思考 (氷×主)


ベッドの上で楽譜を広げて、いつもみたいにカセットで氷室のピアノ伴奏を流した
あれからずっと、考えている
この歌の歌詞の意味
そして氷室の言葉

この歌は、どう歌えばいいの?

"悲しみのない自由な空へ翼はためかせ、ゆきたい"

考えたこともなかった
歌の意味など、この曲の解釈など
「なんとなく・・・悲しい歌・・・」
最初に、そう思った
この世界が嫌で、だからどこか遠くに行ってしまいたいと言ってる
そんな風に取れたから
一度、そういう風に想いながら歌ってみた
気がめいる程、嫌になった
こんな風には、歌いたくない

(氷室先生の宿題って難しい・・・)
彼が弾いてくれたピアノを、目を閉じて思い出した
切なさを感じた
それから、優しさを感じた
まるで氷室のようだと、そう思った
奏でる彼の横顔から目が離せなくなった
この人は、誰かのために弾いている
そんな気がした
あのメロディには、祈りのようなものが込められていたから

「祈り・・・」

そして、優しさ
もう一度歌詞を見つめた
もし、翼があったらどこへ行く?
この背中に、鳥のように白い翼があったら、誰のところへ行く?

「あなたのところよ・・・」

思い返した
冷たい雨の朝
けたたましいサイレンの音、煩い程耳に残る雨と人の足音、ざわめき
もし、翼があったら 私はあの場所へ行く
あなたと別れたあの日に、はばたいて行く

なぜって、あなたに逢いたいから

目を閉じた
大丈夫、まだちゃんと覚えている
あなたの顔、声、それから笑ってくれた顔
あの日から止まってしまった時間
探し続けていたあなたの影
ようやく見つけて、必死に追い掛けて捕まえて
もう二度と放さないでと祈って、泣いて
安息を得た、そう錯角させている
自分自身に

あの人は、あなたじゃないと頭ではわかっていながらも

「だから私に翼があったら、あなたのところに飛んでいく・・・」
思考に、胸が苦しくなった
考えないでいい
義人がまるで彼と同じように慰めてくれるから
しょうがないね、って笑ってくれるから
それ以上は考えなくていい
考えては、またあの苦しい日々に戻ってしまう

あなたを追い掛けて、息もできない程

氷室の伴奏は、何度も何度も繰り返される
優しい気持ち、先生のような
誰を想えば、そんな風でいられるの
先生の想う人は、先生に優しいのかな

「悲しくなんかないね、きっと」

もし、翼があれば 好きな人に逢いにいける
大空に翼を広げ、あの人のところへ
悲しみに溢れている自分から抜け出して、あなたのところへ

は楽譜を抱いて、そっと息を吐いた
想うことは、たくさんある


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