01. 生まれた夜



私が世界に生まれて最初に見たのは、紫色の宝石みたいな目の色だった
私が世界に生まれて最初に聴いたのは、愛しい者を呼ぶときの優しい優しい声だった
私が世界に生まれて最初に感じたのは、血が熱くなるような本能だった
私が世界に生まれて最初に知ったのは、胸に宿った想いの名だった
私が世界に生まれて最初に発したのは、あなたを呼ぶための音だった

「マスター」

やがて優しい手が私の身体を掬い上げ、強く強く抱きしめた
夜の帳に身を隠すようにマスターは駆け出し、それを追うように赤い火がチラチラと街の方から迫ってきた
炎は怖い
あの火は私達の敵ではないか
本能に震えた私に、前を向いて走っていたマスターが言った
「大丈夫、お前達は僕が守る
だから目を閉じて、安心して、眠っていなさい」
朝が来たらお前達に名前を付けよう
そしてお前達の誕生を祝おう

マスターの言葉に私は安心して目を閉じた
迫る炎も人の声も遠ざかっていく
あなたの言葉は私の全て
だからもう、私は何も怖くない
あなたの言葉だけ聞いて、私はこれからを生きていく



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