呼吸をやめて、冷たくなって
やがては消えていく
そういうものに、僕もなりたかった

「ずいぶん髪がのびたね」

まっくらな闇に、もうずっと長くいた
ここには誰もいなくて
何も聞こえなくて
冷たくもなく、温かくもなく
ただ、しん・・・・としている場所
立っているのか座っているのか、わからない
ここがどこかもわからない

そんなこと、どうでもいいけど

「髪がのびたね、ルック」

それは突然
名前を呼ばれて、目を覚ました
ああ、今迄は夢だったのか
目の前に ナチがいた

「・・・・・ナチ」
「可哀想に、失ったのか」

ナチが膝をつく
手を伸ばし、僕の髪に触れる
さらり、
流れるそれに、やっと気づいた
「ああ、本当だ・・・・・」
成長を止めたはずの身体が、動き出している
髪が、長く長く伸びていた

「シーナが死んだんだ」

ナチの表情に、変化はない
ただ、ずっと昔 そうしてくれたように髪をすいてくれている
「僕にはもう、何もない・・・・・・・・・」
見上げると、彼は憂いを含んだ目で微笑した
「人はいつか死ぬんだよ、ルック」

人はいつか死に、呼吸をやめて、動かなくなる
僕も、そういう風だったら良かったのに
そうしたら、彼と同じように
彼の側で
彼を想い
彼のもとへと逝けたのに

「こんな身体、いらない」

熱いしずくが落ちていった
あとからあとから、
報を聞いた時には泣けなかったのに
それからただ、時が止まったように あの真っ暗な闇へと堕ちていったのに
今、ナチの側なら泣ける
まるで壊れた人形のように ボロボロとただしずくが下へと落ちていく

ナチ、
心の中に ずっとずっと存在していた君
君が来てくれて、よかった
心を、決めることができる

「髪を、切ってくれる?」
「いいよ」

長い長い髪
シーナを失って、何かが壊れたのだろうか
10年以上も前に成長を止めた身体が、狂ってこんなにも
こんなにも伸びた 僕の髪
まるで今迄の分 全てのびたみたいに

さよなら、シーナ
僕がもっと強かったら、こんなに遅くはならなかった
さよなら、ナチ
最後に会えてよかった
君が来てくれなかったら、僕は永久に闇の中だったかもしれない
さよなら、ルック
お前は弱い存在だった
人として死ねないのならせめて、
せめて、自分の意思を貫きたい
お前にはもう 何も残ってないのだから

地に落ちる長い髪
人らしかった、僕の一部分
伸ばしたのは、シーナ
切り落としたのは、ナチ
「ありがとう、ナチ」
「かまわない」

好きにすればいいよ、と
言った君の、痛い目を忘れない
ありがとう
こんな僕に会いにきてくれて
こんな僕のために、そんな風に痛んでくれて
この決意を、止めないでいてくれて

君が好きだった、誰よりも
さよなら、ナチ



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