進路 (姫×主)


春休みが終わって、まどかは3年になった
クラス編成の掲示板を見て、思わず飛び上がりそうになったのは言うまでもない
の名前がある
3年目にしてようやく同じクラス
担任が氷室ということを除けば最高のクラスだった
気の合う仲間も多くいる
楽しい1年になりそうだった

始業式が終わるとさっそく氷室がH.Rをはじめた
予想はしていたものの、片ッ苦しく進められていくH.Rに溜め息をつきつつ
それでもまどかは席から見えるの後ろ姿を見て笑みを浮かべた
同じクラスって何ていいんだろうと思う
いつもいつもを見ていられる
たとえ氷室のクラスでも我慢できるってものだ
こんな風に、同じ教室にいられるのなら

その日、氷室は進路希望の紙を配った
「進路なぁ・・・」
ピラピラと、その紙をもてあましてまどかはそれを鞄にしまった
3年になった途端にコレか、と
進路懇談の日程が書かれた黒板を見遣る
3年は進路を決めるためにあるものだ、と
誰かがいっていたっけ
高校生活最後の、やっとと同じクラスになれたこの年を、進路を決めるためだけに使う気はさらさらない、と
まどかは大きく溜め息をついた
そんなまどかにクスクス、と
が笑いかけて それでまどかは顔を上げた
「どーしたの? 姫条くん」
「いや・・・何でもないで」
急に心が晴れた
そうだった
同じクラス
それがこんなにも近いものだなんて、今頃実感が湧いてまどかは笑った
今日クラブないやろ?
 一緒に帰ろうや」
「うん」
5歩も歩けばの席までいける
わざわざ違うクラスまで出掛けていた今までとは違うんだ、と
まどかは嬉しくて、笑ったの手をとった
「ええなぁっ、同じクラスってのは
 なんかこう・・・近くなった気ぃせん?
 オレ達の仲までもが」
「え? うん・・・・・・・・」
そうだね、と
赤くなって答えたにまた、まどかは笑った
嬉しくて仕方がない
いい気分だ
いい一年になる、そんな気がした

その夜、携帯にかかってきた電話でまどかのご機嫌は一気に吹き飛んだ
「何の用や? 」
「お前も3年になったのだから、進路をきっちり決める時期だと思ってな」
それはもう何ヶ月も聞いていない父親の声で、
イライラさせるそれに、まどかは携帯を強く握った
「あんたの指図は受けへんで
 オレはオレのやりたいようにやるんやからな」
「そういうわけにはいかないだろう
 お前はウチの跡取・・・・・・・・・」
イラ、と
腹に重いものがたまっていく気がして、まどかは電話を切った
ツーツーという音が耳につき、それでベッドに向かって携帯を投げ捨てる
何か進路だ
何が跡取りだ
自分は誰にも干渉されずに、自分の力で生きていきたい
だからこうして、ここにいるんじゃないか
ムカムカ、と
気分が悪くなったのを、まどかは大きく溜め息をついて吐き出そうとした
せっかくと同じクラスになっていい気分だったのに、台無しじゃないか
そう思ったら、どうしてもの声が聞きたくなった
ベッドの上に転がった携帯を取り上げて、慣れた番号を押す
5回コールでは出た
急にほっとしたような、穏やかな気分になってまどかは笑った
「ごめんな、どーしても声、ききたかってん」

1時間程、電話で話した後、まどかはベッドに寝転んだ
の声を聞いて、何でもない話をして少しだけ落ち着いた心
それでも、父親からの電話はまどかに暗い影を落とした
(あーあ、進路か・・・)
は、どういう進路を選ぶのだろう
今や学年で1.2を争う程に成績のいいと、
とりあえず進学する気のない自分
このままでつり合うのか、と少しだけまどかは溜め息をついた
何も考えていないわけではないから余計に気分が滅入る
父のいうように、はっきりとした形での進路を、と
も思うだろうか
うとうとと、眠りにおちながらまどかはを思った
彼女につり合うような男になりたいと、
そればかりが今は、心を占めている


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