5年になってすぐの頃、ジェームズが突然いままでみたいに遠くから走ってきて抱きついたりしてこなくなった

「最近ポッターの奴、おとなしいなー」
スリザリンの連れが 廊下の向こうから歩いてくるジェームズを見付けていう
そう、今迄ならこういう距離なら必ず手を振ってみたり、駆け寄ってきてみたり、大声で名前を呼んできたりしたものだけど
「ふん、静かでいい」
吐き捨てるようにいい、セブルスは前を見た
こちらを向いて歩いているジェームズ
何かに夢中になって気づいていないというわけでもなさそうだ
なのに、どうして?
突然、そんな風に態度を変えたりするのだろう
だが、かといって無視するでもなく
すれ違いざまに「あっ」と
逆にコチラが戸惑うようなタイミングで言うのだ
「よっ、セブルス」
「・・・・・・・」
何なんだ?
またいつもの思い付きのお遊びか
それとも単なる気紛れか
奴のすることをいちいち気にしていたらペースが崩される
それで そんなことは無視していたのだけれど

「グリフィンドールが負けた!!!」
5年になって最初の試合、対レイブンクローの試合でジェームズは負けた
あいつらしくもなく、最後にスニッチを敵に取られて試合終了
(・・・・調子でも悪いのか?)
今迄ほとんど負け知らずのジェームズが、スリザリンが相手ならまだしも、レイブンクローに負けるなどありえない
今のシーカーのレベルでは、ジェームズの足下にも及ばないのに
「珍しいこともあるもんだな」
皮肉に言ってやったら、あいつは力なくうなだれていた
「なんでだろー、身体なまってんのかなー
 休みの間、本ばっか読んでたからかなー」
「年なんじゃないのか」
ふん、と
背中にひっついてくるのを引き剥がして睨み付けた
「こんなところで僕の邪魔をしていないで、練習でもしてきたらどうだ?」

相変わらず、廊下や講堂でジェームズは寄ってこなくて
だからといって部屋に来る回数が減るわけでもなく、
自分に飽きた様子もなく
いつもの様子から、どこか具合が悪いわけでもなさそうなのに
「また負けたって! どっか怪我でもしてんのかな」
「次はスリザリンとだろ、これは今年は優勝逃すかもなー」
2試合続けて、ジェームズはスニッチを取れなかった

「これは・・・・・」

食堂でコチラを向いて食事をしているのに 正面にたっている自分に気付かない
「ポッター、」
呼んでみると、ぱちくりと瞬きして
「よっ、おはよ、セブルス」
にこりと、いつもみたいに笑った

これは、きっとアレだ

苦笑する
明日はスリザリンとの試合だというのに、そんなことではまた負けるだろう
そうして今年の優勝杯は、ジェームズが試合に出てから初めてスリザリンのものになるだろう
「バカめ」
あまりにバカバカしくて
あまりに、らしくなくて
それでおかしくて、セブルスは少しだけ笑った
「時々あいつも抜けてるな・・・」

その日の夕方、相変わらずセブルスの私室にいりびたってジェームズはぼやいた
「明日なのに〜明日なのに〜」
「おとなしく負けるんだな」
「なんでだよーっ、
 なんでスニッチ取れないんだろー
 出てきたのもわかんないんだぜー、病気かなぁ」
「なまってるだけだろう」
「そんなの毎日練習してんのに、解消だよ」
「じゃあ腕が落ちたんだな」
「そんなわけあるかっ」
「たいした自信だ、その自信があれば勝てるだろう」
「勝てないから困ってるんだろー」
明日の敵の部屋で、ブツブツブツブツ
らしくないといったら、らしくない
その原因が何かだなんて、考えればわかるものをこのバカは
「そろそろ引退だな」
意地悪く言ったら、ひどく落ち込んだように奴は溜め息を吐いた
「う〜なんでだよ〜」
ぐしゃぐしゃの髪をかきまわして、恨めしそうにコチラを見ている
「本当にまだなまってんのかな〜
 よし、やっぱもーちょっと練習してこようっ」
そして、思い立って部屋を出ていった
騒々しいことこの上ない
人のことはよく見ているくせに、自分のこととなるとサッパリなのか
それとも、何においても軽くこなせて不自由など感じたこともない奴だからこそ気付かないのか
自分の身体に起きている、変化に

その夜、一時廊下がざわざわと騒がしく
グリフィンドールの生徒達がばたばたとかけていくのが見れた
「どうかしたのか?」
「ジェームズ・ポッターが練習中に怪我したって」
「は?」
「ゴールポールに激突したってさ」
「・・・・・・・あのバカ」

騒ぎが収まったのは12時を過ぎた頃
先生が撤収をかけて、ジェームズは一日医務室に入院
それで、とりあえず静かな夜は戻ってきた

次の日、競技場の裏手でいつもみたいに準備運動をしているジェームズがいた
「バカ、出る気か」
「よー、セブルス」
「お前、怪我してるんだろう」
「だってウチの寮、シーカーの控えいないんだもん」
大丈夫だって、と
笑う顔から頭にかけてには大袈裟な程の包帯がまかれている
「・・・・・」
一つ溜め息をついて、セブルスは無言で小さな箱を差し出した
「何?」
「練習でそんな大怪我していたら試合で死にそうだからな」
不機嫌そうに言い放つ
いつも自信たっぷりのジェームズが 試合に何度も負けたり
それで悩んだりするのを見ているのは愉快だったが
「お前は無茶なんだ」
こんな怪我をされるようなのはごめんだ
心配で(いや、別に心配しているわけではないがっ) こっちが落ち着かない
こいつはいつもみたいに、自信たっぷりにいる方がいい
それに、もう慣れてしまった
「これ・・・・眼鏡?」
箱から中身を取り出し、ジェームズは不思議そうにセブルスを見遣った
「お前がスニッチが取れなくなったのは目が悪くなったからだ
 休みに本ばかり読んでいるからだ、バカ
 そんなことにも気づかずに、暗い中で無茶してるから怪我をするんだ」
呆れたようなセブルスの言葉に、ジェームズがぽかんと目をみひらいて
「・・・・・」
素直にそれをかけた
2.3度まばたきをして、それから視線をセブルスに移す
「うわ、ほんとだ」
よく見える、と
それでジェームズは笑った
「あっはは、なんだ〜ちっとも気づかなかった」
「バカ」
たしかに、と
ジェームズは笑う
そして試合開始5分前のサイレンに、ひとつ大きくノビをした
「さんきゅーセブルス、今日の勝利はお前のために取ってやるよ!」
「いらんっ、迷惑だ
 スリザリンは負けないからなっ」
「あはは、オレが勝つってば」
「怪我してるくせに」

にこり、
いつもの自信まんまんの笑みで、奴は裏口のドアに手をかけた
「見てな」

その日、ジェームズ・ポッター復活
そして廊下の端から 以前のように大きく手を振ってセブルスを呼ぶのも復活した
セブルスの贈った、なんともありきたりなデザインの眼鏡をかけて



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