お見舞い (氷×主)


今日はクリスマス
はばたき学園では恒例のパーティがあるこの日、は朝から高熱で寝込んでいた

(ふにゃー、ぐらぐらする〜)
今回のテスト中、風邪をひいた
それでもテストは根性でなんとか乗り切ったのだけれど
終わった途端にダウンして、そのまま
熱はいっこうに下がる様子もなく 楽しみにしていたクリスマスパーティにも、当然行けそうになかった
(さいてー)
思考する力も弱く、かろうじて奈津実に今日は行けないと連絡を入れる
「テストなんかで無理するからよ〜
 せっかくのパーティなのにー
 わかった、私が責任もってあんたへのクリスマスプレゼントを届けてあげるから」
奈津実の言葉にありがとう、と
そのまま携帯を置いて 眠りについた
夜に一度、携帯が鳴ったが目をさまさなかった

「すみません、わざわざ」
「具合は?」
「風邪をこじらせたんだと思うんですよ」
「そうですか・・・」

遠くで声が聞こえる
ぼんやりと、目をあけると部屋は明るかった
「ああ、起こしてしまったか」
「ふぇ・・・・・・・・?」
ぱちっ、
その声に完全に目が覚めた
氷室がいる
どうしてだか、部屋に今、氷室がいる
「え・・・?!
 なんで先生がいるの?!」
慌てて起き上がろうとしたを、氷室が手で制止する
「熱があるのだろう、寝ていなさい」
言って氷室は側の椅子に座った
今日のクリスマスパーティで奈津実が側へと寄ってきて言ったのだ
は熱で今日は休みです」
そして手渡された携帯の番号
ってばテストに頑張りすぎて、風邪こじらせて熱出して寝込んでるんです
 先生、電話してあげてください」
奈津実は独特の、どこかおもしろがっているような顔をして去っていき
後に残された氷室は、の携帯番号を片手にどうしようもなく立ちすくんだ

「無理をしたようだな
 勉強も必要だが体調管理も大切だ、気をつけなさい」
「はい・・・」
居心地悪そうに 毛布に顔の半分まで潜り込んではごにょごにょと返事した
熱のせいか目が潤んでいるようで、とても弱々しく見える
いつもの制服ではなくパジャマだし、ここは教室ではなくの自室だし
はベットの中で、自分はこんなにすぐ側で
氷室も微妙に居心地が悪かった
携帯の番号を渡されて、とりあえず具合だけでも聞こうとかけてみたのだが出ない
眠っているのだろうか、と
その時は思ったのだが、いつのまにか
いつのまにか、車はの家へと向かっていた
我ながら正直だと苦笑したものだ
それで、チャイムを押して、今ここにいる
「明日から冬休みだ
 寝込んでいては楽しくないだろう
 早く、治しなさい」
「はい・・・」
ごにょごにょと、の返事が小さく いつものはつらつさがないのに、氷室は苦笑して、の髪を一度だけ撫でた
「!!」
途端にの頬が紅潮する
そのまま額に手を当て、熱を計るとやはり普通より大分高いようだった
「すまないな
 無理をさせてはいけないから、私は帰る」
病人を疲れさせてはいけない
いつもの元気もないし、熱も高いし
立ち上がろうと、氷室はから手を放した
途端、ぎゅっと
その手を熱い手で掴まれた
熱に潤んだ目がこちらを見ている
「もーちょっとだけ・・・」
半分身体を起こして、が言った
すがるような目に、心がグラリと揺れる
熱のせいか、何なのか、
いつもより大人っぽく見えるのは気のせいか
「もーちょっとだけいて・・・?」
「君が辛くないならかまわないが・・・」
氷室は、座り直してをベッドへと寝かせた
めくれた毛布をかけなおしてやると、今度はもぐりこんだりせずににこりと笑ってこちらを見上げるようにした
「風邪ってしんどいんだね」
「そうだな、早く治しなさい」
「うん・・・・
 ねぇ先生、先生はいつもお正月は仕事なの?」
「?」
「風邪が治ったら一緒に初詣に行ってくれる?」
「・・・・・・・・そうだな、きちんと治したらいいだろう」
「ほんと?」
「ああ、約束だ」
にこり、
または笑って、それから目を閉じた
しばらくすると、すーすーと寝息が聞こえてきて、
それで氷室は小さく微笑した
そっと、の手を放し、静かに部屋を出る
今回の試験、
頑張っただけあって の出来は良かった
その結果、クリスマスにこれなわけだが、しかし
(一週間あれば治るだろう・・・・)
今の約束
思いがけず交わしたもの
「早く治しなさい」
早く、元の元気なに戻るように
の家をあとにしながら、氷室は微笑した
無防備に頬を染めた寝顔を思い出しながら


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