集中  (鈴×主)


「なぁ、おまえは好きな奴とかいねぇの?」
その言葉に苦笑しかできなかった
秋が近いから、風が少し冷たい
練習でほてった身体が、少しずつ冷めていく

鈴鹿が好きだよ

そう言えたらいいけれど、言わないことに決めた
だって鈴鹿はが好きなんだから
叶わない想いを伝えて困らせるより、このままの方がいい
男同士みたいに何でも話して、笑って、悪態ついて
一緒にバスケなんかして

「私は興味ないな」
校舎と校舎の間にある水道
抜けていく風が髪をさらった
鈴鹿はそこに座って、空なんかみてる
恋愛に、興味はなかった
それよりもバスケが好き
走って、ボールを追って、シュートを決める
そのことばかりを考えてる
前も、今も

「お前らしいなぁ」

集中しよう
バスケに、強くなることに、泣かないことに
「あんたに言われなくないわよ」
同じようだった二人
似てたよね、バスケバカで
遅くまで練習して、雨の日だって休まずに
「かもな」
鈴鹿が笑ったのが見えた
心が痛い、かもしれない

集中して、今は違うことに
鈴鹿じゃない何かに
この痛みを忘れてしまえるように

秋の空はもう、暗い
風はやまない
なんだか私の心みたい
鈴鹿は好きだった女の子を彼女にした
私は友達のまま
それでいいはず、それでいい

、1ゲームだけつきあってくれよ」

いつもの顔で鈴鹿が言った
「勘弁してよ」
私はちゃんといつも通り?
「帰り送るから」
「・・・しょうがないなぁ」
いつも通りに言えた?
鈴鹿は、いつも通りに笑ってた
大丈夫、集中できてる
多分、今が一番辛い時
試合だって一緒でしょ?
やまを越えたら、楽になれるはず
恋愛だってきっと、同じはず

鈴鹿が好きです、今も

興味なんかなかったから、気付かなかった
こんな想いは多分始めて
憧れに似た優しい初恋とは違うこの痛み
おとぎ話のようなのは嘘なんだと知った
だって鈴鹿は王子じゃないし、私は姫じゃなかったから
二人は互いに愛しあってなんかいないから
それでも、人は恋愛をするんだね
こんな風に叶わなくても

秋の風の中、ボールを挟んで1対1
身体に熱が戻ってくる
集中して、今はバスケだけ
いつのまにかやまを越えて、きっと楽になれるはず
想いもいつか、冷めるはず
こんな叶わない想いだから 冷めていつか忘れるはず


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