ベストフレンド (鈴×主)


クラブ活動の時間
体育館は、女子バスケと男子バスケがそれぞれ片面ずつコートを取って練習をしていた
女子バスケ部には、ちょっと有名ながいる

5月のある日、練習中の体育館に、でっかい音が響き渡った
?!」
「いったーーーーーーっっ」
驚いて、女子コートを見ると、輪の中でがへたりこんでいるのが見えた
転んだのだろうか
心配そうに集まってきた子に助け起こされながら、が顔をしかめている
レギュラー候補だなんて言われているらしいけど、案外どんくさい面もあるんだな、と
和馬はのその顔を見て一人笑った
の、ああいう顔はまだ見たことがなかったから

練習後、モップかけをしていたに声をかけてみる
クラスが違うから、今まで話す機会もなかったけれど
実は和馬は入部した時からを知っていた
中学で結構有名だったらしく、
高校でこちらに転校してきたのことを知っている先輩が言っていたのだ
「お、あの可愛い子 じゃないか」
それで、色々聞かされた
おかげで和馬は、に詳しい

「なぁ、さっきの大丈夫だったのか?」
「え?」

本日のモップがけの当番なのだろう
一人でやっていたのを中断しては和馬の顔を見た
「派手にこけてただろ?」
「あ〜大丈夫だよ
 ちょっとバッシュが痛んでてね」
にこっと、
活発に笑って答えたは、ほら、と片足を上げてみせた
紐が切れてしまっている
「中学の時から使ってたから、もぉダメだね〜」
買い替えなきゃ、と
または笑った
よく笑うんだな、と
そんなことを考えながら、和馬はふと無意識に言った
「オレのオススメの店教えてやろうか?
 お前、引っ越してきたばっかで あんま店とか知らないだろ」
自分でも、どうしてそんなことを言ったのかわからなかったけれど
「え?! ほんとに?!
 いくいくっ、今からでもいい?」
途端に顔を輝かせて乗ってきたに、悪い気はしなかった
「おぅ、いいぜ
 じゃあモップがけ手伝ってやっから早く行こうぜ」
「うんっ」
それで、二人して並んで体育館のモップがけをした
入部2ヶ月目、
マトモに会話した、はじめての日

一度着替えに更衣室へと行き、二人は校門で待ち合わせて学校を出た
「えーと・・・お前オレのこと知ってる?」
「え?」
二人、歩きながら和馬はまだ自己紹介をしていなかったことに気付いてバツの悪そうな顔で言った
完全にタイミングがずれていることは百も承知
どうも、思ったことから何も考えずに言ってしまう性格上、こういうことが後回しになることが多い
今も、が驚いたようにこちらを見て、それで恥ずかしくなった
「いや・・・俺達クラス違うし話したことないだろ」
それで、が笑った
「だったら何であんたは私のこと知ってるの?」
「そりゃおまえ・・・おまえは何かと有名だから」
「なんで?」
「なんでって・・・・先輩にお前のファンがいて毎日おまえの話聞かされてるからなぁ」
つぶやくように言った言葉に、が可笑しそうに笑った
「ファンって何よ〜」
サバサバしていて、接しやすくて、話しが弾む
女の子と話すのが実はあんまり得意じゃない和馬にとって、は驚く程に自然体でいられる相手だった
まるで男を相手にしているように話せるし、
も、そういう感じに返してくる
スポーツをしているからかな、と
和馬はの顔を見た
視線に気付いて、がにっと笑う
「スズカーーーー!!!」
そして、急に大声で呼んだ
「なっ、なんだよっ」
思わず足を止めたら、隣でがケタケタ笑った
「よくコーチがそう怒鳴ってるのを聞くよ」
だから知ってる、と
は言った
「なんだよ、それ〜」
ちょっとだけ照れくさくなって、和馬は苦笑した
そういえば、自分は毎日のようにコーチにどやされている
男子バスケ部と女子バスケ部は、場所の関係から週に二回は体育館を半分ずつ使って練習している
コーチの大声は、当然女子にまで丸聞こえだってことか
「レギュラー候補なんだってね」
「お前こそ」
二人して、お互いの顔を見て にっと笑った
「どっちが先に取るかな」
「賭けるか?」
「いいよ」
それで、ちょっとだけライバル意識が芽生えた
同じチームで争うわけではないんだけれど

結局、その日帰路についたのは夜の9時過ぎ
いつも和馬が使っている店で、あーだこーだと色々悩んで、
結局は和馬と同じメーカーのバッシュを買った
それから本屋で雑誌を立ち読みして、外国選手の記事なんかを見ながら二人で盛り上がった
気付いたら、8時をとっくに過ぎていた
驚く程にあっという間
それで、慌てて帰ってきたのだ
といた時間はまるで矢のように過ぎていき、
今迄そんなことを感じたことがなかった和馬はとても不思議だと、思った

次の日からは和馬と一緒に買った赤いバッシュをはいて
二人は同じ体育館で練習に励む
時々一緒に帰ったりして
朝練や自主トレを一緒にやったりした
同じドラマを見ていたり、
買った雑誌を貸し借りしたり、
たまにスポーツ用品店にひやかしに行ったりした
いい友達関係だと思った
相手は女の子だったけれど、そう感じさせなかったから
には、気をつかわなくても良かったから
こういうサバサバした子は、一緒にいて楽だった
ベストフレンド
それが、今の二人の位置


女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理