憂鬱 (氷×主)


最近たまに、自分がわからなくなる
氷室は、そんな時必ず ピアノを弾く
意識せずに

放課後、クラブの後 音楽室に一人残り氷室はピアノを弾いていた
思い付くままに鍵盤をはじく
シンとした、冷たい空気の中 音はどこまでも澄んで響く
もやもやとした心に、それが弾き返されてくるようで
その音に、浄化される気がして
ただ鍵盤に指を踊らせた

 という名の少女

頭に想い描いて、苦笑する
よくわからない
昨日のバレンタインに、チョコレートを持ってきた彼女
キラキラした顔をして、
だが、それを断った途端に、きつい目になった
そうして、怒って帰ってしまった
なんて、なんて
素直に感情を出すんだろうと、思った

自分はそうじゃないから、戸惑ってしまう

鍵盤が跳ねる
息苦しくなる
何を想っているのか、わからない
自分の心がわからない
ただ、
の後ろ姿に意識が揺れた
そうして、今朝
まだ怒ったような顔をして、窓の外を見ていたの姿に憂鬱になった
それは、自分への主張なのか
バレンタインのチョコを断ったくらいで、と
氷室には、の気持ちがよくわからなかった

そして、今も息苦しい

音が流れる
静かな空間を満たしていくかのように
いつまでもいつまでも、氷室は弾き続ける
誰かが、止めるまで

「あ・・・・っ」
「?!」

ふ、と
指が止まった
ドアのところに、が立っている
「ご・・・ごめんなさい・・・」
「いや、いい」
驚いた
今、まさに彼女のことを考えていたから
傷つけてしまったのだろうか、と
思っていたから
そこで頬を染めている、のことを

「先生、切なそうな顔してた」
「・・・・そうか?」
「どーして?」
「いや・・・・・・・」

苦笑した
授業中には、こちらの顔なんか一切見ようとせずに、ずっと窓の外を見ていたのに
昨日と同じ、怒った顔をしていたのに
今、は何でもなかったかのように話し掛けてくる
「昨日は・・・すまなかったな」
「え?!」
こちらを驚いて見上げたに、氷室はどうしようもなくてただ苦笑した
「せっかく君が私に、と持ってきてくれたのに礼も言わずに・・・」
それで、が少しだけ眉を上げて そうだよぉ、と
不満そうにして、それから笑った
「頑張って作ったのに〜」
だから今日は授業をさぼってやったのだ、と
は言った
「そんなことをしても、君のマイナスになるだけだろう」
「いいんだもん、気持ち仕返しした気分になるから」
その言葉がおかしくて、氷室は少しだけ笑った
たしかに、おかげでこっちは一日憂鬱だったんだが
こんなにも、気持ちが揺れていたんだが
無意識のままに

「もう帰りなさい」
「はぁい」
素直に、は音楽室から出ていった
その姿が消えて、一人になって、氷室はもう一度ピアノを見下ろした
あの衝動はもうない
無心に鍵盤を叩いていた、先程までの息苦しさが消えた

「まったく・・・・」

明らかに、のせい
彼女の言動に、振り回されている
溜め息が、響いた
そうして、ピアノから離れた

不思議だと思う
こうまで揺れるこの気持ちが
理解できないでいる
自分のことなのに
そして、そんな時ピアノを弾いて 氷室は考える
あの少女のことを



ゲーム中のイベントで初めて氷室がピアノ弾いてるのを見て萌えた・・・。男がピアノ弾くってえろくていいですよね〜指使いとか・・・(爆) 私は昔から男がピアノ弾くのを見るのが好きです。
そしてゲーム中ではじめてこの曲を聴いてハマりました。氷室が弾いてるから・・・理由はそれだけなんですがね(笑) 素敵なMIDIは「
仙姑宮」さんからお借りしました。

女の子お絵かき掲示板ナスカiPhone修理