個人授業 (尽×主)


ようやく体調が整って、学校に出てきたを待っていたのは 見事に先へと進んでいて全くわけのわからなくなっている数学と英語と物理の授業だった
「・・・わかんないよー」
休み時間にぐったりと、うなだれているに氷室が苦笑する
、今日の放課後は空いているのか」
「え?」
「君が休んでいた2日間の補習授業を特別にしてやろう」
「えぇ?!!」
本当はありがたいはずのその言葉に はすっとんきょうな声を上げた
側にいた奈津実が御愁傷様、といった顏をする
「嫌ならかまわんが、来週は小テストをやるが大丈夫だな?」
「大丈夫じゃないです
 ・・・お願いします」
「うむ」
なぜか満足したような笑みを残して去っていった氷室の後ろ姿に は苦笑した
見舞いに来てくれた氷室の顏はどこにもなく、学校に来てしまえばいつもの氷室先生がそこにいる
「よかったね〜、授業追い付くじゃん」
「良かったけど良くないよー」
「来週テストとか言ってたなぁ、ヒムロッチに習ったことあたしにも教えてね」
「だったら奈津実も一緒に補習受けたらー」
「いや」
「・・・」
はもう一度ため息をついた
氷室と一対一で授業なんて どんなに堅苦しいのかと想像しただけで気が重くなる
だけど授業がわからないままよりはマシか、と
それでは覚悟を決めた
休んでいた分、頑張って勉強しないと取り戻せないのだから

放課後、誰もいない教室で 氷室が黒板に書く数式をノートに写しながら は氷室のことを考えていた
わざわざ自分一人のために補習をやってくれるなんて、と
普段の授業となんらかわらぬこの補習風景に、
のためだけにもう一度授業をやり直してくれているのであろうことに は申し訳ない気持ちになっていく
(先生って・・・すごいなぁ)
他の先生は、誰かが休んでいて遅れたからといって 授業をやりなおしてくれたりはしない
友達のノートを映して よくわからない授業の続きをきいて終わり
なのに氷室はこんなにも丁寧に、一人のために黒板で説明をしてくれている
「理解できたか?」
「はい・・・」
「ではこの問題を説いてみなさい」
「・・・・・先生」
「ん?」
「先生って、優しいんですね」
「・・・・は?!!」
ぽかん、と
こちらを見つめた氷室に はにこっと笑った
「だって私のためだけに こんな風に補習してくれるから」
「・・・たまたま、新しいところに進んだからだ
 君はいつもよく頑張っているし、私は今日は時間が空いていた」
だからだ、と
その言葉にはもう一度笑って、それから氷室の指した問題に視線を落とした
それでも、
こんな風に授業をするのは、とても大変だと思うのだけれど

「君はのみこみが早いな
 充分追い付いた、これ以降は今日やったところの復習だ」
「はい」
元々、得意な数学なので 氷室に説明してもらえれば意味はわかる
意味がわかればあとは必要な数式を覚えるだけ
それにあてはめて計算するだけ
今日の授業でさっぱりわからなかったところも、今復習といって説明している氷室の言葉は面白い程によくわかった
「あ、なんだ・・・」
ようやく理解できて問題を解き出したに、氷室は満足そうに微笑する
こういう風に、教えたことを理解してくれる生徒は 教師にとって教えがいがある
やろうとする姿勢が、好ましくて
だからのためなら時間を空けよう、とか
同じ授業をのためだけにやろう、とか
そういう気持ちになれる
「ここの計算が間違っている
 ここはこの数式を使うのではない、間違えやすいから気をつけなさい」
「あ・・・はい」
休み時間に見せるような笑った顔ではなく、昨日の部屋で見たような無防備な顏ではなく
一生懸命問題を解いている真剣な顏もまた 氷室の胸に訴えるものがあった
愛しい、と
また心の奥がうずいた
生徒として、一人の女の子として
氷室はに魅かれている

ひととおりの補習を終えると、はううん、と大きく伸びをした
「他の授業は大丈夫なのか?」
「はい、英語は珪くんが教えてくれるって言ってくれたから」
「先へ進んだのは英語と数学だけか」
「はい・・・、あ、違う、物理もだ・・・」
弛んでいた顏が急に不安気になって、は小さくため息をついた
「物理って好きじゃなくて
 あの先生嫌いだから質問も行けないし」
ぶつぶつ、と
独り言のようにつぶやいたに苦笑して、氷室はの手の下にある物理の教科書を抜き取った
「どこをやっている」
「え? 」
「物理など数学と同じだろう
 何かわからないんだ」
「え?」
ぱらぱら、と
教科書をめくりながら目を通す氷室の横顔に、は一瞬見とれて
それからすぐに苦笑した
(先生ってすごいなぁ・・・)
そういえば誰かが、氷室は数学以外の教科でも質問に答えてくれるとか
教えてくれるとか言っていたっけ
あれは本当なんだ、と
妙に感心して、は氷室を見上げた
「先生が教えてくれたら物理もわかるかも
 私、ほんっとに物理の先生嫌いだからわかんなくて」
「・・・教師で理解度が変わるのはおかしいだろう」
「そんなことないです
 だってあの先生プリント配って教科書読むだけなんだもんっ
 そんなのじゃわからない」
「・・・まぁいい、ノートを出しなさい」
「はいっ」
もう2時間も数学の補習をやって疲れているはずなのに、と
思いながら 氷室は嬉しそうにノートを出すにそっと微笑した
の言葉は嬉しくなる
教師として、先生が教えてくれたらわかるかもしれない、と
そんな風に言ってもらえるのは、最高の褒め言葉だと思うから

結局下校時間近くまで補習をしていたは、そのまま氷室に家まで送ってもらった
「先生、ありがとうございましたっ」
遠ざかっていく車を見送りながら、は少しだけ笑った
なんとなく得した気分
たくさん勉強して疲れているけれど、それでも
物理は氷室に教えてもらって不思議な程頭に入ったし、
数学も今日の授業に追い付いたし、何より
氷室が時々優しい顔をするのを何度も見れた
それだけでなんとなく、得した気分になって は上機嫌だった
(先生のこと好きになりそう〜)
今までは「嫌いじゃない先生」だったのが「好きな先生」に変わりそうで
それでは微笑した
そうなったら、学校がますます楽しくなる気がする

その夜、英語の宿題を前にちんぷんかんぷんだったは、部屋に遊びにきた尽に泣きついた
「わかんないーっ」
「葉月サンに教えてもらってたんじゃないの?」
「今日 珪くん用事あるって言ってたから教えてもらえなかったの」
「あれ、じゃあどうしてこんなに遅かったのさ」
「今日は氷室先生が数学教えてくれたから」
「・・・ふーん」
その含みのある声に、は顏を上げて尽を見た
「だって数学もすごく進んでたんだよー」
「葉月サンだけでなく氷室センセイもか」
「何がよー」
「別に、こっちの話」
「先生は先生でしょ」
「そのうち葉月サンみたいにデートに誘ってくるかもよ」
「こ・・・こないわよーっ
 尽 珪くんとデートしたの実は怒ってるの?」
「怒らないとでも?」
「うっ」
ちら、と
冷たい視線を受けて、は上目遣いに尽を見上げた
「だって尽いなかったから暇だったんだもん」
「俺がいなかったら他の男ともデートしちゃうんだ」
「だってライトアップ見たかったんだもん〜
 珪くんだってデートとか思って誘っていなよー」
「そう思ってるのはだけ
 男が何とも思ってない女を誘うわけないだろ」
「だって、友達だもん」
「友達ねぇ」
言ってて自分でむかついてきた尽は、大きくため息を吐いた
「あーあ、嫌になるなぁ
 どうしてはそうガード甘いのかな」
「甘くないもん」
「男寄ってきすぎ」
「・・・そんなことないよぉ」
あるよ、と
言って尽は そのままにくちづけた
舌をからめとって、奥深くへとはいってくるキス
一瞬頭がくらっとなって、は慌てて尽の腕をぎゅっと掴んだ
そのまま、くちづけは首筋へと下りていき やがて着ていたパジャマのボタンが外される
「・・・尽・・・・・」
「あとで俺が教えてやるよ」
「え? 英語?」
「大目に見てたけど、葉月サンとも氷室センセイともこれ以上仲良くなってほしくないからね」
「尽、わかるの?
 3年の英語なんか・・・」
「わかるよ、教科書に載ってる英語くらい」
数学でも物理でも歴史でも古典でも、と
言って尽は、あらわになったの、その胸の突起を舐め上げた
「あっ」
思わず上がった声に赤面するに たまらない愛しさが溢れてくる
は鈍感だから、の周りにいる男達の想いに気付かない
気付かないから、無防備に笑いかける
男達は、少しずつを好きになるんだろう
そうしていつか、欲しいと言い出す
は尽のものだから、誰にも渡さない
誰も、に触れさせない

明かりのついたままの部屋で、ゆっくりとその身体を指で撫で上げながら 尽は何度もキスを繰り返した
身体中に、紅い痕をつけて
指先で、濡れた部分をかき回すようにして
「ふ・・・・あぅ・・・・」
頬を紅潮させて、潤んだ目をするの顏を覗き込みながら その羞恥を高めるようなことを囁いて
熱い身体に 己の身体を重ねて
、好きだよ
 だから誰にも渡さないよ」
「ん・・・・っ」
愛撫に、反応するのはもまた尽を想っているから
欲しているから
震える内股を舌で舐め上げて そのまま濡れそぼった中心まで舌を這わせていく
「あっ、やん・・・っ」
くちゅ、と
水音が部屋に響くのに がいやいやと首をふった
でもやめない
もっと辱めて、もっと感じさせて
は尽のものだということを、思い知らせてあげなければ
他の誰のものでもないのだということを
花芯を舌で転がすと が切ない声を上げた
シーツを掴んで必死に声を殺そうとしている姿がたまらなくて
もっと意地悪をしたくなる
指を奥へ奥へと沈めながら 時々ひどく激しく突き上げるように入れてかき回して
荒い息遣いと濡れた声が、尽の意識を高めていった
もっともっと、ひどくして
を自分だけでいっぱいにしてやりたい

ぎし、と
ベッドがきしむのを聞きながら、尽はの中へと深く深くはいっていった
熱くて、意識が白くなる
まるで誘い込むように尽にまとわりついてくる内壁を、2.3度強く貫いた
「あっ・・・・はんっ」
の背が反り、顏に苦痛に似た色が浮かぶ
その浮いた腰を抱き、互いに意識が薄れる程に強く深く
尽はの中を何度も何度もかきまわして、やがて、強い圧迫の中果てた
耐え切れず声を上げたを腕に抱きしめて

ぼんやりとした思考の中、は尽の体温を感じていた
尽がこうやって妬いてくれるのがすごく嬉しくて
ちょっとくすぐったくて
抱かれて身体に残る痕と気だるさに、何か満たされたような気持ちになるのに幸福を感じた
「珪くんのことも氷室先生のことも 尽の考え過ぎよ」
「だといいね」
つぶやいた言葉に、尽は少し笑って優しく髪を撫でてくれた
安心して、は目を閉じる
このまま、眠ってしまいたい
尽の側で、髪を優しく撫でてもらいながら
「おやすみ」
落ち着いた声が聞こえた気がした
は深い眠りに落ちていく


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