予定変更 (姫×主)


今日は、まどかとショッピングに行く予定
冬のはじまり
ちょっとだけ冷たい風が、通り過ぎていく

は、約束の5分前に待ち合わせの駅に着いた
キョロキョロと辺りを見て、まだまどかが来ていないのを確かめる
時計塔にもたれて、うつむいた
今日、はいつもと違う格好をしている
ミニスカートに、おニューのブーツ
ぴたっとしたTシャツに、ジャケットを羽織った
いつもなら、絶対にしない格好で
絶対に選ばない丈のスカート
こんなに足を出すのははじめてかもしれない、と
そう思う程に、短いスカートは、なんとなく落ち着かなくてソワソワした
まどかが、こういう服装が好きだってことは、知っていたけれど
そんな格好自分ではできるはずもなく、
今までピュアな感じでいたのだけれど
(やっぱり恥ずかしいなぁ・・・)
このあいだ珠美と買い物に行った時に見付けて、迷っていたのを強く珠美にすすめられた
「きっと姫条くんも喜んでくれるよぉ」
その一言がきいたのだ
こういう格好をしたら、まどかは本当に喜んでくれるのだろうか

しばらくすると、知らない男が二人寄ってきた
「ねぇ、待ち合わせ?」
「え・・・・はい」
「こんな可愛い子待たせるような奴は見捨ててさぁ、オレ達といいことしに行かない?」
「え?!」
驚いて、は慌てて首を振った
「あの・・・・いいです」
男の視線が、さらけだされている足に落ちていくのを見て、顔が赤くなった
「あのっ、私・・・」
慌てて、もっていたバッグを前に回して隠そうとするが、
それでも男達はニヤニヤと、の足から目を離さなかった
「綺麗な足してるね〜」
「赤くなってるのが可愛〜い」
ヒューヒューと、
ノリノリな二人にどうしようもなく、は困ってうつむいた
どうしよう
こんな時にまどかはいないし、
自分ではどうしていいのかわからないし
こんな格好をしているからいけないのだろうか
今まで、こんな風にからまれたことなんかなかったのに
「あの・・・・私・・・」
困ってしまって、恥ずかしくて
半ば泣き出しそうになりながら顔を上げた時、男の後ろに見なれた顔が見えた
「おい、オッサン
 何、人のもんに勝手に声かけてんねん」
彼等より、頭半個分ほど背の高いまどかの、
その独特の喋り方と、冷たい視線に 一瞬二人は言葉をなくして
それからへへっと、愛想笑いを浮かべた
「いやいや、彼氏が来たんならいいんですよ」
お邪魔しました、と
飛ぶように逃げていった二人を見遣り、
はようやくホッと溜め息をついた
「どうしたんや、
 こんな可愛い子がそんな足出しとったらそらナンパもされるで」
今度は、まどかがまじまじとを見て言った
「あ・・・あの・・・ごめんなさい」
やっぱりこの格好がいけなかったのだろうか
まどかが喜んでくれるかと思って、恥ずかしいのを我慢して着てきたのだけれど
「いや、ちゃうで
 なんか・・・珍しいやん・・・そんな がそういう格好すんのって」
どこか照れたように、まどかは頬を染めた
見た時にびっくりしたのだ
いつもは清楚な感じの服装のが、こんなお色気な格好をしているから
そして、それはまた新鮮でとてもいいな、と思ったのだけれど
「姫条くん・・・こーゆうのが好きだっていってたから・・・」
それで、と
うつむいて小さい声で答えたに、まどかはエ・・・、と
赤くなったの顔を見下ろした
「え? 何? オレのためにそんな格好してくれてんの?」
「う・・・うん・・・・」
恥ずかしさで顔が熱くて、
してこなきゃ良かったと、が思ったその時
急にぐいっと抱き寄せられて、それから強く抱きしめられた
「え・・・・?!!」
突然のことに、は硬直する
まどかの腕の感触を、強く強く 感じた
「うわーーーーーーーーーっ、なんかオレ今めっちゃ嬉しいっっ」
を抱きしめたまま、まどかは言い
「き・・・姫条くん・・・っ」
驚いて、はされるがままになっていた
こんな人前で、
こんにな風に、
動揺して、どうしていいのかわからない
「なんか感動やっ、よう似合ってんで」
「あ・・・ありがとう・・・・」
ようやく解放された時には、まどかは満面の笑みで、嬉しそうに言った
「なんや、オレって幸せもんやなぁ・・・」

それから二人して、予定通りショッピングをするべく歩いていた
チラチラ、と道ゆく男達がの足へと視線をやる
「・・・・・・・・」
最初、わからなかったも、そのうちに見られているのに気付いて真っ赤になってうつむいた
(もぉ・・・なんで見るのぉ・・・)
世の中のお色気な格好をしている女の子達は、いつもこんな風に見られているんだろうか
恥ずかしくて、顔の上げられないの手を引きながら まどかが突然立ち止まった
「アカン、やっぱり耐えられへんっ
 今日は予定変更やっ」
「え?」
そうして突然に、またの手を引きながら歩き出す
「ど・・どーしたの?」
「他の男がのこと見るのが耐えられへんねん
 はオレのためにそんな格好してくれてんのに、なんで他の奴に見せなあかんねん
 今日はカラオケに行くっ、ええよな?」
「う・・・・うん」
カラオケは個室だから二人きりだ、と
付け足したまどかに、は少しだけ笑った
その顔が子供っぽくて、どこか可愛く感じたから

冬のはじまり
いつもとちょっと違う気分で、まどかの好きな服を着て
くすぐったい予定変更
その日二人は個室で、誰にも邪魔されないデートをする


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