修学旅行一未遂- (姫×主)


修学旅行の夜
これまた定番といえば枕投げ
まどかの部屋で、大盛り上がりを見せていたその一戦は、見回りにきた氷室の一喝でドタバタとした終焉を迎えた
「やばっ、、こっちっ」
ガチャリと部屋のドアが開けられて、氷室の声が響いたと同時に まどかがの手を取った
中扉のふすまが開けられるまで5秒
すばやく押し入れのふすまをあけ、
まどかはを押し込んで、自分も中になだれ込んだ
「就寝時間はとっくに過ぎているんだぞ!!!」
部屋の中に氷室の声が響くのを聞きながら、はまどかの強い腕に抱かれ、必死にドキドキしているのを抑えていた
意味のわからぬまま、ここに押し込められて
暗くて狭い押し入れに二人きり
まどかの顔はすぐ側にあったし、
何よりこんな風に抱き締められたら、心臓がどうにかなりそうな程にバクバクしている
それが密着しているまどかにまで伝わるんじゃないかと、
は暗闇で真っ赤らになっていた
「き・・・姫条くん・・・・」
せめてもう少し離れよう、と
ささやくと、まどかがしっ、と答えた
「もーちょっと待ち、どーせすぐ行きよるから」
逃げ遅れた者達に一通り説教をしている氷室の声が聞こえる
しばらくすると、ドアの閉まる音がして声も聞こえなくなった
「行ったみたいやな・・・・」
そ・・・と、ふすまのすきまからまどかが外の様子を見て
そしてコチラを振り返って笑った
「よし、行ったな
 なんやハラハラしたな〜」
もう出ても大丈夫、と
その言葉に安心して、が押し込められた場所から身を放した
「あっ」
途端、押し入れの中に入れてあった枕をふんずけて、
それでバランスをくずした
「きゃっ」
「おっ・・・・・と・・」
まどかの方へと倒れこんだを、反射的にまどかが支えようと身を乗り出す
瞬間、ほんの一瞬
ほんとうにわずかに、二人の唇が触れた気がした
「!!!?」
「・・・・・っと」
同時に意識して、
はまどかに支えられながら真っ赤になってうつむいた
(い・・・・今・・・・・・・・・)
ドキドキは、先程の比ではなかった
まどかは何もいわずに、
の倒れてきた身体を抱きしめたまま じっとしていて
ザワザワと、騒がしさを取り戻した外の声が妙にはっきりと聞こえてきた
「おーい、姫条?」
外で誰かが呼んでいる
いつまでも出てこないまどかを、探しているのか
どうしていいのかわからなくて、
それでも顔をあげることができないでいたのその頬に まどかが手を触れて
「残念、未遂やったなぁ」
そしておどけたような声で言った
「え・・・・・」
思わず顔を上げたその目に、まどかのいつもの明るい顔が映る
「損したなぁ、せっかくやったのに」
にこっ、と
悪戯な顔をしたのに、はまたどうしようもなく真っ赤になって
それでも、とても救われた
もぅ、と
小さな声で言って
それからごめんね、と
まどかに手伝ってもらって狭くて足場の悪い押し入れで体勢を整えた
「でもいい思い出になったなぁ〜、なんてな」
ふすまに手をかけながら、を振り返って
一度だけまどかが笑ってパチンと片目を閉じた
ふすまが開くと、外の光がまぶしかった
「危なかったなぁ〜めっちゃ焦ったわ〜」
いつものように、押し入れから出てまどかは笑い、
それから真っ赤になっているに手を差し伸べた
「おまえ隠れるの素早かったよなぁ」
「そら慣れてるからなぁ」
友達と、なんだかんだと冗談を言い合いながら、まどかは笑い
はドキドキを必死に抑えてうつむいていた
大好きなまどかと、一瞬だけでも触れた唇
冗談みたいに笑ってくれたまどかの、顔を思い出してはまた顔を真っ赤にさせた
どうしようもない程ドキドキしている
当分は、まどかの顔が見れない気がした
まどかは平気なんだろうけれど

達が自分の部屋に戻って、男子達も寝静まった後
まどかは布団に寝転がって天井を見ながら のことを思い出していた
あの瞬間、触れた唇がふわっとしていて
どうしようもなく、動揺した
キスなんかで、この姫条まどか様が、と
思いながらも、どうしようもなくて、熱が上がった気がしたのだ
相手には、本当に自分はどうかしてしまう
触れただけなのに、
ほんの少し触れた程度の、事故なのに
(あーあ、もぉ重傷やなぁ・・・・)
真っ赤になってうつむいたを、しばらく抱きしめていたのは、このままさらってしまおうかと一瞬考えてしまったから
この腕の中にいるの唇を奪って、
本当に自分のものにできたらいいのに、と
そんなことを考えてしまったから
そして、
そんなことはできない、と
まどかは笑ってその場を流すことしかできなかった
には、そんなことはしたくない
大切で、何よりも大事な女の子だから
そんな風ではなく、もっとちゃんと手に入れたいと思うのだ
に好きと言ってもらえてから、触れたい
そうでなくては、意味がない
には、そう思う
他の女の子となら、その場のなりゆきでできてしまうことでも

天井を見上げて、まどかは大きく息を吐いた
こんなことごときで眠れない
そんな自分に苦笑しながら


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