16. リセット


その時、俺は思った
お前ってやっぱり間が悪いんだよな、って

12月24日 23時55分
ワクワクしすぎてバッテリー消費が激しかったのか、ノースは止まった
畳の上にはノースが朝から作ってた料理(の残骸)
俺がさっき買いに走ったワイン(飲みかけの)
そして、5分後にツリーを見に行くのに必要な懐中電灯(電池はさっき変えたばっかり)
やれやれと溜息をついて、俺は立ち上がった
ショックはあまりない
・ ・・と言ったら嘘になるか
神様とやらを呪いそうになりながら、別に俺はキリスト教じゃなかったと思った
(ほんと、間が悪い奴)
押入れから予備のバッテリーを取り出した
前のとき、予備が届いてたのを思い出して、置き場所を俺はこの間確認した
今度バッテリーが切れたらすぐに入れてやろうと思ってた
特に、最悪の予想通り クリスマスの前や最中に止まってしまったら、なおさら

(クリスマスに、正月、豆まきにバレンタイン、ひな祭り、ホワイトデー)

お前のこれからは、イベントづくしだ
クリスマスだって、まだ終ってない
全部、経験させてやろう
できるかぎり、一緒に楽しんで、後で後悔しない時間を過ごしたい

(そう、毎日を楽しく)

溜息ばかりの日々から抜け出して、
後悔などせず、
二人の無垢のように、俺も生きていきたい
あれの見てる景色を、俺も見たい

「ノース、おはよう」

座ったまま止まったノースのバッテリーを交換するのは楽だった
これなら業者も呼ばなくてすむから早い
替えて2秒後、ノースはゆっくりと目を開けた
ガラス玉のような目が俺の姿を映している

「命令をお願いします
 それから、あなたのことを教えてください、ご主人様」

大丈夫、平気だ
覚悟はしてた
本当は切ないような気持ちだけど、そんなのは1回目のショックに比べたら何でもない

(・・・というわけでもないな、不思議だ)

本当は痛い
どんなに愛しいと思っても、どんなにあれが俺を好きだと思っても
半年で必ず別れがくる
それが、平気なわけがない
たとえわかっていたのとしても、何度経験しようとも

「俺の名前は冨樫、職業は映画監督」

3度目の自己紹介

「命令は、毎日を楽しんで生きてくれ」

ガラスの目が一度閉じる
そして5秒後にまた俺を映す
そして了解の言葉、聞くのも3度目

「ノース、早速だけど、今はクリスマス中なんだ
 お前が寝てる間に25日になった
 下にツリーとプレゼントがあるから、二人で見に行こう」
「クリスマス?!!!」
「そう、クリスマスにはツリーとプレゼントだろ?」
「ノスッ」

ノースの返事は元気だった
立ち上がって部屋の中をキョロキョロとし、ところどころ飾られているのを嬉しそうに指さしたりする

「ノスっ、クリスマス素敵ノスっ」
「そうだな」
俺は懐中電灯を手に取り、玄関に向かった
ノースもついてくる
好奇心いっぱいの顔
俺は心のシミを感じながらも今はそれを無視した

ノース、おまえとまた半年
ノース、今度はお前に優しくするから
ノース、だからおまえはいつも楽しいことばかりで
ノース、溜息と後悔ばかりの日々から俺を掬い上げてくれ

12月25日 ノースの初めてのクリスマス
6日後には、また次のイベントが待っている


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