夏休み満喫計画 その2 (尽×主)


「うわ・・・広っ」
夜8時過ぎに、ようやく目的の祖父母の家に辿り着いた尽とは、挨拶もそこそこに並べられた御馳走をいただき、それから順番に風呂に入った
当然、を先に入らせて、
10時を過ぎた今 ようやく尽は風呂場にやってきていた

田舎の風呂は無駄に広い

(広いな〜)
半ば呆れながら、たっぷりお湯のたまった湯舟をばしゃばしゃとかきまわす
「あつ・・・」
夏なのに、熱い、と
どうせ最後だし、と
水を足してぬるめようと、蛇口をひねった時 がらり、と少しだけ風呂の戸が開いた
「・・・尽タオル持ってる?」
の少し遠慮したような声が聞こえた
タオル?
一人で風呂に入るのに、そんなの必要ないだろ?
「持ってないよ?」
ドバドバ、と
勢いよく水が出たのを確認し、ドアの方を見遣ると そこからぐいっとバスタオルが投げ入れられた
(・・・これどーしろっての?)
「あ、あのねっ
 お姉ちゃん背中洗ってあげるから・・・」
「・・・」
戸の向こうでもじもじしていると、受け取ったバスタオルを交互に見て 尽は苦笑した
「何、本気だったの?」
(ようするにこれで隠せってこと?)
女の子じゃないんだから、こんなデカいタオルじゃなくても、と
思いつつ、悪戯心がうずいた
がしてくれるっていうなら、こんな夜もいいかもしれない
「俺は別にタオルなんかいらないけど」
「私が恥ずかしいのっ
 はやくつけてっ」
「あはは」
ちょっとだけからかって、それから尽は言われた通りにタオルをかけた
なんだか銭湯にでも来ている気分になる
カラリ、
戸がそっとあいて、が顔をのぞかせた
当然ながらパジャマをきている
「それで入ってくんの?
 ぬれると思うけど」
「う、だって・・・」
「普通脱ぐんじゃない?
 それくらいサービスしてよ」
「な・・・っ、何言ってんのよっ、バカっ」
くすくす、と
笑った尽に、は一旦顔をひっこめて、それから脱衣所で何かもぞもぞやりだした
(可愛い・・・)
風流な木の椅子に腰掛けて、湯舟を手でかきまわす
(まだ熱いなぁ・・・シャワーだけにしようかな・・・)
思っていると、今度こそカラリ、と
戸が全開になって、が中に入ってきた
「・・・」
一瞬、驚いた
まさかそこまでするとは思わなかったから
、大サービスだね」
「黙れっ、エロガキっ」
「あはは、だってそんな」
くすくす、と
笑ったら 頬を染めてむくれた顔で、が側にあったスポンジを手に取った
何かしていたから、うでをまくって足下もまくって、濡れないようにしているのかと思っていたが
の格好は 今から風呂に入るような
裸にバスタオルをまきつけた なんとも悩ましい格好だった
(まいったな、挑発してるよ、この人は・・・)
やれやれ、と
せっけんを泡だて出したを横目で見ながら 尽は苦笑した
言っておくけれど、こっちは年頃の男
目の前にいるのは、大好きな人
こんなところで間違いを起こす気はないけれど
この疲れている時に、そんな過酷な我慢をさせないで欲しいな
「痛かったら言ってね〜」
「はいはい」
尽の気も知らないで、は後ろに回り込み ごしごしとその身体を洗い出した
「あ、気持ちいい」
「でしょ〜」
得意気に、ふんふん、と鼻歌なんかを歌いながら背中やら腕やらを洗ってくれるに、尽は理性を保つのに苦労しながらも いい様のないいい気分になっていた
「はい、上むいてー」
「・・・全部洗ってくれるわけ?」
「うん」
今度は前に回り、首やら胸やらをごしごしする
くすっ、と
自然 尽の口から笑みがこぼれた
今抱きしめたら、きっと怒るだろうなと思いつつ
ぎゅうっとやってしまいたい衝動が、ある
「尽って男の子だなぁ・・・」
「ん?」
その衝動を必死に押さえていた尽の身体をまじまじと見ながら がつぶやいた
「腕とかすごい・・・男の子って感じ」
「強そう?」
「うん」
服の上からはわからないから、いつもそんなに意識しないけれど
腕も足も、腹もしっかりときれいに筋肉がついている
まだ成長途中のその若い身体には、きれいという言葉がよく似合った
「すごーい」
さわさわ、と
腕やら腹やらに手を伸ばすに 苦笑した
ああもお、そんな風に触られたら感じそうになるんだけど

「なんかソープみたい」

え? と
仕事も忘れて 尽の身体をしげしげと見ていたの泡だらけの手を掴んで、尽は笑った
悪戯に目が光る
「ソープってこんな風に洗ってくれるんだろ?」
「し・・・、知らないわよっ」
急に真っ赤になって、が叫ぶ
「そんな触ってないで早く洗ってよ」
「もおおしまいだもんっ」
「えー? 全部洗ってくれるんだろー?」
「全部洗ったもん」
「ふ〜ん、じゃここは?」
にや、と
意地悪な顔をして、ぴらっと腰のタオルを手にした尽に、はまた真っ赤になった
「きゃーーっ、ばかばかっ」
慌てて、その手を押さえてはわめく
「もお尽のエッチーーーっっ」
むぎゅり、と泡いっぱいのスポンジが、意地悪く笑っていた尽の顔に押し付けられた
「わっぷっ」
「もお終わりなんだからーーーっ」
叫ぶと、
は逃げるように風呂場から出ていった
あんまり慌てるので、ガタガタン、と派手な音が風呂に響く
顔中泡だらけでふるふる、と
首をふると、閉った戸の向こうで わたわたと着替えているの影が見えた
笑みがもれる
「可愛いなぁ」
純情というか、子供というか
そういう話が苦手なんだよね、と
笑って、シャワーをひねり、顔と身体の泡を洗い流した
同時に、冷たい水で火照りそうになった身体も、頭も、冷やしていく

尽が風呂から出ると11時を回っていた
(疲れ、取れたのか取れてないのか・・・)
やれやれ、と
冷たい水を咽に流し込んで、早々と寝てしまった祖父母の部屋を通り過ぎる
だだっ広い家
二人に与えられた部屋へと向かって 尽ははた、と足を止めた
くうくう、と
もうは、寝息をたてて眠っている
電気も消さず、暑かったのか布団もかぶらず枕だけ抱いて
「・・・これは、試練だな」
そして、そして、
まるで新婚みたいに、二つ並んだ布団
いつまでも、二人を幼い姉弟だと思っているのか
これを気にしないだ、と思いつつ 尽はぽすん、と並んだ布団の上に座った
すぐ側で、が眠っている
(俺ってまだまだ弟なんだなぁ)
やれやれ、と
ため息を吐いて、警戒心ゼロの愛しき憎き姉の髪にそっと触れた
(そりゃそうか・・・意識してたら風呂なんか入ってこないよな)
少し悔しいと思いつつ、
それでも今は、この寝顔が愛しくて仕方がないから
「ま、いいや
 今はいい弟でいてやるよ」
だからこれだれで我慢してやる、と
その頬に一つ、口付けた
おやすみ、
自分は眠れるか、わからないけれど


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