はじまり (姫×主)


はじめてを見付けたのは、鈴鹿の試合の応援に行った時
別に試合が見たくて行ったわけじゃなくて、借りてたCD返そうと思って寄っただけ
そこで、めっちゃ可愛い子を見付けた
それがやった

(見たことない子やな〜クラス遠いんかな〜)
試合はもうすぐ終わる
手にしたCDを弄びながら、まどかは手すりから身を乗り出して試合を見ているを見つめた
肩までの髪の、ふわりとした印象の女の子で、
鈴鹿にボールがいくと、嬉しそうに側の友達と飛び跳ねた
(可愛いな〜)
無邪気な笑顔がいい
最近、一緒にいる女の子達はどれもこれも気が強くて、ちょっとお色気で
それは好みなんだけれど、ここのところちょっと飽きていた
あの子みたいなのが新鮮でいい、と
まどかは、スススとに寄っていった
何て声かけようか
試合の後、お茶でも誘ってみようか

ピィーーーーーーーーーーーーーーーーッ

その時、試合終了の笛が鳴り響いた
「おっと・・・勝ったんかな?」
手すりから覗くと、180-150で勝っている
ふむ、なかなか
体育館のすみに戻って、タオルをマネージャーから受け取った鈴鹿が見えた
「すず・・・」
ここから声をかけようと、手すりから身を乗り出した時だ
が視界に入った
いつのまにか、下へ下りて鈴鹿の側にいる
手にした箱を鈴鹿に渡して、二人して何か話している
(なんやなんや、鈴鹿の女なんか?)
せっかく見付けた可愛い子ちゃんが、悪友の彼女だったなんてがっかりだ
確かめよう、とまどかも下へと下りていった

「よっ、鈴鹿」
「姫条? お前が試合に来るなんて珍しいなっ」
コートへ下りて声をかけると、和馬は驚いた顔をして、まどかを見上げた
「これ、早く返せって言ってただろ」
CDを出すとああ、と和馬は笑った
「これ、が貸してくれって言ってたやつでさ
 ほら、持って帰っていいぜ」
CDは、和馬の手から、側にいたへと渡される
・・・さん?」
きいたことがない名だな
きっと前半クラスなのだろう
自分は10組だから1組や2組の奴とは教室が少し離れているのだ
「ありがとうっ、鈴鹿くんっ」
ぱぁっ、と頬を紅潮させてが笑ってCDを受け取った
さんってゆーん?
 俺、姫条まどか、1年10組、よろしくなっ」
ここぞとばかりに、自己紹介
にっと笑って手を差し出した
「あ・・・私、、2組です」
が、まどかを見て少し笑った
おどおどと、差し出された手をどうしようかと戸惑っている
(くぅ〜可愛いなぁっ)
その純情さに半ば感動しながらも、まどかはぎゅっと の手を握った
「え・・・っ」
「よろしく、ちゃんっ」
「あ・・・・・はい・・・」
の顔が真っ赤になっている
それを見て、まどかは心が踊った
可愛い
可愛すぎる
手を握ったくらいでこんなに赤くなって、
どうして今までこんなに可愛い子を知らなかったのだろう、と
まどかは内心ほくほくになった
「あの、じゃあ私、用事があるから帰るね
 鈴鹿くん、次も頑張ってね」
まだ頬を染めたまま、は言うと立ち上がって走っていった
体育館を出るのを見届けて、にやりと和馬を見る
「あれ、まさかお前の彼女?」
「・・・・・・ちがうっ」
一連を見ていた和馬が、気分を害した様子で言った
「お前って女なら何でもいいんだな」
「そんなことないけど、ちゃん可愛いなぁ」
「なんだよ、それ
 だいたい初対面で名前で呼ぶなんてなれなれしすぎじゃないか?」
「お前、好きなん? あの子のこと」
「・・・・・・・・別にっ」
「じゃあいいだろ
 俺、気に入ったなぁ・・・」
はお前みたいなチャラチャラした奴にはもったいないな」
「バスケバカには言われとーないわ」
バチッ、と二人の間に火花が散った
ようするに、和馬もが好きらしい
望むところだ、と
まどかはにっと不敵に笑った
まだ彼女じゃないのなら、友達だからといって遠慮はしない
こちらをにらみつけている和馬を見下ろしてまどかは言った
「ライバルだな」

恋愛はゲームみたいなもので、
可愛い女の子は、その賞品
ライバルがいる方が燃えるし、賞品が可愛いければ可愛い程いい
ちゃん、絶対落としたる」
宣言して、まどかはもう一度の顔を思い浮かべた
ああいう奥手っぽい女の子には、押して押して押しまくる手が一番効く
明日から、楽しくなりそうだ、と
まどかは満足気に体育館を後にした
新しい恋のゲームがはじまる


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