何故こんなことになったのか
グラグラと目の前が回って、意識がもうろうとする
そこにいる生徒達の声が、変な音みたいに聞こえてくる
4人の姿が重なったり分かれたり
視界がやがてかすんで消える

その日、7年生の授業の後 4人の生徒が教壇までやってきた
「何か用かね?」
そろそろ期末試験
7年生は卒業や進路に関わる大切な試験だから 質問でもあるのだろうかと
書いていたメモから顔を上げた
顔ぶれは 授業中よく目立つ不真面目グループである
「何の用・・・・・」
もう一度問いかけた途端、突然に視界が白くなった
「!?」
薬品の煙
それも大量に、
それがスネイプの顔の前で吹き出した
「これ本当に効くのか?」
「効くって、高かったんだから」
グワングワン、と耳鳴りみたいな音が聞こえる
何が起こったか一瞬わからなかった
遠のきそうな意識の中、先程かいだ匂いを記憶に辿る
あの薬品
確か自白剤か何かの類
一体何のために、こんなものを、と
考えようとした辺りで、意識が一度消えた



ハリーは悶々とした気分を消化しきれずにいた
あの日から、
医務室でスネイプの涙を見た日から
ハリーは嫉妬よりももっと痛い感情に身を浸していた
誰かを愛し、誰かに仕込まれていたスネイプ
ハリーの無茶な行為でさえ、受け入れていく身体になる程に
何度も何度も そういったことを繰り返した相手がいるのだ
スネイプには、そういう特別な存在がいる
それでも、
それでも自分の思いも欲求も止められなかったハリーは
嫌だという彼を何度も何度も押さえ付けては征服した
その時ばかりは、受け入れてもらっている気になって
ただ、自分のためだけに貫いた
その時ばかりは、
スネイプが自分のものになった気がしていた
たとえ、誰かの影がちらつこうと
いつもは、誰としてるのかなんて
忘れてしまう程に、深く彼と繋がれている気でいた
あの日まで
スネイプが
彼の父の名を、呼ぶまで

「まさか、父さんだったなんてね」
自嘲気味にハリーはつぶやく
その名は彼にとって衝撃以上だった
仲が悪かったんじゃなかったのか?
スネイプは、彼の父を憎んでいたんじゃなかったのか
あんな風に、
泣きながら
呼ぶような、存在ではなかったはず
(・・・・・・・・・・・・バッカみたいだ)
一体、何度目の溜め息か
あれから2日、ハリーはスネイプの顔を見ていない
(・・・・・バカみたいだ)
泣きたくなった
もっと別の誰かなら良かったのに
ハリーの知らない もっと大人の人で
その人は、スネイプの求めるものを全て持っていて
彼の支えとなり、彼を暖かく包んでいるとか
もしくは、お互いに尊敬しあえるような、知的で落ち着いた人であるとか
「・・・・なんでさ」
彼の想い人がジェームズ・ポッターであったこと自体が痛いのではない
ホグワーツの星とうたわれたその男が、
学生時代、スネイプと共にあったのだとしても そんなことはそれでいいのだ
そうじゃない
彼はもう死んでいて
そして、その姿に自分は生き写しで
きっと声やしぐさなんかも 似ているのだろう
そんな自分を、スネイプは受け入れたのだ
そんな自分だったから
あんな行為に対しても、最後には受け入れたのだ
何度も奪うことを、許したのだ
自分よりも大人で、
魔法だって強いのに どうしていつもされるがままなのか
それは、彼が結局は自分を受け入れてくれていたからだとハリーは思っていた
そして、それは事実だった
そう
スネイプはハリーを受け入れていた
ジェームズ・ポッターにそっくりな
彼のかわりとして
まるで彼を錯角させる、身替わりとして

「・・・・・・・・・・・・」
吐き気に似た感覚に嫌気がさした
身替わり、
なんて屈辱なことか
だが、それ以上に心が痛い
こんなに同じなのに
ジェームズが手に入れたものを、自分は得ることができない
彼のものは、永遠に彼のものであり
決してハリーのものにはならないのだ
痛感させられた
痛い程に、よくわかった
そして、ハリーは今立たされている
それでもいい、と奪い続けるのか
痛みに、背を向けるのか

ハリーは悶々と、この2日を過ごしていた
明日、魔法薬の授業がある
こんな状態で顔を合わせる前に、答えを出そうと思っていた
思いは変わらず、痛みもひどく
どうしていいか、ハリー自身にもわからない
彼の顔を見て、
思った通りに行動しようと
やっとそう決めて、ここまで来た
彼の教室のドアを開けた

「・・・イリオナの根とサイハンナの球根の見分け方と、それぞれの特色を答えよ」
低い、スネイプの声が聞こえた
(・・・・・・まだ授業中?)
チラ、と時計を見た
もうとっくに授業時間は過ぎている
補習でもしているのだろうか
薄暗い部屋
そっと覗くとレイブンクローの生徒が4人と、教壇の椅子にスネイプが座っているのが見えた
「タンジャリアス地方で採れる毒草34種とその主な使用方法を答えよ」
生徒達は、スネイプの言葉を紙に書き留めている
「次の問題は?」
「・・・・セッパルモの血液の別称とその成分を多く含む植物の名を答えよ」
カリカリとペンの音だけが響いている
一体、何をしているのだろう
スネイプが質問している割には 誰も答えを言わないし
それを書き留めているだけであることについて、スネイプが怒る気配もない
ただボンヤリと
力なく座っているのだけが見える
(・・・・・・・・・・・・・・・・?)
いつもの彼ではない
違和感がとりまいている
「じゃあ、次の問題」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「次の問題は?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
しばしの沈黙の後、誰かが言った
「薬、切れたんじゃないのか?」
「こんな強力な自白剤がそんなに簡単にきれるかよ
 先生、次の試験の問題は?」
困惑したような声が響く
なるほど、と
ハリーはひとつ溜め息をついた
スネイプに自白剤を飲ませて、試験の問題を聞き出しているのか
そういえば、そろそろ期末試験だし
どう見ても勉強なんてしてなさそうなあの面子
ズルをして、点を取ろうとしているのか
「・・・・・・・・・・・・・」
黙ったままのスネイプに、一人がとうとう手をかけた
「先生、きいてるのか?
 次の問題を、教えろよ」
彼の胸ぐらをつかんで、その生徒はガクガクとスネイプの身体を揺すった
途端に、
言い様のない怒りがハリーに生まれる
バタン、と
半開きになっていた扉を思いっきり閉めた
「?!」
彼らが驚いてこちらを振り返るのを見て、
手に杖を持ち、ハリーは言う
「その手をどけろ
 退学になりたくなかったら、さっさと出ていけ」
怒りがまさって、呪いの呪文を唱えそうになるのを必死で我慢した
バタバタと、
生徒達はハリーの横を通って教室を出ていく
すれ違い様、彼らがハリーに向かって悪態をつくのをきいて
それで思わず口にした
「全て、忘れよ」
今聞いた、試験の問題も、ここにハリーが来たことも
全て忘れてしまえ
本当は全員叩きのめしてしまいたいけれど
忘却術が、多分 今一番かしこい呪文だと思うから ハリーは衝動を押さえ込んだ

全員が出ていったのを見て、ハリーは教壇へと近付いた
スネイプは相変わらずぼんやりとして椅子に座っている
「・・・・・・・先生はほんとに時々ぬけてるよね」
溜め息がこぼれた
相手がただ、試験の問題を聞きたかっただけだったから良かったものの
これが自分なら、もっとひどいことをしている
そう、
自分なら 犯してる

「先生、そんな無防備にしてたら犯しちゃうよ・・・・・・・」

言って苦笑した
今、彼に何をしたところで
彼はハリーを身替わりどころか、何ものとも認識しない
それでも、
父の代わりだった今迄と、大差ないのかもしれないが
「先生、
 先生は、ジェームズとどんな風にしてたの?」
悶々としたものが、こぼれはじめた
「ねぇ、
 先生は、彼にどんな風に抱かれたの?」
スネイプははうつむいたまま、答えない
「・・・・・・・・・・・答えて、」
イラ、ときて
その頬に手を伸ばして顔を上向かせた
にぶい色をした目が、ハリーを見る

「セブルス・・・・・・・・・・・・・・・」

きっと、ジェームズはこう呼んだのだろう

「・・・・・・・・・・ジェームズ?」

そして、スネイプは彼をそう呼んでいたのだろう
うつろな目が揺れて、
彼の黒い目に、自分の姿が映ったのを見た
「・・・・・・・うん、セブルス」
痛かった
心が、痛かった
どんな風な二人だったんだろう
スネイプは、きっとハリーの知らない表情を 彼には見せていたのだろう
そして、
ハリーには決して向けられることのない思いを抱いていたのだ
彼の腕に、抱かれながら
その声で、甘くあえぎながら

頭がぐらぐらしていた
バカみたいだとわかっている
でも、
どうせ身替わりなんだったら
嘘でいいから
錯角でいいから
ジェームズに向けていた想いを、自分にも向けてほしい
今だけでいい
この時だけでいいから

「セブルス、
 いつもはどうしてた?
 ・・・・・・・・同じことを、して」

一瞬、スネイプの目が潤んだ気がした
だが、
スネイプはよろよろと立ち上がるとハリーの側まで2.3歩歩いた
「・・・・・・・・・・・・・・・?」
そのままハリーの足下に膝をつく
そうして、スネイプはハリーのズボンのベルトに手をかけた
「?!!!!」
ドキン、とした
身体が動かない
スネイプは、ひどくゆっくりとした動作で、そのベルトをはずしてファスナーを下げた
全身が、熱くなるのを感じる
彼の手がハリーの、緊張したものを取り
そうして一瞬の躊躇のあと、
彼はそれに自分の顔を近付けた

「------------------------------!!!!!」
ゾクリ、と
高揚に似たものが 身体の中を駆け抜けていった
今迄に感じたことのないもの
スネイプが、ハリーのものを口に含み
そうして、その舌で 彼の熱くなったものを舐め上げていく
それを感じて
身体が硬直する程の衝撃と
初めて感じる快感が、渦になって襲ってきた
何をしているのだ
見下ろすスネイプは、
ただハリーに奉仕を繰り返す
その姿に、
その行為に、
そして、伝わってくる彼の舌の感覚に
ハリーは急激に熱を持ち、やがてそれを制御しきれずに白濁した液を放った
「んっ・・・」
ビクン、と
スネイプの肩が震え、
ハリーのものを口に含んでいたスネイプは その熱い液を咽に受けて飲み下した
「・・・・・・・・・・・・・・・」
ぞくぞくと、
いい知れぬ快感が背筋を這い上がってきた
こんな姿を見たことがない
彼の、こんな姿を自分は知らない
一気に、嫉妬が身体を支配した
そう、
彼はジェームズとは、こういう風にしていたのだ
何度も何度も
身体が慣らされるまで抱かれ、こういうことまで仕込まれているのだ
その身体に
この、身体に

怒りに似た感情だった
乱暴に その肩を掴んで床に押し倒した
背を強く打った痛みに、スネイプの表情が歪んだが、そんなことは気にならなかった
ただ痛くて
悔しくて
憎くて
そして、切なかった
彼は今、自分をジェームズだと思っているのだろう
だから、いつものようにしたのだろう
そう、
彼等二人の、いつものように
「だったら、いつものように終わらせてあげないとね」
かきむしるように彼の服を剥いだ
あらわになった秘部に、唐突に指を入れ、中をかき回した
「あ・・・ぐっっ」
嫌だ、と
スネイプの手がハリーの肩にかかったが 無視してさらに激しく奥をついた
「あぁぁっっ」
もう何度も聞いた、悲鳴に似た声が上がる
「ジェームズも、こんな風にした?
 それとも もっと優しかった?」
一気に指を引き抜いて、それからハリーは彼の足を持ち上げると
また頭をもたげている自分のものを 彼のじんわりと濡れた部分に当てた
「セブルス、」
名前を呼んだ
彼がそうしたように
「セブルス」
「あ・・・・・・・・・・・い・・・・・っ」
何かを、スネイプが言おうとしていた
だが、それを待たずにハリーは己を深く深く沈めた
「ひ・・・・・・っっ」
短く、悲鳴を上げ スネイプは苦痛に顔を歪ませている
後はだだ、荒い息遣いが響くだけ
不規則な、
喘ぎに似た呼吸
辛いのだろう
いつも、彼はそうやって痛みに耐えている
こんな自分勝手な行為では、
彼は辛いばっかりなのだろう
「・・・・・・・ジェームズの時は、気持ちよかったの?」
一番奥まで入り込んで、
ハリーはスネイプを見下ろした
「感じてた?」
今とは、確実に違っていた?
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
痛みが、増した
それを振り切るように ハリーは激しく彼の中で動いた
めちゃくちゃに中をかき回して
自分がいくことだけを考えて
いっそ壊れてしまえ、と
呪いをかけるように何度も突き上げた
「あっ・・・・・・・・・・ぎ・・・・・・・・・・っっ」
スネイプの、その目に涙がにじんでいるのを知っていたけれど
そんなものは、いつものことで
痛みや苦しみに、
彼が泣くのはもう見飽きてしまっていて
そして、
結局 そんな抱き方しかできず
身替わりにもなりきれない自分に
とてもとても、悲しくなった
息苦しくて、吐き気がして
ただがむしゃらに、攻め上げ
そうして、2度目、彼の中でいった
ほぼ同時に、スネイプも果てた



スネイプは、途中から意識を取り戻していた
床に押し倒され、痛みで一瞬に目が覚めたのだ
目の前にハリーがいて
まるで今にも泣き出しそうな痛い表情でいるのに戸惑った
乱暴に服を剥ぎ取られ、
唐突に、乾いた入り口を無理矢理に開かされた
「あ・・・・・ぐっ」
声がうまく出なかった
少量とはいえ 強力な薬品をかがされたせいだろう
身体も思うように動かずに
ただ視界だけがやけに澄んでいて
ハリーの痛い表情が、よく見えた
どうしてそんな顔をしているのか
いつも、いつも、彼はそうだけど
行為の時、なぜか痛い目をしているけれど
激しく中をかき回され、その部分が熱く熱くなっていくのを感じながらスネイプは必死にハリーの顔を見ていた
「あぅ・・・・・・・っ」
内壁がこすれる痛み、そして熱
悲鳴が咽から漏れる
彼のもたらす痛みは、だんだんと身体を蝕んでいく
「ジェームズもこんな風にした?
 それとも、もっと優しかった?」
ドクン、と
驚きに、目を見開いた
瞬間に勢いよく指をぬかれて、その感覚にまた身体が反応する
だが、そんなことよりも今、
何と言った?
今、ハリーは何といった?
答えが出る前に、異物が侵入してきた
熱くてかたいものが、乱暴に中へと入ってくる
苦しくて、
脳天に響く痛みの中 スネイプは背を反らせて喘いだ
息ができなくなる程の圧迫
痛い
痛くて、しびれる
「ジェームズの時は、気持ち良かったの?」
耳を疑った
ジェームズと言ったか
「ジェームズとした時は感じた?」
ドクン、と
熱いものが胸に広がった
どうしてそんなことを言うのだ
ああ、なんて痛い目で
こんな行為を繰り返しながら
彼はそんなことを、思っていたのか
切ないような、身をきるような痛い目をして
ハリーはそんなことを思っていたのか

苦しかった
痛かった
身体が、ではない
心が、しめつけられて息もできない
涙がこぼれた
相変わらず貫かれる身体
激しさを増す行為
めちゃくちゃなその動きに、しびれはやがて頂点に達する
「ジェームズに抱かれて、どんな風にいくの?」
まるで自嘲ぎみた声
涙でくもった目に、ハリーの痛い表情が見えた
どうしてそんなことを言う
そんな顔で、
そんなに傷ついた目をして
なのにそんなひどいことを言うのだ
ジェームズと、
何度も何度も繰り返した行為
だが、今 目の前にいて
その体温を伝えているのはハリーなのに
ここにいるのは、
今、自分に触れているのはハリーなのに
「あ・・・・・・・・・・あぐ・・・・・っ」
必死で、言葉にしようとした
見ていられない
どうしていいのかわからない
自分なんかよりも、苦しそうなハリーの顔
ジェームズではありえない程に、痛ましい彼の表情
違うのに、
彼とハリーは全然違うのに
似ているだけで、
違うと、自分はわかっているのに
間違えてはいけないと言い聞かせ、
ハリーという存在を、特別だといえる程に想っているのに
感じているのに

涙で、やがて視界はゼロになった
ハリーの顔ももう見えない
感覚と熱だけを感じて
あとはただ、
ひどく強い衝撃の後、彼の熱を最奥に感じ、
そのまま果てた
胸がひきさかれるような痛みを残して
痛みだけを、残して


荒れた息を整えると、ハリーはスネイプを見下ろした
汗で額にはりついた髪を手ですくようにして、
その苦痛のにじんだ表情に、思わず苦笑した
何の意味もない
苦痛ばかりを彼に与え
こんな痛ましい姿にしてしまう
自分の行為には、何の意味もない
ジェームズは、こうではなかっただろう
きっと二人の行為には何かの意味がもたらされ
スネイプは苦痛に泣いたりはしなかっただろう
こんな顔を、しなかっただろう
「代わりにも、なれない」
つぶやいて、
もう自嘲することもできなかった
痛い
あまりに痛い
自分ではもうどうしようもない
自分ではダメだと気付いても、想いは冷めず
こうして同じことを繰り返す
そして思い知るのだ
ジェームズの代わりにさえ、なれないのだということに

「ごめんね、先生」

今さらだと、思って それでも続けた

「もう、しないよ」

そしてハリーは部屋を出る
静けさだけが、場を支配して
やがて、スネイプも意識を落とした



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