06.嫉妬

ヒノエと出かけた先輩がとても楽し気に見えたのは俺の被害妄想だけじゃないはずだ。
沈みがちだった先輩を俺はどうすることもできなくて、それがどうにもならないことだと思っていた。
だからこそ先輩の晴れやかな表情がひどく俺の心を掻き乱した。
「南先輩が楽しそうで良かったです」
本音と建前とはよく言ったものだと思う。今の俺の言葉は完全に建前だ。
「譲くん、どうしたの?」
「何がですか?」
取り付く島もないことを言ったんだと思う。先輩は何かを言いかけたけれど
言葉を飲み込んでそのままうつむいてしまった。
いつになく不機嫌な俺は先輩にどう映っているのだろう。
そんなことをぼんやり考えていると、先輩が顔を近付けてきた。
「ねぇ、どうしたの?」
先輩が言葉を繰り返した。心配そうな先輩の顔を見て、俺は本当に少しだけれども、溜飲を下げた。
「本当に何でもないですよ」

下らない。
冷静に自分を分析するけれど、だからといって今の状況を打開する術を俺は持ち合わせていない。

そう、これは下らない嫉妬だ。

みやこ様より
投稿ありがとうございました!


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