17. 第3期 「毎日を楽しんで生きてくれ〜1月〜」


12月31日、俺とノースは二人して部屋中を掃除し、窓の外っ側までピカピカにした
朝からの労働に俺は腹を減らし、ノースは窓の下に丁度、人一人が座れるでっぱりを見つけてご機嫌
3時頃、正月の買出しついでに遅い昼飯を食い、そのままノースと一つ向こうの駅まで散歩する
「ここの木は全部桜なんだ
 春には花見に来る人で賑わうし、桜も空をピンクに染める」
「ピンクに?!」
「そう、お前ピンク色の空って見たことある?」
「ないノスっ」
「4月になったら見れるよ」
「ノスっ」
両手を上げて笑う、お前のよくやる仕草
イベントを楽しみに、カレンダーに書くのはお前の日課
「しかしやっぱり冬は寒いな」
「冨樫くんは寒がりノスね〜」
「おまえはいいよな、寒いのが平気で」
そのかわり夏に弱いけど、と思いながら俺は笑った
ノースがはめていた手袋を差し出してくる
カラフルな手袋
そういうの、俺は似合わないんだけどと思いながら 今はありがたく借りる
ノースは、その間に桜の木を数え始めた
春が待ち遠しい
俺は春が一番好きかもしれない、特に桜の咲き始めるあの季節

(3月の桜・・・)

寒々しい裸の木を見上げた
俺が今までに見た桜で、一番美しかったのはあの朝だ
黒い服のノース、まだ咲き始めたばかりの桜、ほんの1分咲き
細い手首、無垢の目
俺はあの景色を、多分一生忘れられない

(だって、もう二度と見ることはできないもんな)

あのノースはもう存在しない
二人目を失って、ようやく俺は気付いたんだから
二度と手に入れられないかけがえのないものと、俺は今を生きているんだと

「だから、おまえとの毎日も」

だから、1日1日を、
目の前にいるこいつとの毎日を、失った後後悔しないように過ごすと決めた
愛すると決めた
たとえそれが、俺の中でのみ完結する自己満足のものだったとしても

「ノース、何本あった?」
「30本っ」
「へぇ、知らなかったな」
「発見ノスね」

得意気なノースが可笑しくて、俺は笑った
この無垢は毎日何かしら発見する
そしてそれを日記帳に書く
クリスマスに俺がプレゼントしたたくさんのもののうちで、奴が一番気に入ったのはレトロな鍵のついた日記帳だった
その日から、奴は日記を書いていて、
俺には見せてくれないけど、嬉しそうに毎日1ページずつ発見やイベントの感想で埋めている
「ノース、寒いから帰ろう」
「ノスっ」
「今日は、帰ったらコタツでみかん
 夜になったら年越しソバに初詣、正月の朝は年賀状」
「年賀状!冨樫くんに書いたノスっ」
「俺もお前に書いたよ
で、2日はもちつき大会、3日は河川敷でたこあげ大会
 4日は食料の買出し、5日は駅前で骨董市」
「ノーーーッス」
毎日がイベント
お前が望めば、その全部に連れていってやる
そこでお前は新しい発見をして、楽しかったと言って、笑ってくれ
俺もそんなお前を見て、今日は楽しかったと言って一日を終えたい
「冨樫くん、楽しみノス」
「俺も」
ノースがまた笑ったから、俺も笑った
お前との毎日を、こうして輝かせていきたい
どうか、お前の日記の全てに、楽しかった思い出が書かれますように


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