からみつくような視線
教壇に立ち、薬品の説明を続けるスネイプをとらえて放さないものがある
ねっとりと、身体にからみつくようなもの
彼の、視線

「では、調合を始めるように」

そういって、スネイプは教壇を下り、それぞれ班ごとに集まって薬品の調合を始めた生徒達のテーブルをまわっていく
コツコツと、
足早に、彼のテープルの横を通り抜けた
視線を感じる
この部屋に入った途端に、身体中にねばりつく視線
彼が、自分を見ている

「葉の刻みが荒い、やりなおし」
彼の班の後ろの班へ回り、スネイプはようやく息をついた
彼は今、こちらに背を向けている
振り返って見ようものなら、よそ見をするなと減点もできよう
常につきまとう視線が消え、彼の口から溜め息が漏れた
息苦しい
彼に見られていると、息がつまる
そして同時に火照りを感じるのだ
まるで、あの時のように、身体の奥が熱くなる
「説明を聞いていたか、材料を入れる順番が違うだろう」
減点、と
告げてスネイプは 彼の視界に入らない場所へとまた移動した
この視線がつきまといはじめたのはつい最近
ふ、と気付けば彼がこちらを見ていた
授業中、どちらかといえば注意力散漫な彼が、身動きひとつせず自分を見ている
はじめ、不思議に思った
そして彼の意図がわからなかった

「見られてると、感じたりしません?」

授業の終わりに、彼がそういって出ていった
途端にドクン、と
身体の中で何かが反応したのがわかった
「先生のこと、ずっと見てますから」
感じてください、授業中に
そう言って彼は笑った
憎らしい程に、ひねた声で

生徒達の鍋の中に、緑色の液体ができた頃、スネイプは教壇に戻ってきた
とたん身体中にからみつく視線
意識して、そちらを見ない様、黒板に新しい行程を書きながら
背中にもそれを感じた

ハリーが見ている

あの言葉を聞いてから、
視線を感じる度に身体が火照るのだ
中心が熱を持ち、うずきが生まれる
こんなことじゃダメだとわかっている
意識から視線のことを外し、彼の思惑通りにいかぬよう平静を保つフリをしなければならないのに
なのに、このからみつくような視線から逃げられない
逆らえない
自分は彼の視線に捕われていまっている

「この行程を終えたら、ビンにつめて一週間置くこと
 できた班から戻ってよし」
書き終え、振り返った途端、彼と目があった
ニ、と口許に笑みを浮かべ、彼は自分のくちびるを舐めた
ひどくゆっくり、二度そのしぐさを繰り返す
ドクン、と
身体にしびれが走ったのを感じた
ダメだ、
彼の思惑通りになってはいけない
わかっていても、ダメだった

「見られると、感じるでしょ」

服を着ているのに、まるで全裸で彼の前に立たされているかのような錯角に陥る
あの目
あの目にみつめられると、自分の全てを見透かされているような気になるのだ
そして、彼は動けないスネイプを 上から下まで舐め回すように見つめ続ける
その視線に捕われたまま
スネイプは彼の唇が言葉の形を作るのを見た

「いかせてあげようか?」

そう読み取れた
途端、スネイプは弾かれたように教壇を下り まるで逃げるように教室の奥の準備室に入っていった
バタンとドアを閉めて その視線から逃れる
途端に気が抜け、身体中の力が抜けた
ヘタヘタと、その場に座り込んで、スネイプはそれだけで荒くなった呼吸を整えた

あの目
あの微笑
あの言葉
あの表情
あの、視線

なんてバカげてる、と
趣味の悪い悪ふざけだ、と
思っても身体が反応してしまう
身体に絡み付くような視線に、抵抗する術がない
教壇のスネイプには逃げ場がない
呼吸を整えながら、脳裏から消えない彼の笑みを消し去ろうと頭をふった

「先生を見てる間、どういう風に犯そうか、とか考えてるんだ」

ゾク、と背筋が凍る
彼のあの意地の悪い顔が鮮明にスネイプの脳裏に戻ってきた
「う・・・・・・・・」
彼の触れた感触
そんなものまでが記憶の底から蘇って、彼の身体を支配していく
「くぅ・・・・・・・・」
熱い
身体のうずきがその場所に熱を与え、
それでいて解放は与えられない
ギュッ、と目を閉じ スネイプは耐えた
それしかできないのだ
意識を別のことに飛ばして このうずきが引いていくのを待つしかない
熱が消えるまで耐えるしかない

彼の視線はスネイプを追い続ける
スネイプの、全てを見透かしたように
意地の悪い微笑をたたえ、彼はスネイプを捕らえ続ける
その視線で、犯し続ける



女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理