだったから選んだんだ
あいつだったから側にいるんだ
あいつだから この身も魂も捧げる

あいつだから こんなにも欲しい

「そう、その麒麟にあるまじき欲望」

苦笑がこぼれた
麒麟にあるまじき?
清廉潔白がいい?
汚いものなんか何も持ってない、まるで天の意志のいれものみたいな?
そんなのが、いい?

「オレの意志はいらない?」

麒麟はただの器に過ぎないんだって
だったら、
こんなにもあいつを求めてやまないこの気持ちは何なんだ
天の意志を通すだけのものなんだったら
こんな気持ち 生まれないはずなのに

想いは強すぎて痛い
想う程に、泣きたくなるほど叶わなくて遠い

「尚隆」

その名は王の名
オレの想いは きっと間違ってる

「滅ぶぞ」

自嘲した
知ってる、そんなこと知ってる
雁国の滅びはやがて来る
天の意志である麒麟
それが自我をもって 誰かを想えば何かが狂うんだろう
そうやって 国の終わりはやってくるんだろう
王ではなく、尚隆を求めているから
こんなにも見苦しく汚れた魂で あいつだけを見ているから

もうすぐ雁は滅ぶ
生温いベッドの中で

それはまた、と
盃をあけてあいつは笑う
「麒麟とはまた 妙な夢をみるものなんだな」
ボンヤリと天井をみつめて、心地いい声をきく
こうやって、身体も心もあいつばっかりになって
他に何もいらなくなって
それでもまだ足りないと想ってしまうから、

オレは麒麟らしくない麒麟なんだ

クツクツと奴は笑う
「むしろ 麒麟らしいんだろう?」
王を求めるのが麒麟の本能なんだというから
「所詮は獣だしな」
笑った声が心地いい
なんだよ、と
にらみつけながら こんなに落ち着いていられる自分に気付く

ここが、一番心地いい

堕ちていく意識
こいつの側なら、何だっていい
悪夢の続きも、また一興

そして闇へと誘われてゆく、この魂


欲しいのは、それじゃない

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