はじまり (姫×主)


鈴鹿くんの試合の応援に行った時
そこに、あの人がいた

「自分、ちゃんっていうん?」

聞き慣れない関西弁で話す人
名前は、姫条まどか
クラスで時々名前を聞く、有名人
彼女がたくさんいるんだって、誰かがいってた
ようするに、モテる遊び人な人

「自分、可愛いなぁ
 何組? 何で今まで知らんかったんやろ」
「え・・・と、あの・・・」

ロクに返事ができなかった気がする
背が高くて、笑った顔が明るくてちょっとだけ子供っぽかった
運動部じゃないのに どうしてそんなに日焼けしてるんだろう
首に巻いてる皮のチョーカーが似合ってて、格好いい

ボンヤリと、はそんなことを考えていた
まどかのことをはじめて知ったのは文化祭
クラスの女の子ととても仲よく話してたのを見かけた
その時に、ちょっと格好いいななんて思った
それが最初
やたらと女の子に声をかけまくるから、本気にならない方がいいよ、と
友達が言ってたっけ
彼が自分なんかとは、仲よくならないと思っていたから気にもしていなかったけど

「これから宜しく」
「う・・うん・・・」

頭が真っ白になりそうだった
多分、また真っ赤になってしまっている
恥ずかしくて逃げて来てしまった
「私、用事があるから・・・・っ」

まどかと知り合いになって、
時々 彼が教室に来るようになった
たくさんの女の子に声をかけるついでに、にも笑いかけて
廊下で会ったら、用もないのに名前を呼ばれた
嬉しかったけど、どこか切なかった
多分、どんな女の子にでもすることなんだよね
気に入った子なら誰でも
そうやって、特別扱いみたいに、名前で呼んで親しくしてくれるんだよね

そして、いつか友達がいったことを思い出す
「本気になっちゃダメだよ
 あの人、恋愛なんかゲームみたいに思ってるんだから」
彼に会うたびに、ドキドキして、
名前を呼ばれるたびに顔が赤くなるのを必死で抑えて、
この気持ちも抑えなきやならない
好きになったら苦労するよ、と
友達の言葉が正しいと、そう思う

「な、ちゃん
 今度デートしよっ、おもろい映画やってんねんで」
「ごめんね・・・
 ちょっと用事があって・・・」
行きたいけれど、行けない
好きだから、これ以上好きにならないように
お友達のまま、今のままでいい
遊びで終わるくらいだったら

それでも、
もし10回誘ってくれたら、行こうかな
10回、君とデートがしたいと言ってくれたら、
1度くらいは、好きな人とデートしてもいいよね
本気になる前だったら、まだ大丈夫だよね

まどかは通ってくる
新しい学年になって、また別々のクラスでも通ってくる
ちゃん、デートしよ」
「・・・・・・・・・・うん」
いつか、そう答えるかもしれない
まどかが自分を誘うことに、飽きないでいてくれたら


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