香の匂いがする
薄暗い部屋を、その香りが満たしている
なんとも妖しい気分にさせるそれに、鼻をくすぐられセブルスは目を覚ました
「・・・・・・?」
顔をあげると、見なれた場所だった
窓から西日がはいって、部屋は微妙に茜色
(ああ、うたたねをしてしまったんだ・・・)
目の前に積まれた本に目を移してセブルスは苦笑した
今日こそはレポートを書き上げようと一日ここに隠って調べものをしていたのに
どうやら、昨日夜更かししたのがいけなかったらしい
いつのまにか、眠ってしまって気がつけばもう陽が沈む時間だ
「・・・・・また明日にするか・・・」
ひとりごちて、机に積まれた本を棚に戻そうと立ち上がった
「・・・・・?」
ちょっと、身体がだるい
変な体勢で眠ったからだろうか
それとも、そんなに疲れているのか
軽い目眩みたいなものを感じながら それでも本を手に、目当ての棚まで歩いた

「?!」

側の本棚の角を曲って、セブルスは足を止めた
人の気配がする
驚いて、動きを止めた
いくつもの本棚の向こう、
セブルスのいた場所からは見えなかった所に、誰かがいる
同時に、ふわり、と妙な香りが漂ってきた
(・・・・・・・・・・何?)
嗅いだことのない種類の匂いだった
何だろう、と少しだけ身を乗り出した
そして、その瞬間 慌てて本棚の影に隠れた

(な・・・・・・・何してるんだ・・・・こんなところで?!)

そこにいた人陰の片方を、セブルスは知っていた
グリフィンドール寮のリーマスのという少年
いつもジェームズと一緒にいて、彼等の中ではまだマトモな種類の人間だった
(な・・・・・・)
ドクンドクン、と
心臓が早鐘のようになるのを必死でこらえ、セブルスは抱えた本をぎゅっと抱き締めた
リーマスと、誰か知らない上級生
二人は、そこで身体を重ね合っている
「あ・・・・・・・んぅ・・・・・」
ドキン、とした
リーマスの声
間違いなく、彼の声
そして、低いもうひとつの男の声
それがいやらしく何かをささやき、ついで彼の甘い声が響く
ドクンドクン、と
セブルスは、必死に息を殺した
ここからは離れているし、ぎっしりつまった本が自分の姿を隠してくれている
彼らに見つかる心配はない
だが、それでも こんな場所にいること自体が辛かった
こんな場所で男と?
リーマスにはそういった噂が耐えないけれど、まさか本当だったとは思わなかった
まさか、こんな風に身体を与えているなんて知らなかった
男に、
あの知らない上級生に

リーマスの声は、高くて、甘くて
セブルスの感覚を刺激した
あの妙な香りのせいかもしれない
やがて立っているのがつらくなってセブルスはその場にズルスルと座り込んだ
「あ・・・・あぅ・・・・・・・・・」
聞かないように、と
耳をふさいでも無駄だった
自分までもが痺れてしまうような感覚に陥り、
そうして、それはジェームズに触れられた時の感覚を思い起こさせた
(・・・僕もあんな声を出してるんだろうか・・・・)
思った途端に、顔が真っ赤になったのがわかった
あわてて頭を振る
好きで、そういうことをしているんじゃない、となんとか自分に言い聞かせようとした
「いくか? そろそろいってもいいんだぜ?」
妙にはっきりと、相手の男の声が聞こえてきて、
やがてリーマスの痛ましい悲鳴に似た声が響いた
ビク、と肩が震える
心配になって、思わず彼等の方を見た
本の隙間から ほんのわずかだけ見える様子
シャツだけかろうじて羽織っているような姿にされ、机に身体を押し付けられ
リーマスが男の身体を受け入れている
ゾク、
自分がされているわけでもないのに、しびれが身体を走っていった
「う・・・・・・・・」
声がもれそうになって、慌てて手で口をふさいだ
ここから出たい
あの声の聞こえないところへ行きたい
だが、出口は彼等の方にしかなく
その横を通って外へ出るなど不可能だった
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ」
ひときわ、高い声が響き、それでセブルスはまた身をかたくした
しばしの沈黙のあと、淫らな音がかすかに聞こえた
「お前、やっぱり最高だよ
 次、いつ会える?」
ボソボソと、男の声がする
「・・・そんなの知らないよ
 満足したんなら、帰ってくれる? 先輩」
途切れ途切れに、力ない それでも妖艶なリーマスの声がして
やがて、男はバサバサと服を身につけると部屋から出ていった
やがて、その場に静寂が来る


セブルスは、身体に妙な熱をもって動けないでいた
リーマスが、このまま帰ってくれれば、何とか立ち上がって寮まで戻ろうと
ぼんやりそんなことを考えながらそこに座っていた
かつ、かつ、と音がする
リーマスが、出てゆく音だろうか
だが、音は近付いて すぐ側で止まった

「・・・・・・・・!」
見上げると、そこには見なれた彼の顔があった
「覗き見なんて君らしくないね」
にっこりと微笑んで、彼はいった
途端、セブルスは顔を真っ赤にして叫んだ
好きで見たんじゃない、と

しばらくの沈黙の後、おそるおそるセブルスは聞いた
「・・・あの男のことが好きなのか?」
リーマスが好きなはのもっと別の誰かだと思っていた
学校で、ジェームズに負けないくらい目立っている彼に、今の男はつり合わない気がした
「つきあってるのか?」
「さぁ、どう思う?」
にこり、
喰えない笑顔で、リーマスはただ笑った
「僕はね、別に誰だっていいんだ
 寂しい時に抱いてくれる人なら、さっきの先輩でも、先生でも
 ・・・・・・・・・・・・ジェームズでもいいんだよ」
その言葉に、思わず顔を上げて、
そして、そこで意地悪く笑っているリーマスの顔をみて その行為を悔いた
「君、やっぱりジェームズが好きなんだ」
おかしそうに、リーマスは笑う
「だ・・・・・・・誰がっっ」
声が震えた
さっきより、熱が上がった気がした
「わかりやすいね
 大丈夫だよ、ジェームズだって君のことが大好きなんだから」
クスクス笑って言うリーマスに セブルスは何といっていいのか分からずただ顔を真っ赤にしてそこにいた
ふ、と視線が首筋の赤い痕を捕らえる
2.3見えているその痕に 身体が妙にうずいた
ああいう痕を、彼もよく自分につける
嫌だと言っているのに、わざわざシャツから見える場所につけるのだ
印だと、言って
「・・・・・・・・・・ああ、これね」
セブルスの視線を読んでリーマスが苦笑した
「こーやって痕、つけたがる男多いよね」
そういえば、君も時々つけてるね、と
彼はまたおかしそうに笑った
「・・・・帰るっ」
やりかえすこともできず、セブルスは言った
このままここで話をしていると、ますます身体が変になりそうだった
立ち上がろうとして、
「?!」
そして、そのままペタンとまた座り込んでしまった
「え・・・・・・・・・・」
足が萎えている
まるで、愛撫を繰り返された後のように
「ああ、この香りのせいだね」
苦笑して、リーマスが言った
ここらあたりに充満している香り
「これ、媚薬の一種なんだ
 そんなのを嗅いで、人のあんな現場見ちゃったら そりゃ感じちゃうよね」

一瞬後、セブルスは羞恥で頭が真っ白になった
「な・・・・っっ」
たしかに、ジェームズに触れられたような
あの時のような感覚がある
リーマスのあんな姿を見て、感じていたことも事実だったし
今、しびれに似たものが身体を支配していて、熱も上がっているのもわかっていた
「か・・・・・帰る・・・・・」
あまりに恥ずかしくて、セブルスは震えながら また立とうとした
「無理だよ
 しょうがないから僕がいかせてあげるよ」
にこり、
悪戯っぽく、彼が笑った

「な・・・・・何する気だ?!」
「何って、いかせてあげるんだよ、君を」
リーマスの細い指がスルスルとシャツの下へ滑り込んできて、セブルスの胸の突起に触れる
「な・・・・・・?!」
「感じて立てないんだから いかせてあげなきゃ可哀想でしょ?
 大丈夫、僕 どっちもできるから」
ジェームズには内緒にしててあげるよ、と
リーマスは、シャツのボタンをはずすと舌でセブルスの首筋から耳にかけてを舐め上げていった
「あ・・・っっ」
びくん、と背がそる
彼の指の動きも、舌の使い方もジェームズとは違っていて、繊細で優しかった
それでいて、適格にセブルスの弱い部分を攻めてくる
「気持ちいい?」
耳もとでささやかれ、ぞわ・・・と全身に波が走った
「あ・・・・あ・・・・・っっ」
「綺麗な身体だね、セブルス
 よっぽど大事にされてるんだね」
やがて彼の手が、セブルスの中心にふれると たまらなくなってセブルスはリーマスの手を押さえた
「も・・・いいっっ」
「どうしてさ? こんなになってるのに」
セブルスのそれは、熱くなり頭をもたげしとしとと濡れて刺激を求めている
「いいっっ」
ぎゅっと目をとじて、セブルスは叫ぶようにいった
ダメだ
恥ずかしくて
気持ちが良くて
この香のせいで、反応してしまった身体が欲しがっているのはわかっているけど
「も・・・・いい」
あまりにも、恥ずかしくて
あまりにも、居心地がわるくて
セブルスは必死で首を振ったが、リーマスは意地悪な笑みを浮かべたままそんなセブルスを見て言った
「だめだよ
 君は全然よくないし、僕だって責任とってあげたいんだから」
元々、君がいることに気付かずに こんなところではじめちゃった僕が悪いんだし、と
いってリーマスは セブルスのものを何のためらいもなく口に含んだ
「や・・・・・・・・っっ」
彼の舌の動きに、ゾクゾクと快感が身体を駆け抜けていった
「あ・・・・あっあぅっっ」
背が反り、声が上がる
そういったものを我慢することができず、セブルスはリーマスの細い肩をつかみながら声を上げた
繊細で、優しくて、
痛みのまったくない彼の行為
やがて、頭の芯まで快感が支配し、熱が頂点に達した
「あ・・・・あぁぁぁぁぁぁぁっっっっっ」
びくり、と
身体を震わせ、白濁した液を解放すると、
それを飲み下し リーマスは笑った
「いい声出すね、そそられちゃうよ」
そうして、彼はそっとセブルスの身体を横たえた
「・・・・・?」
「少しだけ、僕にも気持ちいい思いさせてね」
痛いことはしないから、と
その言葉に身体が緊張する
それはつまり、
そういうことなのか
「あ・・・・・・・・・・・・」
萎えた足をあげられ、快感にヒクヒクと開きはじめているそこにツ・・・と指が侵入してきた
「あ・・・・・・・・・あぅ・・・・・」
ゆっくりゆっくり、時間をかけて その場所を慣らされ
何度も舌を入れられ、ほぐされ
そうして、濡れたその場所にリーマスがゆっくりと入ってきた
「う・・・・・・・・・・・あぅ・・・・・・・」
ゾクリ、と
うずきが身体の奥に生まれた
同時にまた熱を持ちはじめた部分に触れられ、手で何度もやさしく刺激され
身体の神経の全てが、リーマスの動きに合わせて感じはじめる
「あ・・あ・・・・・あっっ」
激しいことなど少しもなく、
丁寧に愛撫を繰り返し、身体を慣らしていく
そして、やがて二人の動きが一つになり、そのまま二人して高みへと果てた
セブルスは、奥にリーマスの熱いものを受けながら 二度目彼の手の中でいった

ボンヤリと座っているセブルスのシャツのボタンをリーマスが全てかけ終えると、彼は少し笑っていった
「ジェームズには内緒だよ
 あいつ、君のこととなったら僕にでも容赦しないから」
悪戯っぽく笑ってリーマスは言うと、落ちていた本を拾ってセブルスに持たせた
「・・・・・こんなこと、言えるかっ」
先程のうずきと熱が嘘のように、身体はすっきりとしている
あの香の匂いも部屋から消えて、効果も今の行為で切れたようだった
「気持ちよかったでしょ」
「・・・・・・・・・・・・・・」
答えず、ただ相手を睨み返しただけのセブルスに、リーマスは明るく笑った
「君の身体、ジェームズに慣らされてるだけあって良かったよ」
そうして、彼はくすくす笑いながら身を返した
「おやすみ、セブルス」
真っ赤になって、何か反論しようとしたセブルスだったが、結局何も言えず、その後ろ姿を見送った
やがて、本当の静けさが戻ってくる
部屋にも、
セブルスの身体にも



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