初デート?  (鈴×主)


朝、目覚ましが鳴らなかった
今日は7時に起きて、御飯を食べて、9時まで適当にトレーニングしてシャワー浴びて
それからあいつとの待ち合わせ
駅に10時
余裕なはずだったのに、なんか目が覚めたら待ち合わせの5分前だった

「やっべ・・・っ」

こういう時、デート慣れなんかしてない和馬は、まず相手に携帯で連絡するなんてことが浮かばない
慌てて着替えて、かろうじて顔を洗って
玄関に転がってた靴をはいてダッシュした
ここから駅まで走って15分程
長い夏休みの中での、バスケ部に唯一与えられた休日
そんな特別な一日の始まりを、こんな全力疾走で迎えるハメになろうとは
(あいつ絶対怒ってるぞ・・・っ)
遅れないでよね、って
昨日 帰り際にが冗談めかしく言ってたけ
おまえこそ、と返したけれど 和馬はこのザマ
日射しが強くなってきたこの時間
15分以上もまたせたら、は怒って帰ってしまうだろうか

結局、和馬が待ち合わせの場所についたのは10時25分
ゼーハー息を上げながら走ってきた和馬に、がおかしそうに笑った
「あはは、アンタ息上げすぎ
 もーちょっとスタミナつけた方がいいんじやないの?」
膝に手をついて、肩を上下に大きく揺らして
ようやく整った呼吸、和馬は顔を上げた
いつものように笑って
いつものように軽口を叩いて
は怒った顔ひとつせず、そこにいた
「悪い、寝坊して・・・っ」
「25分の遅刻は大きいよ、鈴鹿
 これはアイス奢ってもらわないとワリに合わないな」
「お・・・おぅ」
「3段のやつね」
「3段?!!!」

何か文句あるの? 、と
が笑った
それにちょっとホッとする
この炎天下に25分
多分自分なら文句の一つも言うだろうに
「バス来たよ、鈴鹿」
はこうして笑ってくれる
それがちょっと嬉しくて、ちょっとくすぐったくて
ドクン、と身体が熱くなった
これは、走ったからでは確実にない、熱が生まれている

本日のの服装
ジーパンにキャミソール
髪はポニーテール
いつもユニフォームだとか、ジャージだとか
そんなのばかり見ているから新鮮で、露出の多いその胸元に 無意識に和馬は視線をやった
(そうなんだよな、こいつ乳デカいんだよな・・・)
ふと、目の前の存在が「女の子」であることに気付く
そして、それで少し赤面した
あれに乗りたい、だの
これはつまらない、だの
言う距離が近すぎて、ドキとする
いつもはを男友達みたいに思ってるから何とも思わないけれど
こんな風に意識させられてしまったら、どうしようもなくなる
恥ずかしくて、顔に熱がいく
「あ・・・あんまくっつくなよ」
「何? 急に?」
「いやだって、なんか乳が当たる・・・」
「え?」
「・・・・・」
「・・・・・っ」
バチーン、と
右頬にの掌が当たって、和馬の顔がむぎゅり、と遠のけられた
ああ、こいつ乱暴
そう思って苦笑する
恥ずかしくて照れくさくて、どうしようもないから軽口で誤魔化す
わざとを怒らせるようなことを言って なんとかこの動揺を隠す
照れてる自分に気付かれないように
「今 本気で叩いたろ、お前」
「何言ってんのよ、バカっ、エロっ
 もぉアンタはアイス買ってきてっ」
心なしか、も頬を染めてるのは セクハラ発言に怒ったからか恥ずかしかったからか
それとも和馬と同じように、この近すぎるキョリを意識したからか


夏休みの遊園地
5分程列に並んで顔の火照りも冷めた頃 ようやく買えた可愛い3段アイスを手に和馬はさっきまでのいたベンチあたりを見回した
ここで待ってるからアイスを買ってこい、と
怒ったように言ってたっけ
「・・・男にこんな3段とか買わすなよな・・・恥ずかしい・・・」
ぼやきながら、視線を彷徨わせを探す
こんなに人がいるのに、
どっちかというと、人込みで誰かを探すとかは苦手な方なのに、はすぐに見つかった
側の噴水で 小さな子供と一緒になって足を水につけていはしゃいでいる
キラキラ光る水しぶきと、この夏の日射し
子供のキャーキャーいう声と、の笑った顔
ちょっと、さっきから熱が上がってるから
そういうのにすぐグラリとくる
それがどうしてかなんてわからなかったし、
それがに対してだなんて、やっぱりわからない
ただ、体温が上がる
(なんだよ、わけわかんねぇ)
ジーパンにキャミソール
和馬が好きな女の子は 休日にはワンピースを着てるらしい
クラスの誰かが持ってた写真を見て、可愛いなんて言ってたけど
実はみたいなのの方が好みだったりする
このさりげなさ
この新鮮さ
こんな風に子供と一緒になって笑ってるのを見たら、ドキドキする
ドキドキする

っ、アイス買ってきたぞっ」

呼ばれて、サンダルをひっかけてこちらに戻ってきたに、3段アイスをなかば押し付けるように渡し、
和馬はその場でくつを脱いだ
「オレもいってこよっ」
火照った身体を冷やそう
ちょっと の側に平静でいられそうにない
「私 夏って好きだなー」
幸せそうに、ベンチに座って
が笑った
「 オレも夏って好き」
足下の冷たい水に、すっと冷えていく身体
「夏ってこう、身体がのびのびするよな」
「うんうん、思う思う
 私達 気合うよねー」
「どーでもいいことばっかりな」
くす、と
笑ってがうなずいたのに、和馬もまた心から笑った
この感覚は何だろう
満足感、高揚感
そして、今は無理矢理に冷ました身体の中から湧いてくる熱
それが心地よく、身体中を満たしている
たまらなく楽しいと感じた
も同じ様に思っていたらいいのに
このたまらない気持ちを、二人が共有していたらいいのに
そして二人は互いに感じる
この熱を
生まれはじめた特別な想いを


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