蛍 (将臣×九郎)


逆さまに見える景色
目の前を蛍が飛んでいった
ほんのわずかな間だけ、視線を奪われる
綺麗だけれど、好きではない
あまりにも儚くて、ここにあるのかわからないほど頼り無いから

この手に掴めない不確実なものなんて、いらない

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その光を見ていたのは、ほんのわずかの間だけだった
急激に熱を与えられた身体は、未だ内から肌を焼くように九郎に痛みを与えていた
もう幾度も繰り返し、慣らされたはずの行為なのに
彼が触れると、それだけでもうどうにもならなくなる
体温の低い 大きな手のひら
肌をすべらせていく動きに、もう声を抑えることもできなくなって
九郎は浅い息を繰り返しながら、彼の名を呼んだ

幾度も、

「もうギブアップか?」
暗い夜の闇に慣れた目には、彼の顔ははっきりと見てとれる
笑った口元、いつもの口調
名を呼ぶ声
おまえの声

「俺はまだ、足りねぇけど」
たまに意地悪く、彼はそう言って深く繋がった身体を さらに奥へと押し進め
息を止めるよう顔を背けた九郎の唇を、その指で撫でていく
「声、聞かせろよ」
足りねぇよ、と
くちづけられ、歯列に割って入った舌の濡れた感触に
ぞくり、と九郎は肩を震わせた

おまえが触れると、それだけでもうどうしようもなくなるのに

深いくちづけの後、熱を共有していた身体を引き離し
将臣は咽を震わせ息を吐く九郎の顔を見下ろした
今も必死に声を出すまいと、歯を食いしばっている
いつまで、もつかなと
先程そうしたように、指でその唇をなぞった
感じるのか、びくりと身体が震える
響いてくる
お前の熱が、伝わってくる

一気に、
その身体を貫いた
戻ってくる熱、湧いてくる衝動
いつもみたいに、泣くみたいに喘いで見せてくれ
その顔が苦痛と快楽に歪むのがたまらない

おまえは、たまらない

「う・・・・・っ、・・・・ふっ」
目に涙すらためて、
そのくせ行為に感じ淫らに喘ぐ姿に、欲情する
きつく閉じた目も、
もはや堪えきれなくて、ただ意味のなさない声だけを漏らす唇も
からみつくように濡れて誘うこの身体も

夜の闇に、水音が響く
耳につく、身体がざわざわする音だ
この身の奥深くまで飲み込んで、なお
もっとと欲する自分に恥じながら
どうしようもなく、呼び続ける
手を伸ばして、その服を掴んで
欲しいと懇願する
ぐらぐらとした意識の中で

「将臣、将臣、将臣、まさおみ・・・・・っ」

限界まで高められたものを手の中に握り込みながら、将臣は僅かにわらった
感じて、濡れて、どうしようもなくなって、
九郎はいつも、最後にはただひたすらに名を呼び
求める
なりふりかまわず、いかせてくれと懇願する
まるで泣くように、手を伸ばして

「もう一回、呼んでみ?」
「まさおみ・・・っ」

その声は、かきたてる
身体の熱を呼び覚ます
衝動が、将臣を突き動かしていく

まるで壊すかのように激しく突き上げられ、九郎は一瞬息をとめて目を見開いた
自分の声がうるさいくらいに響く
痺れと一緒に背を駆け上がってくるものに その熱は一瞬で解放された
熱い熱い身体
おまえに満たされて、かき乱されて、
どうしようもなく感じる
どうしようもなく、声をあげる
どうしようもなく、泣いてしまう

「九郎・・・」

痺れるみたいな感覚に落ちながらも、その声だけははっきりと聞こえた
自分の名を呼ぶ彼の声が好きだ
わらっている唇
見下ろしてくる、いつもの顔
どうしても魅かれてしまうその眼
どうしようもなくなる、もうどうしようもない

意識を飛ばしかけた九郎の視界に、最後に映ったのはぼんやりとした光だった
ああ、蛍
そんな儚いものは好きじゃないと、思いながら目を閉じた
不確実な想いより、確かに感じるこの熱と痛みが心地いい


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