日常 (尽×主)


朝、枕元の目覚ましが鳴り響く
それに無意識に手を伸ばして、もそもそとまだ夢の端をつかまえているに 快活な声が響いた
っ、目覚ましなったぞ」
続いて、とすん、と布団に重みがかかる
人の体重
自分よりも少しだけ重いそれ
「ん・・・・・」
重い、と
ようやく目をあけたの視界に、ぼんやりと尽の顔が映った
生意気で、朝っぱらから元気な 1つ年下の弟

、起きれないなら起こしてやるよ」
「んー・・・?」
朝の光がまぶしくて、
昨日おそくまで英語の宿題をやってたから寝不足で
まだベッドの中でもぞもぞやっていたの、そのしっかりとつかんでいた布団がはぎとられた
「やーんっ、何するのよ尽っ」
続いて、強い腕が肩を押さえて、それでは身動きができなくなった
「お姫さまのお目覚めには王子のキスって決まってんだろ?」
ふ、と
甘い香りがして、唇にやわらかいものが触れる
あたたかくて、柔らかくて、気持ちいいキス
途端に、パチ、と
は目をあけて、目の前で悪戯に笑った弟の顔を見た
「ちょ・・・何するのよっ」
「おはようのキス」
にや、と
彼は言うとベッドから下り、ドアのところで振り返った
「早く着替えて下りてこいよ
 オレ今日からはば高なんだから、一緒に行こうぜ」
姉ちゃん、と
笑った尽は、の投げたマクラをひょいと避けると、楽しそうに笑いながら下のリビングへと下りていく
「もぉ・・・」
ふいに奪われた唇
そういうことを尽がするようになったのは が高校入学した頃
同じ学校に通えないことを 毎日毎日うだうだ言っては 冗談みたいにさらっていったファーストキス
弟なんだから本気ではないのだろうが、
それでも抵抗のあるが何度言っても、尽はそれをやめなかった
そしてそれは、今では日常になりつつある

リビングに下りていくと 制服姿の尽がのんきにテレビなんかを見ていた
って寝坊だなぁ
 出るまでもぉ30分もないよ? 早く支度しろよ」
「わかってるもん」
今までの中学の制服と違って はばたき高校の制服をきた尽は、少し大人びて見える
<いつでもどこでも彼女がいっぱい>の尽は 高校に入ってもモテるのだろうな、と
そんな想像をして 少しだけは嬉しくなった
あんなクソ生意気な弟のどこがいいのかわからないが
それでも自分の弟が女の子に人気があるというのは嬉しいことだ
にこにこと、上機嫌で尽を見ていたに、呆れたような茶化したような尽の声が飛んだ
、ぼーっとしてないで着替えろよ
 それとも俺が手伝ってやろうか?」
「い、いいわよっ
 何言ってんのよ、エロガキっ」
全くこんな尽の、どこがいいのかさっぱりわからないけれど

それから、毎日遅刻ギリギリの時間に家を飛び出すは、結局今日もギリギリの時間に鞄をひっつかんだ
、こっち」
表には、もう5分も前から待っていた尽が、自転車にまたがって呆れた顔をしている
「後ろ乗れよ」
「え? 」
「早く、俺まで遅刻しちゃうだろ」
言われた通りに尽の肩に手をかけて、自転車のステップに立つと 尽の身体が少し揺れて自転車はぐんっ、と走り出した
ってほんとノロマだなぁ」
「なによぉ・・・」
風を受けて、自転車はぐんぐん進む
「これ速い〜」
「アシ代は高いよ、お客さん〜」
いつも必死にダッシュする道も 力強く進む自転車ならあっという間
後ろに乗っているだけのにとっては、楽チンなことこの上ない
「ねぇ毎日送ってくれるの?」
「そーだね、キス1回で手打つよ」
「えぇ?!!」
くすくす、と
尽が笑っているのが、伝わる振動でわかった
「あんたねぇ、からかうのやめてよね」
「別にからかってないよ」
「彼女いるんでしょー」
「彼女とは別だろ
 を乗せてやってんだから、のキスが欲しいなぁ」
「あのねぇっ
 普通、姉弟でそんなことしないわよ?
 だいたい私だって彼氏がちゃんといるんだから」
「はいはい、わかってるよ
 あいつだろ、成績優秀な二宮拓也」
「呼び捨てにしないのっ」
「へいへーい」
「私のこともお姉ちゃんって言いなさいっ」
「へーい」
「尽、真面目にきいてるのー?」
「聞いてるよ、
少しだけ振り返って、尽は特有の悪戯な笑顔を見せた
「もぉっ、全然聞いてないじゃないーっ」
「あはは、そんなに怒んなよ
 何て呼んだって一緒だろ、って名前可愛くて好きだよ、俺」
笑い声が響く
楽し気な尽
もぉ、と
いいながらも やっぱり憎めない弟
春の気持ちいい風に吹かれながら 二人は一緒に門をくぐる
楽しくて、明るい気持ちに包まれながら
これから、二人の高校生活がはじまる


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