窓の外から声がきこえる

「こんな夜中に何の真似だ?」
「逃げるんじゃない?
 戦いが、嫌になったんだよ」
シーナが身を起こして、ベッドが僅かにきしんだ
「逃げる?
 だって、あいつリーダーだろ?」
「そうだよ、
 でも、好きでやってるわけじゃないだろ?」
窓の外は暗闇
月明かりにわずかに見える人影に、自然溜め息がこぼれた
「好きにさせてあげればいいんだよ
 彼の生き方だ、したいようにすればいい」
「なんでお前はそんなことが言えるわけ?
 裏切られたんだぞ、オレ達」
「そうだね、」
「そうだねって・・・・」

面倒くさいよ、と
ルックは毛布をたぐりよせるとくるまった
「期待してないから、裏切られても平気だよ」
頼り無い少年だった
いつも笑っている、その印象は悪くなかったけれど
それでも彼に比べたら、カリスマも何も感じない平凡な少年
そんな彼に、何かを期待なんかしていなかった
人はそんなに強くはないし
裏切りを、攻めることができるような関係でもない
期待すれば、裏切られた時痛いだけだ
それを知ってる
だからルックは、期待しない
「寂しいな、それ」
ぎし、とベットがまたきしんだ
毛布をはぎとられ、恨めしそうに相手を睨むと、同じように睨み返された
「気に入らねーよ、そーゆう考え方」
「そう? だったら出てけば?
 気に入らないなら一緒にいなけりゃいいんだよ」
にこり、
巧く笑えただろうか
「それとも彼らを追い掛けて説得してみる?
 オレ達を置いていくなって
 おまえはオレ達の大事なリーダーなんだぞって」
窓の外の彼等
遠ざかっていく影
「好きにすれば? 」
「何だよ、それ
 おまえはオレのことも その程度にしか思ってないのかよ」
「そうだよ」

痛むのは何なんだろう
人には期待しない
想わない
でないと、後が痛い
辛いのは自分だと、もう知っているから

「お前、気にくわねーな」
ガシ、と
強い力で肩を押さえ付けられ、痛い程にくちづけられた
呼吸が止まる
優しさというものが、少しも感じられないキス
「・・・・・・くるしいよっ」
もがいて、やっと解放されると、今度は首筋に同じようにくちづけられた
「・・・・・・気にいらない奴を抱きたいの?」
我ながら、嫌な物言いだと感心する
今、自分はきっと とても卑屈な顔をしている
「お前がむかつくこというからな、」
「だから抱くの?」
「そうだよ」
「意味がわからないよ」
「わからなくて結構」

シーナの力は強い
キスは痛い
今、彼が傷ついているのを知っている
そして、
そんな時、彼がどういう行動に出るかも知っている
知っていて、言う
「君も、アサトも、この戦いも、どうでもいいよ」
ただの暇つぶしで、ただの気紛れ
そこに特別な想いなんか、入ってない
だから君も、期待しないで

シーナの熱を全身に感じ、やがて意識が白濁していく
「なんだよ、こんなの痛いだけじゃねーか」
「そうだね・・・・・・・バカだよ、君は」
今にも泣き出しそうな、その顔にクスと笑った
「オレは皆を信じてる
 信頼してるし、頼りにしてる
 だから裏切られたら辛い、泣きたくなる」
「バカだよ、」
「バカでも、だ」

それがシーナのいいところで、シーナという人間の魅力
彼が多くの人に慕われる理由
彼は人を信じて、裏切られて傷ついて、
それでもまだ、信じたいと泣いている
「バカだ」
そうだな、と
強く抱きしめられて、目を閉じた
僕ができないことを、彼がしてくれる
僕のかわりに
本当の愚か者の、僕のかわりに
「バカでもいい、信じたい」
「うん」
それが君の強さなんだろう
君がいつも、不敵でいられる理由なんだろう
自分に正直で、嘘がない
だから、君はまっすぐに自信ありげに立っている
「うん、信じてて」
せめてシーナだけは、信じていて
彼のことも
僕の、想いも


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