61. 合図 (氷室×主)  ☆リクエスト(氷室。在学中ラブラブ。二人にだけわかる合図)


授業中、時々がこちらを見てする仕種
唇に人さし指をあてて、微笑する
ふわっと、明るい色の髪が揺れて 心が掬われるような気持ちになる
授業中でなければ、抱き寄せてキスをする
授業中で、なければ

、次の問題の答えは」
何度やめなさい、と言っても はその仕種をやめなかった
はドキとする程に、色気のある表情をすることがある
まだ高校生のくせに
いくつも年下の、生徒のくせに
「答は・・・」
真面目に授業を聞きなさい、と
注意のつもりで軽くねめつけて、わざと難しい問題をあてたにも関わらず はさらりと答えると涼しい顔で着席した
「・・・」
まったく何なんだ
あれだけ授業中はやめろと言ったのに
今もまた、ス・・・と口元に指をもっていって、はふわっと微笑した
可愛いと思うからこそ
愛しいと思うからこそ、
こういう理性を保っていなくてはいけない授業中には、そういうことをしないでほしい

、君は何度言ったらわかるんだ」
「だって、」
「だってではない」
授業の後、教科書を持って質問(のフリ)にきたに、氷室は眉をよせて言った
「あれは合図なんです、私から、先生に」
「それは聞いた
 合図はわかったから、授業中はやめなさい」
「だって先生が応えてくれないんだもん」
「・・・ここは学校だということを忘れたわけではないだろう
 君と私のことが他の生徒に・・・」
「わかってます、だから言わないようにしてるのに」
「・・・それも充分、言葉と同じ威力がある」
「誰にもわかりませんよぉ」
「わからなくても、だ」
の、赤い唇
すっと、指をあてて微笑すると ふわっと空気が明るくなる
例えば二人きりの部屋でキスをしたり、抱きしめたり
そういうのなら、こんな風には言わないけれど
ここは学校で、二人の仲は秘密で、
なのには大胆にも、必ず授業中にする

「先生、キスして」

その合図
聞いた時には飲んでいたお茶を吹き出しかけた
「してほしいな・・・」
「ここではダメだ」
「他のみんなは教室でラブラブなのに」
「仕方がないだろう、私と君は教師と生徒なんだから」
コホン、と
一つせき払いをして 氷室は時計を確認してをまっすぐに見下ろした
「次の授業は体育だろう
 早く着替えて集合しなさい、私は職員室に戻る」
「・・・はぁい」
少しがっかりしたような、不満そうなの顔
がわかっていて言うのも、
氷室がと同じ想いで、だができないのも
二人はちゃんとわかっている
わかっているけれど、想いが故に はまた合図を送る
授業中、困ったような顔をしたり、怒ったような顔をしたりしてこちらを見つめ返す氷室に

「先生、キスして・・・」

昼休み終了のチャイムが鳴った
5時間目の授業は、の隣のクラス
廊下を歩いていた氷室の目に、まだ友達と喋っているの姿が映った
苦笑する
それから、静かな声で注意をした
、藤井、紺野
 チャイムはとっくに鳴ったぞ、早く教室に戻りなさい」
「はぁいっ」
眉を寄せた氷室の言葉に、女の子達はばたばたと教室へと走っていく
も、同じ様にして氷室の側を通り過ぎようとした
その瞬間

「?!!!」

ス、と
へ手をのばした氷室の長い指が、ふわっとの唇に触れた
驚いて、
どきん、と跳ねた心臓に は一瞬動きを止め
それから通り過ぎた氷室を振り返った
唇にふれた指
キスする前には いつも、そうやって触れる
ドキドキ高鳴る心臓を必死に押さえたの目に、少しだけ振り向いた氷室の顔が見えた
優しい、
でも少し意地悪な表情
口元には、涼し気な笑みを浮かべて 氷室は無言でを見遣ると そのまま前を向いて歩いていった
その後ろ姿に、
触れられた唇に、
は真っ赤になって ただ廊下にたちすくんだ
あんまりドキドキしすぎて、足が動かない

多分、仕返し
やめろと言うのにやめなかったから
ずっと合図を送ってたから
「ドキドキした・・・・」
かなわないな、と痛感する
相手は大人で、一枚上手だ
触れられただけで、こんなにも
身体が震えてうごけなくなるなんて
こんなにこんなに、ドキドキするなんて
(・・・先生の意地悪・・・)
隣の教室に氷室が消えるまで、はそうやって廊下に立っていた
ドキドキはまだ止まらない
返された合図に、今は目眩がするほど感じてる

「キスして」

そのお返し
君に触れたい、と
そう聞こえた気がした
二人だけしか知らない合図
それは、いつまでも唇に熱を残し続けている


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