ささいなことで (姫×主)


とあるデートの帰り道
表通りから一本中へ入った道を、とまどかは歩いていた
賑わった店が並ぶ表に比べたら、大分静かで落ち着いた通り
そこで急に、が足を止めた
一軒の、小さなケーキ屋の前で

「どしたん?」
「姫条君、ケーキ好き?」

まぁ好きやけど、と
の突然の質問に まどかがキョトンとして答えた
「ちょっと待ってて」
ワケのわからないまどかに、は言い残すと一人店の中へ入っていく
本当に小さな店
雑誌にも載っていないし、友達から聞いたこともない名前
(なんやろ・・・急に)
店の看板を見上げて、まどかはが戻ってくるのを待った
数分後、小さな箱を手に戻ってきたは、おまたせ、と
にっこり笑ってその箱を差し出した
「何? どしたん?」
「あげる
 ここのケーキすっごく美味しいから食べてみて」
「そーなん?」
「うんっ
 全然有名じゃないんだけど、私のお気に入りのお店なんだ」
それで、
あんまりがオススメするもので、
まどかはおとなしくその箱を受け取って笑った
「ありがとさん
 んじゃ帰っていただくわ」
うん、と
笑ったの向こうに見えた店に、もう一度目をやった
ちょっとだけ古ぼけたような木の看板が印象的だった

数日後
教室で雑誌をチェックしていたまどかの目に、ふと今注目のケーキ屋の記事が目に止まった
(あれ・・・・? ここって・・・・)
このあいだ、がオススメだといっていた店
あの木の看板が写真に載っていた
どこぞのグルメ研究家かなんかが最近行って絶賛したとか
それで急に、人気が出たとか
「あっ、このケーキ屋 今話題だよね〜
 私、一回行ってみたいんだ〜」
後ろから、雑誌を覗き込んでいた奈津実がその店を指さした
一気に、熱が上がった気がした
「ここのガトーショコラってのがうまいねん」
優越感たっぷりに言ってみると、案の定感心したような声が返ってくる
「姫条、もぉチェック済み〜?!
 やられたぁっ、私も早く買いに行かなきゃ〜」
その記事頂戴、と
雑誌に手を伸ばした奈津実を見ながら まどかは思う
なんだか、こういうのってすごいと思う
有名になってからチェックするのなんか誰にだってできるのに
話題になる前からお気に入りだったなんて
そういうのって、スマートでいいと思うのだ
ミーハーもいいけれど、
こういうセンスの良さに惚れなおす
ささいなことで、
こんなほんのささいなことで、
(やっぱ、はええなぁ・・・・)
まどかは隣のクラスのを思って頬を染めた
の、さりげなくオシャレなところがとても好きだ
本当に、ささいなことだけれど


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