おくりもの (姫×主)


ハッピーバースデーまどか
18才になった特別な日
何人も何人もが、メールをくれた
12時を過ぎてから、携帯は鳴りっぱなし
大事な人からかかってくるから、とお祝の言葉だけ聞いて電話を切る
そうやって4人程邪険に扱った後、めあての着信音が鳴った

っ」
声が弾む
「姫条くん・・・ごめんね、電話中だった?」
申し訳なさそうな声に、少しおかしくなった
「ええねん、そんなん
 からの電話待っとったんやから」
今日は誕生日
12時に電話が欲しいだなんて まるで女の子みたいな言葉をはちゃんと覚えていてくれた
うきうきする
浮かれて、どうしようもない自分がいる

ああ、誕生日に好きな人の声がきけるなんて幸せだ

毎年、プレゼントに囲まれて、可愛い女の子達に祝ってもらって
仲のいい友達や先輩と一緒に騒いで、それで過ぎてきたこの日
今はこんなにも愛しい人の声を聞いて、心穏やかでいる
まるで自分じゃないみたいだ

「なぁ・・・
「ん?」
「ちょっとだけ出てこられへん?」
「・・・え?」

戸惑ったような声が受話器の向こうから返ってきた
夜中の12時過ぎ
本当なら眠っている時間
女の子がこんな時間に外出なんてできっこないとわかっていて言う
「な、ちょっとだけ、に会いたい」

それからまどかはの家の側まで行った
親にバレないように、と部屋を抜け出してきたは、心細そうに立っていた
「ごめんな」
「ううん」
平気、と
それでもどこか不安そうな顔をしている
誕生日だから、声が聞きたいと言って
声を聞いたら顔が見たくなった
会ったら抱きしめたくなって、まどかはそっと手をのばした
「すぐ帰すから・・・」
こんなこと、親に見つかったらおおごとだろうとわかってる
は女の子で、チャラチャラした子達とは違うのだから
だからこんな風にしてはいけない
そう思ってても、とまらなかった

名前を呼んでみる
初めて会った時に呼んだものとは確実に違う想いのこもった名
誰よりも想っている名
、プレゼント欲しい」
腕の中で真っ赤になっているを見下ろした
「あ・・・うん、ちゃんと用意してるよ?」
こちらを見つめ返す瞳に、ぐらっと何かが揺れた気がする
声が聞きたくて、会いたくて、触れたくて、そして

「違う、に触れたいねん」

ス、とその長い指がの唇に触れた
が何かを言う前に、まどかの影が下りてくる
わずかに漏れた吐息をそっと、受け取るように、
その柔らかな熱を奪うように
まどかはに、口付けた

声が聞きたくて、会いたくて、抱きしめたくて、キスしたくて

腕の中のは、真っ赤になってうつむいた
その温かい身体は、ほてったように熱くなっている
愛しくて、まどかは少しだけ笑ってその髪にまた口付けた
「ごめんな・・・」
突然で、了解も得ずに、と
悪戯っぽく言うと、ふるふるとは首を振った
ただ驚いて、どうしようもなく言葉もないけれど
それでもまどかに想われている、それが伝わるような優しい口付けだったから
心臓が壊れそうにうるさいけれど、
それでも幸福だと、感じた
まどかに愛されていると感じた

例えば他の女の子なら、
今までつきあってきた女の子なら、
最初のデートでキスをして、それからノリと雰囲気でいくところまでいく
相手の子に遠慮なんかなかったし、それは向こうも同じだった
たとえば、初めてなんだろうな、とか
優しくしてあげたいな、とか
そういうことは、あまり考えなかった
今までは

(・・・なんかオレの方があかん・・・)
を家に送りながら まどかはこっそりと思う
手を握っただけで真っ赤になっていただから、
抱きしめたりするのだって、(これでも)本当にとても気を使っている
キスなんてしたら倒れてしまうんじゃないかと、
もっと時間をかけて、と思っていたけれど
(あーかーんー・・・・嬉しすぎる・・・)
誕生日の特別な日
無理だと思って言った言葉をはなんとかしてくれた
こんな時間に・・・と、困ったように言っていたけれど
それでも部屋を抜け出してきてくれた
それが嬉しくて、
そうしたら、もっと欲しくなった
もっと、求めた
に、触れたい
声を聞いて、顔を見て、抱きしめて、キスしたい

チラリ、と隣を歩いているを盗み見した
今はもう頬の熱もひいている
直後は真っ赤でまともに顔も上げられなかったけれど
「ええプレゼントもろたなー」
ひとりごちたら、はこちらを見上げて真っ赤になった
「もぉっ、恥ずかしいから言わないでっ」
「オレはめっちゃ嬉しいで?」
「わ・・・私は恥ずかしいのっ」
想像通りの柔らかなくちづけ
慣れた行為にも、相手がというだけでこんなにもドキドキするし
こんなにも嬉しく感じる
特別な日に最高のおくりもの
半ば勝手にもらっていった、初めてのキス


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