02. 名前



私には、欲しい名前があった
だからお前の名は、とマスターが言ったとき、先に声に出して言った

それは、私が生まれて初めて聞いた名前
マスターが、特別に愛しい声で呼んだ名前

・・・・・・?」
「そう、
戸惑ったような顔をしたマスターに、私は繰り返した

その名前じゃなくちゃ、嫌
私はあの甘さを忘れられない
私のことをそう呼んで
昨夜のように特別な、特別な想いを込めてそう呼んで

「その名前はダメだ、お前には違う名前をあげるから」
「違うのはいやっ」

マスターの指に噛み付いたら、マスターは困った顔をして私を見た
なだめるように頭を撫でる手をひっかいたら、今度はぎゅっと抱きしめられた
私の牙は生え揃ってなくて、爪だって柔らかくて武器にはならない
噛んでもひっかいても痛くないよって、マスターは言いながら悲しそうに私を見た
だけど私は本能で知ってる
私は戦うために生まれたんだと
あなたのために戦えために、この世界に生まれてきたんだと

「呼んで、ねぇ、呼んで、マスター」
マスターの胸にすがり付くと、ドクンドクンと鼓動が聞こえた
安心する音、マスターの音、マスターの匂い
震えながらマスターは、私を撫でる手を止めてそっと口を開いた
唇が震えている
ぽたぽたと、紫の目から雫が落ちる
・・・」

、あなたの大切な名前
、それほど甘い響きを知らない
、それは母の名だけれど今日から私の名前になるの

私は目を閉じて小さく鳴いた
私を呼んで、昨夜のような特別な声で
私を見て、何より綺麗なその宝石の目で
私を想って、誰よりも何よりも何よりも誰よりも
私を愛して、母を愛したよりも深く

そうしたら私は何だってできる
世界に何も怖いものはない
私はあなたに全てを捧げて、あなたの命令なら何だって聞くから

、どうかお前の未来が幸せでありますように」

マスターの腕の中、私は安心して目を閉じた
あなたのために生きていきたい
あなたに愛されるために生まれてきたんだと確信している
あなたのために戦うのだと覚悟を決めたの
だからどうか、離さないで
抱きしめていて
名前を呼んで
私のことを母よりも愛して



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