プロローグ


はばたき王国
長く続いた内戦が終わり、15年がたった
ようやく、街が商人達で賑わい、村に緑が映え、森や砂漠に動物達が帰ってきて、人々に笑顔が戻った
そんな時代
国を治める王が死去した
そこから 物語りは始まる


王は妻に先立たれ、子供もなく孤独の身だった
次の王は誰なのか
この国の未来は、誰が手にするのか
家臣達は遺言に耳をかたむけた
「大臣よ、記録せよ
 これは私の正式なる、遺言だ」
そう言って、王は目を閉じわずかに微笑して、告げたのだった

「私には生き別れた娘がいる
 娘を探しだしてくれ、王位は娘に譲る」

彼の最期の言葉を聞いた時 呼び集められた城中の家臣達は我が耳を疑った
富も名誉も権力も国も民も金も城も王座も兵隊も、全部

「全て、娘のものだ
 娘を探して王位につけてくれ、私の最期の命令だ」

忠実な家臣は、涙を流して死にゆく王に約束をし、
心に野望ある者達は、黒い相談に街の酒場へと消えていった
国が動く
1人の少女を巡って
ある者は彼女を探し出し王位につけようとし、
ある者は彼女を亡き者にして己が富を手にしようとする
城は、揺れた
そうして、多くの使者が どこにいるのかもわからない1人の少女を探しに旅立っていった
王の側近で、姫の幼い頃の教育係だったヒムロ・レイイチも、その1人だった

「それで? その姫を探し出してお前はどうするんだ?」
「決まっている
 王の遺言通り、王座に座っていただくのだ」
「おまえが王のために、危険な旅をするなんてなぁ」
「・・・何のためにお前を雇ったと思っている
 言っておくが、私は剣など持ったことがないからな
 道中の危険はお前が全て片付けろ」
「はいはい、金さえもらえば何でもしますよ」
夕暮れの、酒場
話すのは涼し気な顔だちの男と、人なつっこい笑みを始終浮かべている男
対照的な二人の格好は、まさに城の住人と傭兵のそれだった
「姫のいる場所の見当はついてるのか?」
「ああ、調べてある」
「相変わらず手際がいいことで」
「支度がすんだらすぐに出るぞ」
「はいはい、俺はいつでもかまわないよ」
にっ、と
笑った相手に、ヒムロはため息に似た息を吐いた
「では、2時間後に」

城から使者が何人も出ていく
全て、1人の少女のために
国が動く、時代が動く
忠誠と野心に、人も動く

これはそういう時代の、そういう物語り


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