髪を切る日 (氷×主)


よく晴れた日曜日
は、長く伸びた髪を切った

「ほんとに切っちゃうの〜?」
「うん」

一昨日、氷室との約束をキャンセルした
氷室との会話を聞いて、それでどうしようもなく悲しくなって
伸ばした髪を切ることにした
きっと先生は長い髪が好きだよね、と
1年の頃から伸ばし続けたものだったのだけれど

「なんか、バカらしくなっちゃった」

氷室に好かれたくて、髪を伸ばしたりすることが
彼の好みに近くなりたい、と
と同じ長い髪でいることが

氷室を好きな気持ちは変わらなくて
むしろ、強くなる一方で
それなのに、届かない想いに胸がいたい
恋愛って、こんなにも辛いものなんだ、と
何度も溜め息をついた
今だって、とてもやりきれない気持ちでいる

バイバイ、私の長い髪
先生の好みだから伸ばしてただけ
そんなことをしても 特別になんかなれないんだから
だったら、無理しないでありのままの自分でいたい
まるで御人形みたいに、
あの人の好きな髪型で、好きな服を着て笑ってるだけの存在にはなりたくない

「バッサリやっちゃってください」
「本当にいいんだね?」
「はいっ」

よく晴れた日曜日
夏の熱風が、気持ちいいと感じた
軽くなった髪
軽くなった心
これが私
ありのままの私を見てほしい
特別じゃないなら、せめて

「うわーっ、髪切ったんか?!」
「えぇーーー、なんでーーーっっ?!」

同じくよく晴れた月曜日
友達に囲まれながら、遠くに氷室の姿を見付けた
驚いたように こちらを見た彼に笑いかけた
「私、短いのも似合うでしょ?」
そして、むしろ
こっちの方が私らしいと思うから
何をしても特別には見てもらえないなら、せめて

せめて一番私らしい私で、いさせて


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