ベッド (将臣×譲)


遠くで、未だに飲んでいるヒノエと弁慶の声がする
ドアを閉めて、冷たいベッドにもぐり込み 譲はそっと息を吐いた
怒濤のように過ぎていった一日
今朝にはまだ、あの遥かの世界にいたなんて、
この手に武器を持ち、怨霊なんていう非現実的なものと戦っていたなんて
「嘘みたいだ」
天井に向けて、両手を伸ばした
小さなオレンジの灯りが、ぼんやりと見える
あの世界の夜にも、こんな風な灯りがあったっけ
小さな火を燃やすのを 不思議な感覚で見ていた
おだやかな炎というものは、心を落ち着かせる
「嘘みたいだ、こんなの」
伸ばした両手
右手の親指と、人さし指と、中指と、左手のてのひら
譲にも傷がある
非日常的な生活の中で、弓の訓練の時に、戦闘の時に
知らず知らずに増えていったもの
ペンや鞄を持つだけだった、競技用の弓しか引いたことがなかった手にはなかった傷
それは、もう消えないであろう深い痕となって残っている
目立ちはしないけれど

うとうとと、眠りに落ちかけていた譲の耳に 聞き慣れた声が飛び込んできたのは それから30分後のことだった
「譲? なんだもぉ寝てんのか?」
遠慮のない声
ドアが開いたら、遠くの楽し気な宴の声がより近くに聞こえた
一人潰れ、二人落ちする中 まだやってるのだから元気というか何というか
だがその声も、将臣がドアを閉めるとともに また遠くへと薄れていく
「譲、もちっと向こうに行ってくれ」
ぐい、
声と同様、遠慮のない力が身体にかかった
ああもう、何なんだ
眠りの一歩手前、一番気持ちのいい時だったのに
「何だよ・・・」
「俺の場所あけろって」
「・・・・・・何でだよ」
ぐい、
強い力は ベッドのまん中に横たわっていた譲の身体を壁際に押しやり、
無理矢理に もう一人入れるスペースを作った
そこに、将臣がもぐり込んでくる
「おっ、あったけーな」
「自分の部屋で寝ろよなっ」
ああもう完全に目が覚めた
何なんだ
強引にも程がある
いやそれよりも、こんなでかい図体して、一つのベッドに二人で寝てるところを誰かに見られでもしたら何を言われるか
今この家には何をしでかすかわからない危険な酔っぱらいが未だ宴を繰り広げているっていうのに
「だって俺のベッドには九郎が寝てんだもん」
「客間があるだろ、布団だって足りてるだろっ」
「布団は女の子達とチビと敦盛が占領してる
 景時は可哀想に廊下に転がってた」
「・・・・・じゃあ兄さんも廊下で寝ろよ」
「それはあんまりだろ、譲」
だから、な? なんて
当然のような顔をして 将臣は笑う
何が、な? だ
こんなのが横にいたら、眠れなくなる
身体はクタクタに疲れているのに
「譲〜」
「くっつくなっ」
ずりずり、と将臣から少しでも離れるべく 冷たいベッドのはしっこの方へと身体をずらす
するとその背を抱くように 将臣もついてくる
甘えたような声で、名を呼んで
「譲あったけー」
「くっつくなって言ってるだろっ」
「怒るなよ〜」
くつくつ、
聞き慣れた笑い声が、背中を伝わってきた
ザワザワする、気持ちが
将臣は、いつもこうやって簡単に手を伸ばしてくる
振払われることを恐れない
どんなに怒ったって、どんなに怒鳴ったって、どんなに手を払ったって
「お前、窓際寒いだろ? 」
何度でも、手を伸ばして
抱きすくめて、引き寄せる
強い力を、奴は持ってる
「やっぱお前 体温たけーよな」
「・・・・・」
「人間湯たんぽ」
「・・・・・」
「このまま寝たら気持ちよさそう」
「寝るなら離れて寝ろよな」
「やだね」

将臣の体温が背中から伝わってくる
囁きに似た声は、耳のすぐ側で聞こえて、
低いような、高いような落ち着いた声が、鼓動を速めていく
将臣の腕は、譲の身体を捕らえたまま放さない
「ドクドクいってんな」
「うるさいな」
「緊張してんの?」
「してないっ」
笑い声が、首筋をくすぐった
さら、とした舌が そこに触れる
身体が反応するのを、止められなかった
震える肩、振動は将臣に伝わっていく
血が熱くなるような息苦しい程の鼓動の速さも、筒抜けなのかもしれない
将臣の舌が、首すじから耳の裏へと這っていく
「う・・・・・・・・・・・、」
目をぎゅっと閉じた
声を上げたくなかった
ぴちゃ、
濡れた舌の感触と、わずかな、それでも頭の芯に響くような水音が意識をグラグラさせていく
「やめろよ・・・っ」
腕に、力を込めてみた
ささやかな抵抗
こんなものが効いたためしはないけれど
「誰か起きてきたらどうするんだ・・・っ」
わずかに緩められた腕の中でもがくようにして、振り返り
将臣を睨み付けたら、まだ半分濡れたままの髪をうっとうしそうに払って 将臣は笑った
「お前が声、出さなきゃいい」

無理だ、と
言おうとしたのを、邪魔された
殴ってやろうと思った手は簡単に掴まれて、それきり
唇は塞がれて、呼吸さえできなくなる
「・・・・・・・・・う、・・・・・・・・・っ」
苦しい、と
もがいても解放はされない
何度も何度も執拗にくちづけを繰り返し、何も考えられなくなるくらい熱くなってもまだやめない
まるでそれしか知らない獣みたいに、
欲情をかきたてむさぼるように繰り返す
「は・・・っ」
熱かった、身体中が
いつのまにか布団も毛布も床に落ちて、目の前には不敵に笑う奴の顔
「相変わらず」
心地いい声が響く
もう抵抗する気もなくなってる
「泣きそうな顔してんぞ」
「・・・・・・・誰が・・・だよ・・・っ」
喘ぐみたいな声になった
将臣の手が触れる部分がしびれるようで、その度に背が反る
声を出してはいけないと、頭の中で必死に思っているから
それで唇を噛み締める
それでも、奴の指先に、てのひらに
撫でられて震えるのが止まらない
「う・・・・・、・・・っ」
「口、切るぞ」
指が、唇にあたった
なぞるように やんわりと開かせていく
どうして、力が入らなくなるんだろう
痕がつくほどに、噛み締めていたのを開いて 将臣の指が口内を撫でていく
「ふ・・・っ」
ぴちゃ、
感覚を刺激する音、ゆるゆるとあけられた口の端からだ液が伝うのがわかった
意識が朦朧とする
見下ろしてくる奴の顔が、笑った
「ちゃんと舐めて濡らせよ?」

その昂りだした部分には手をふれず、奴は濡らした指を狭い入り口へと挿れた
撫でるように奥へと、
圧迫感をもたらせる動きに、ぞくぞくと何かが背筋を縦に走っていく
熱をもつ身体
そうやって身体の内側を撫でられるたびに 声が上がりそうになる
顔を背けて また唇を噛み、
必死に声を飲み込んだ
つま先まで痺れるほどに、
頭の芯がボウとして何も考えなれなくなるほどに、
わけがわからなくなる
将臣の指の感触に、舌の這う音に、
「う・・・・、く・・っ」
「随分良さそうだな、たったこれだけで」

圧迫感が消えるとすぐに、別のものが侵入してきた
充分に慣らしたとは言えない身体
それでも昂りたち濡れているものに触れられれば、
まるで今すぐ果てさせようとするかのように攻められれば、身体を縦に裂くような痛みも少しは和らぐ
ただもう何も考えられなくなっているのか
肢体が麻痺しているのか
与えられる快感が、痛みに勝っているのか
もう何度も彼に与えられた鈍痛が、身体の奥に響いていった
「あ・・・・・う、」
熱い、
そう言おうとして、それは言葉にはならず 意味をなさない喘ぎに変わった
耳につく じゅく、という音
将臣の熱い手に握り込まれたものは、雫に濡れて限界が近いと知らしている
「あ・・、あ・・・・・・、・・・・・・っ」
曇った視界、必死で奴の顔を見た
すぐ側まで顔を近付けて、唇を一度舐めるようにして、
悪戯な目は、まっすぐ譲を見つめたまま笑った
「やっぱり泣きそうな顔、してるぜ?」

ずっと掴んでいた譲の手を、将臣は自分の口元へ引き寄せた
左手のてのひらに、舌を這わせていく
ぴちゃ、わざと音をたてるようにして
いやがる力を、それ以上の強さで捕らえて放さず
そこにある深い溝をなぞるように、舌は何度もてのひらを這っていく
びくびく、と
傷がうずいた
「あ・・・っ、やめ・・・・・っ」
ぴちゃ、
攻め立てるように執拗に、
舌になでまわされて、気がおかしくなりそうになる
傷跡、刀を受けた時の傷
その痕
今はもう、将臣の身体の傷と同じよう 痛くもなく、
ただ消えない痕だけがのこっている その場所
「いや・・・だっ、それ・・・・・・・・っ」
「傷痕って感じるよなぁ、なんでだろうな」
わかってやっているのか、
こんな目立たないてのひらの傷
めざとく見つけて、こんな風に
「やめ・・・・・・っ」
「イッちゃえよ、譲」
「う、あ、いや・・・・だ・・・っ」
奥深くまで沈み込んでいた将臣が、またゆっくりと動き出した
自分を導いていくかのように、その動きはやがて激しさを増す
また熱に、気がどうかなりそうになる
「あ、あ、あ・・・・・・・・・っ」
声を、飲み込むなんてもう意識になかった
痛みを伴う熱と、快感に似た傷のうずきに 譲は限界へと落とされて
目の前で、奴が何か言うのを見ながら果てた
白濁する意識の中、目を閉じる
身体の熱が、広がっていくのを感じていた

「可愛いやつ」
そっと、将臣がつぶやいた
聞こえていたけれど、返事をする余裕はなかった
遠く遠くで、まだ宴の声が聞こえる
目をとじたままでいた
やがて側で、落ち着いたあの声が囁く
おやすみ、
おやすみ、譲


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